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注目映画紹介:「ヤング・アダルト・ニューヨーク」大人になり切れない映像監督ベン・スティラーがハマリ役

 ニューヨークを舞台に40代と20代の2組のカップルの交流を描いた「ヤング・アダルト・ニューヨーク」(ノア・バームバック監督)が22日から公開される。大人になり切れない映像監督の男性を主人公にしたコメディー作品。ポスト“ウディ・アレン”と称されるバームバック監督の下、ベン・スティラーさん、ナオミ・ワッツさんら多彩なキャストが集結した。

 ドキュメンタリー映像作家のジョシュ(スティラーさん)と映画プロデューサーのコーネリア(ワッツさん)は、ブルックリンに暮らす子どものいない夫婦。子育てに勤しむ同世代の友人に少々ウンザリしている。ジョシュは新作もご無沙汰で、ある日、講師をしているアートスクールでジェイミー(アダム・ドライバーさん)とダービー(アマンダ・セイフライドさん)の20代カップルと知り合った。そして、SNSや周囲の人たちに縛られる自分とは異なり、レトロなカルチャーを愛し、自由に生きる彼らから刺激を受け……という展開。

 主人公のジョシュは、時代に乗り遅れたくなく、まだまだ若いつもりでいる。冒頭には、創作活動も友人関係も夫婦関係も停滞気味である中年男性の日常が、取っつきやすい会話劇の中に描かれる。そこに若いカップルが現れる。2人がレトロな趣味を持っているだけで、ジョシュは彼らに好感を持つ。ジョシュとジェイミー、世代の違うクリエーターのコンビが誕生する。ジョシュは若いジェイミーから刺激を受けて活力を取り戻す。その一方で、ジェイミーは着々とやりたいことを形にしていく。

 彼らを通して見えてくるのは、単なる世代間ギャップではない。今の時代を映し出し、アーティストとしての姿勢も違う。創作に対して真摯(しんし)なジョシュに対して、ジェイミーは成功を手にすることが目的だ。なるほど。今の時代、数多くいるクリエーターの中で勝つためには、抜かりない生き方が必要なのかもしれない。ジェイミーの素顔があらわになるにつれジョシュは傷ついていくが、最初は軽い笑いだったものの、次第に中年の純粋が際立って少々痛く感じる。同じくバームバック監督の作品「ベン・スティラー 人生は最悪だ!」(2010年、日本未公開)に続いての起用となったスティラーさんがハマリ役。TOHOシネマズみゆき座(東京都千代田区)ほかで22日から公開。(キョーコ/フリーライター)

 <プロフィル>

 キョーコ=出版社・新聞社勤務後、映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。若い人だけでなく、子供たちからも日々刺激を受けています。

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