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1990年代に「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載された漫☆画太郎さんのギャグマンガを実写化した映画「珍遊記」(山口雄大監督)が27日、公開される。主演は「デスノート」のLや「デトロイト・メタル・シティ」のヨハネ・クラウザー2世(根岸崇一)といった数々のマンガキャラになり切った俳優の松山ケンイチさんで、今作では坊主頭にパンツ一丁の主人公・山田太郎を熱演している。倉科カナさん、溝端淳平さんらも出演し、ナンセンスなギャグが飛び交うドタバタ劇を繰り広げている。
原作は、「西遊記」をモチーフにした「珍遊記-太郎とゆかいな仲間たち-」。不条理で下品なギャグ、奇想天外な展開が荒々しいタッチで描かれ「週刊少年ジャンプ」の異色ギャグマンガとして人気を集めた。実写映画は、「地獄甲子園」「魁!!クロマティ高校」などマンガ作品の実写化を手がけてきた山口監督がメガホンをとり、お笑いトリオ「鬼ケ島」のおおかわらさんとアニメ「銀魂」「おそ松さん」などに携わる放送作家の松原秀さんが脚本を担当。アニメ「秘密結社 鷹の爪」シリーズなどの「DLE」が制作した。
僧の玄奘(げんじょう)は、天竺(てんじく)へと向かう途中に偶然立ち寄った家の“じじい”と“ばばあ”に頼まれ、天下の不良少年・山田太郎の妖力を封印にすることに成功する。そして玄奘は、いやいやながらも太郎を引き取り、ともに旅をすることになるが、たどり着いた村には太郎の指名手配書が至るところに張られ、さらに太郎への復讐(ふくしゅう)に燃える龍翔(りゅうしょう)が2人の行く手を阻もうとする……というストーリーが展開する。
「西遊記」がモチーフとはいえ、ストーリー性はないに等しい。さらにオープニングからナンセンスギャグ&下ネタのオンパレードである意味、期待を裏切らない仕上がりとなっている。少々悪ふざけが過ぎるきらいもあり、その点で好き嫌いがはっきりと分かれそうな作品ではあるが、松山さんらキャストの熱演に引っ張られる形で、いつしか細かいことが気にならなくなり、途中からスクリーンに引き込まれてしまった。
中でも玄奘役の倉科さんは、特殊メークでスキンヘッド姿となり、臆することなく下ネタを口にし、時に鬼の形相さえも見せるなど、全編にわたってMVP級の活躍を見せている。放送禁止すれすれの言葉も倉科さんが口にするとどこかキュートに聞こえ、これまでも決して清純派一辺倒というわけではなかったが、今作でのハジけたコメディエンヌぶりは、観客に新たな印象を与えるはずだ。オリジナルキャラである龍翔役の溝端さんもいままでにない2.5枚目キャラを演じきり、「マジンガーZ」に登場するあしゅら男爵のような“半分女装”姿や“ブタ鼻”で、笑いにも大いに貢献。また太郎役の松山さんの演技は、せりふ(というか語彙)が少ない分、ほとんど“顔芸”の域で、マキシマムザホルモンの激しい演奏をBGMにしたバトルシーンも大きな見どころになっている。
太郎の変身前を演じた「電気グルーヴ」のピエール瀧さんをはじめ、田山涼成さん、笹野高史さん、松尾諭さん、温水洋一さんら“曲者(くせもの)”も多数出演。映画は27日から新宿バルト9(東京都新宿区)ほか全国で公開。(山岸睦郎/MANTAN)