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注目映画紹介:「ラ・ラ・ランド」米アカデミー賞最多ノミネート 意表突く仕掛けが胸アツなミュージカル

 映画「セッション」(2014年)のデイミアン・チャゼル監督の最新作「ラ・ラ・ランド」が24日から公開される。恋に落ちた男女2人が、それぞれの夢を追いかける姿を描き、歌、音楽、ダンス、ストーリー、すべてにおいてオリジナル、しかもミュージカル映画という野心作だ。主演のライアン・ゴズリングさんとヒロイン役のエマ・ストーンさんが歌い、踊る姿はもとより、予定調和ではない展開と意表を突く仕掛けに魅了される。27日(日本時間)に発表される第89回米アカデミー賞では最多13部門14ノミネートされている。

 女優志望のミア(ストーンさん)は、ある日、場末のバーでピアノを弾くセバスチャン(ゴズリングさん)と出会う。セバスチャンには、自分の店を持ち、本格的なジャズを存分に演奏したいという夢があった。ほどなく2人は愛し合うようになり、支え合いながら夢の実現に向かって進んでいく。しかし、セバスチャンが生活のために加入したバンドが成功したことで、2人の思いはすれ違い……というストーリー。「セッション」の鬼教官役でアカデミー賞助演男優賞に輝いたJ.K.シモンズさんが、セバスチャンが働くバーの店長役で出演している。

 現代の米ロサンゼルスを舞台にしたラブロマンスなのにどこか懐かしい。色彩や舞台美術、衣装の影響もあるだろう。街の夜景が一望できる丘でセバスチャンとミアがタップダンスを踊る場面は、ハリウッド黄金期のミュージカル映画を彷彿(ほうふつ)とさせ、コンクリートの地面をこする靴音が躍動感を増幅させる。プラネタリウムの場面では、ワイヤを使った斬新な演出で恋した際の高揚感を表現。さらに、ミアがオーディションで歌い上げるナンバーには、ミアの亡きおばへの思い、ひいてはチャゼル監督の世のアーティストたちすべてへの愛を感じた。その一方で、物語は理想と現実のギャップという厳しさも見せつける。それを痛感させられる“ある仕掛け”には意表を突かれ、胸が熱くなった。3カ月間に及ぶ猛特訓の末、代役なしでこなしたというゴズリングさんのピアノ演奏も必聴だ。24日からTOHOシネマズみゆき座(東京都千代田区)ほかで公開。(りんたいこ/フリーライター)

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