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「あいち国際女性映画祭2016」が7日、愛知県内で開幕し、オープニング作品として女優の桃井かおりさんの監督・主演作品「火 Hee」が名古屋市内で上映された。桃井さんは、上映後にトークショーを行い、2作目の長編監督作となる同作について「誰かを1回、信じてみたい。つながってみたいと思っている女の話を撮ったつもり。彼(夫)に会ってなかったら、作れなかった気がする」と語った。
昨年、結婚を発表した桃井さんは「結婚なんか全然する気がなかったのに、この人だなという人を見つけた。ずいぶん古い赤い糸だった。(結婚で)人を信じる力もついた。私、親も信じていなかった」と映画の主人公に自分を重ね合わせた。
また、これまで「日常生活は、仕事を待っている間の待合室や、仕事が終わってから、後片付けをしている部屋とか、楽屋感覚だった」といい、結婚後の変化を「地に足が付いた普通の生活をしているので、生活実感が手に入った。お裁縫とか、ひなたぼっことか好きになって。自分で思っているほど(自分が)悪質な女じゃなかったって気がついて自信を持っている」と笑顔で語った。
またタイトルの「Hee」は火のことを指しているといい、「女性は、心の中に付け火というか、小さい炎を持っていて、ときどき火事を起こしたりもする。静かに(小さい火を)保って死んでいく人もいる。そんなイメージの火という英語が見つからなかった。fireじゃ、大火すぎる。Heだと彼になってしまうので、Heeにしました」と明かした。
「火 Hee」は、中村文則さんの短編小説「火」が原作。米国に住む日本人娼婦が精神科医との対話を通じて、自身の生涯を独白する。同作のメーキングドキュメンタリー「Hee and She 映画『火 Hee』を作った日々」も上映された。
「あいち国際女性映画祭」は1996年にスタートし、今回が21回目。女性を取り巻く問題や生き方など、さまざまなテーマの作品を上映するほか、ゲストトークなどを通じて社会のあり方について考えることを目的としている。今回はウィルあいち(名古屋市東区)を中心に、半田市、弥富市などで開催。国内外で活躍する女性監督の新作を中心に、六つの日本初公開作品を含む23作品、短編11作品を上映する。クロージング作品として吉永小百合さんが主演する「母と暮せば」が上映される。11日まで。