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劇場版アニメ「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」(新房昭之総監督)が18日からTOHOシネマズ日本橋(東京都中央区)ほかで公開される。今作は「Love Letter」(1995年)などで知られる岩井俊二監督が手がけて93年に放送され、95年に劇場公開もされた名作ドラマが原作。アニメ化にあたっては、映画「モテキ」(2011年)、「バクマン。」(15年)などの大根仁さんが脚本を手がけ、アニメ「化物語」「魔法少女まどか☆マギカ」などで知られる新房昭之さんが総監督を務めた。女優の広瀬すずさんと俳優の菅田将暉さんが声優を務めたことも話題で、実写の名作をアニメ化するにあたって、アニメならではのタイムリープの表現や現代的な要素を加え、さらにみずみずしいひと夏の青春ラブストーリーに仕上がっている。
とある海辺の町が舞台。中学校のクラスメートたちは花火大会を前に「打ち上げ花火は横から見たら丸いのか?」と盛り上がっている中、クラスのアイドル、なずなは母親の再婚のため転校することになった。なずなに思いを寄せる典道は、転校をしたくないなずなから「かけおち」に誘われ、時間が巻き戻る不思議な体験をする……というストーリー。広瀬さんがなずな、菅田さんが声優初挑戦で典道の声を担当し、典道の親友の祐介を声優の宮野真守さん、なずなの母を女優の松たか子さんが演じている。
なずなを奥菜恵さん、典道を山崎裕太さんが演じた実写ドラマも甘酸っぱさが広がる初恋物語だったが、今回のアニメも“ならでは”の表現で初恋や青春を描くことに成功している。ちなみに実写版の2人は小学生だったが、アニメ版では中学生という設定に変更されている。だとしても、なずなは中学生にしては大人びているし、典道は見た目は幼いが菅田さんの声が艶っぽく、2人とも“色っぽい”。
また、今作は「まばゆいばかり」という表現がぴったりの幻想的で美しいシーンが目白押しだ。ビー玉のような“不思議な玉”によって引き起こされるタイムリープのシーン、電車の中でなずなが松田聖子さんの名曲「瑠璃色の地球」を口ずさみ始めると宇宙のような空間に連れて行かれるファンタジックなシーン、追っ手から逃げた2人やクラスメートたちが見上げる花火のシーン……など、うっとりするような美しさ。岩井さん、大根さん、新房総監督ら第一線で活躍するスタッフが2週間に1回ほどの頻度で顔をつき合わせ、半年かけて脚本を練り上げたというだけあって、名作にさらに磨きがかかった。これで、新たな定番作品として生まれ変わった「打ち上げ花火~」が、次にリメークされたらどんな作品になるのか楽しみだ。主題歌はDAOKOさんと米津玄師さんがコラボした「打上花火」。(細田尚子/MANTAN)