映画「逆光の頃」について語った葵わかなさん
「コップのフチ子」の原案でも知られるタナカカツキさんのマンガが原作の映画「逆光の頃」(小林啓一監督)が全国で順次公開されている。俳優の高杉真宙さんが主演し、京都を舞台に、どこにでもいる平凡な高校生、赤田孝豊が思春期ならではの漠然とした不安を感じながらも、さまざまな経験をして成長していく姿を描いている。この作品でヒロインとなる孝豊の幼なじみの“みこと”役で出演した葵わかなさん。今秋のNHK連続テレビ小説「わろてんか」のヒロインも演じる葵さんに、今作のヒロイン像や撮影エピソード、舞台となった京都の魅力などについて聞いた。
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◇原作マンガにオリジナルエピソードを交えて構築
原作はタナカさんが1988~89年にマンガ誌「コミックモーニング」「モーニングOPEN」(共に講談社)で連載したマンガで、映画は原作の3話にオリジナルエピソードを交えて構成されている。京都で生まれ育った高校2年生の赤田孝豊(高杉さん)は、バンド活動のため学校を休みがちな同じクラスの公平(清水尋也さん)との友情や、同級生の不良・小島(金子大地さん)とのケンカ、幼なじみのみこと(葵さん)への恋などを経験しながら高校生活を送っている……というストーリー。佐津川愛美さん、桃月庵白酒さんらも出演している。「ももいろそらを」(11年)や「ぼんとリンちゃん」(14年)で知られる小林監督は脚本も担当した。
◇監督のダメ出しで新しい扉を開かされた
――原作を読んでどう思いましたか。
すごく不思議な話だなと思いましたね。とくに大きな事件があるわけじゃなく、孝豊の日常を切り取っている。独特の世界観がある不思議なお話だなと思いました。
――初ヒロイン役ということで、ご自身の中でのヒロインみこと像は? 監督の要求と合わせるのは難しかったとか。
マンガが原作ということもあると思うんですけれど、私から見て現実味のない女子だなと思ったんですね。孝豊目線で見たお話だから、女子にとってはそう感じるのかもしれないのですが、リアルな感じがあまりなくて。台本になったときも、みことだけすごくキャラクターっぽいなと思ったんです。みこと自体がどう思っているのかあまり描かれていないし。それを実写で人間が演じることによって、リアルな女子らしさが出るとそれはダメなんだと思って。自分との共通点をあまり考えないようにして、(台本の)文字で浮かび上がるイメージだけで演じなければいけないんだと。そこは難しかったです。
――リアルにやるほど監督からダメ出しされましたか。
ダメっていわれるわけじゃないんですけれど、最初のころは、やっていて全然現場でオーケーが出なくて。昨年3月に2週間ほど撮って、9月にまた撮って、10月に少し撮ってって分けて撮ったんですけれど、最初の3月の頃は全然うまくいかなくて苦戦してました。でもだんだん現場にも慣れてきて、監督といろいろとお話をするようになって、だんだん現場にも慣れてきて「あっ、なるほど」と思ったときから、すごく演じるのが楽しくなりましたね。
――9月の撮影では自分の中でキャラクターが出来上がった。
監督と話し合いながらという感じでしたけれど。監督がすごくこだわりの強い方で、ちょっとでも監督のイメージからずれると、「ダメ、もう1回」となって。1日1シーンとかになるぐらい、こだわって撮っていたので。そういう意味ではすごく試す機会がいっぱいあったので、私の中で試行錯誤を繰り返しながら……という感じですね。
――ここまで苦労したのは初めて?
今までは自分が持っているものを頑張って使えば乗り越えられる部分が多かったんですけれど、今回は自分の持っているものじゃ足りない。これじゃだめだと思いました。新しい引き出しを開かされたと思います。
◇高杉真宙とはマンガ愛で共感
――高杉さんとはマンガ好きで話が合ったとか。
私は「ハイキュー!!」が好き。「花とゆめ」(白泉社)とかの少女マンガもよく読みます。高杉さんとはマンガの話しかしていなかったというくらい(笑い)。監督と3人で話す機会が多かったんですが、話しているうちの8、9割はマンガ、アニメ、ゲームのこと。現場のときはさすがにそういう話はしないんですけれど、撮影後にご飯に行ったり、休憩中とかはそういう話をしていました。
監督もマンガが好きで、私たちが薦めるものを「じゃあ読んでみようかな」と言って読んでくれたりしたので盛り上がりましたね。「ハイキュー!!」を私は熱烈にお薦めして、意外とまだそのときは2人とも読んでいなかったので、「絶対読んだ方がいい」って熱を伝えて。私がそういうふうにした日もあれば、高杉さんがすごい熱量でマンガを推してくれるときもあって。高杉さんは「ボールルームにようこそ」とか好きでしたよ。あと監督がすごく推してくるアニメがあったり。そんな話をずっと飽きずに毎日していました。
◇京都の町をたびたび一人歩き
――映画の舞台にもなった京都の町はいかがでしたか。
もとから京都の町の雰囲気が好きで、和物もすごく好きなのでそういうものがあふれている京都は大好きです。1日1シーンの撮影の日もあったので、空き時間が少しあって、祇園へ歩いて15~20分くらいのところに泊まっていたので、体が空いたらすぐに祇園に行っていました。抹茶が好きなので、お茶を飲みに行ったり。結構探して一人で行ったり、八坂神社神社でお祓(はら)いしたり。ちょうど厄年で本厄だったので、ちょっと時間があったので 八坂神社って有名じゃないですか。だから八坂神社で(お祓いを)やってみようかなと思って寄ってみたり。思い立ったら出かけて、お守りを買ったり、お土産を買ったり。自分用にすごくいっぱい買っちゃった。家族にも買ったりして楽しかったですね。
――京都のここを見てほしいというシーンは?
みことの家という設定のところで「バイバーイ」と言ったあと、「やばい」って返したときの路地がすごくすてきで。撮影は私のクランクイン直後のときだったと思うんですけれど、昔らしい町並みが残っているという部分で、近代的な部分がそこには一切なくて、あかりもすごくすてきで、京都のことはそんなに詳しくないですけれど、これぞ京都だと思う場所でした。すごい、こんなところあるんだと感動したのを覚えています。私的に京都らしい、京都の好きなところが映っているなというのはそんなところです。
――今作では京都、秋から放送される朝ドラ「わろてんか」では大阪が舞台ですが、ご自身は関東(横浜)生まれなのに関西づいてますね。
どうして京都に生まれなかったんだろうというくらい、すごく京都が好きで、今回の撮影でさらに好きになりました。京都に長くいることも増えて、魅力をたくさん知って。今回の撮影(昨年)でも、最近も京都に行く機会が多くて。家から離れるのはちょっと(慣れない土地で)疲れたりするじゃないですか。でも、京都や大阪はすごく好きなので、全然苦にならなくてよかったなと思います(笑い)。
<プロフィル>
あおい・わかな 1998年6月30日生まれ、神奈川県出身。2009年にスカウトされCMデビュー。主な映画出演作に「陽だまりの彼女」(13年、三木孝浩監督)、「くちびるに歌を」(15年、三木孝浩監督)、「暗殺教室」(15年、羽住英一郎監督)、「サバイバルファミリー」(17年、矢口史靖監督)などがある。18年に「ミッドナイト・バス」(竹下昌男監督)の公開を控える。今年10月から放送のNHK連続テレビ小説「わろてんか」(NHK大阪制作)で主演することが決まっている。
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