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黒川博行さんの小説「後妻業」(文春文庫)が原作の映画「後妻業の女」(鶴橋康夫監督)が27日に公開される。金持ちの男の後妻に入り財産を奪う“後妻業”をテーマに、金持ち男をだまそうとする女を中心に、欲深い登場人物たちが織りなす騒動を描く。ヒロインの小夜子を大竹しのぶさん、小夜子とともに老人をだます結婚相談所所長の柏木を豊川悦司さんが演じているほか、尾野真千子さん、永瀬正敏さん、笑福亭鶴瓶さんら演技派キャストが顔をそろえている。
結婚相談所主催のパーティーで男たちから人気を集める武内小夜子(大竹さん)は、80歳になる中瀬耕造(津川雅彦さん)と出会い結婚する。2年後に耕造は亡くなるが、耕造の娘・朋美(尾野さん)と尚子(長谷川京子さん)は、、小夜子から全財産を相続するという「遺言公正証書」を突き付けられてしまう。納得できない朋美は小夜子の調査を始めると、金持ち老人の後妻に入り財産を奪う“後妻業の女”であることが発覚し……というストーリー。
裕福な高齢者をだまして全財産を奪うという、なかなかセンセーショナルな設定ではあるが、全編を通して生々しい会話や本音が飛び交い、テンポのよさとキャストの熱演で想像以上に痛快で笑わせてくれる。大竹さんは、毒気がありながらもキュートさも感じさせる小夜子役がはまり役ともいえ、圧倒的な存在感に心をわしづかみにされた。豊川さんの潔いほどの悪党ぶりはなんともいえずカッコいい。テーマがテーマだけに、欲望をむき出しにした人々の姿に少し居心地の悪さを感じてしまうが、ふと我に返るとその浅ましさは、もしかしたら自分にも……と思わず考えてしまう。女同士の迫力ある対決シーンや金と愛をめぐるドラマなど見どころ満載で笑いながら楽しるが、現代社会の闇を垣間見たような気もして背筋が寒くなった。27日からTOHOシネマズ新宿(東京都新宿区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)
<プロフィル>
えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。