映画「シマウマ」のメインビジュアル (C)2015東映ビデオ
小幡文生さんの人気マンガを基に、俳優の竜星涼さん主演で実写化した映画「シマウマ」(橋本一監督)が21日に公開される。映画は、美人局(つつもたせ)で金稼ぎをしていた青年が、ヤクザを引っ掛けたことから闇へと堕(お)ちていき、他者に受けた屈辱などをあらゆる方法で昇華させる「回収屋」の“ドラ”として禁断の世界へ足を踏み入れていく姿を描く。主人公・倉神竜夫を特撮ドラマ「獣電戦隊キョウリュウジャー」などに出演した竜星さん、回収屋の一員で奇抜なメークを施したアカ役を須賀健太さんがそれぞれ演じるほか、日南響子さん、加藤雅也さん、福士誠治さん、高橋メアリージュンさんらが脇を固めている。
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倉神竜夫(竜星さん)は、仲間たちと美人局で金を稼いでいたが、ある日、ヤクザを引っかけてしまう。そして、原型が分からぬほど崩れた仲間の顔と抜き取られたアバラ骨が写った画像が添付されたメールが届いたのを見た竜夫は、危険が迫っていることを知り、恋人・彩(高橋さん)の元へ急ぐが、回収屋を名乗るアカ(須賀さん)という男に拉致されてしまい……というストーリー。
なんらかの揺り戻しなのか、過激で暴力的な問題作といえる映画の公開が相次いでいるが、今作はその中でも見終わったあと、救いのなさを感じる“嫌ムービー”(見たあとになんともいえない嫌悪感が残る映画)だ。いら立ちや焦燥感を抱えながら裏社会で生きるダークヒーローものなのだが、とにかく主人公の竜夫の我の強さと素行の悪さが際立ち、さらに残忍な描写の数々も中途半端ではなくやり切っているところに、原作の持ち味と実写の魅力が融合した輝きを感じる。竜星さんも須賀さんも狂気や猟奇性を発する役を体当たりで演じ、たぎるような熱さとインパクトで物語を彩り、これまでのイメージを覆す新境地を開拓。その演技はもちろん見どころながら、過激さに目が行きがちな作品ではあるが、人間の心の闇を照らすような物語は思いのほか深みを感じた。21日からヒューマントラストシネマ渋谷(東京都渋谷区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)
<プロフィル>
えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。
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