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ウイルスによる突然変異で高い知能を得た猿たちと人間との壮絶な戦いを描くシリーズ最終章「猿の惑星 聖戦記(グレート・ウォー)」(マット・リーブス監督)が13日からTOHOシネマズ日劇(東京都千代田区)ほかで公開される。「創世記(ジェネシス)」(2011年)、「新世紀(ライジング)」(14年)に続く3作目。オリジナル版「猿の惑星」(1968年)につながる真実がついに明かされる。
猿と人間の全面戦争が勃発してから2年。シーザー(アンディ・サーキスさん)率いる猿の群れは、森の奥深くに秘密の砦(とりで)を築き、滝の裏側に身を潜めていた。そこに、大佐(ウディ・ハレルソンさん)率いる軍隊が急襲。シーザーは、愛する家族と多くの仲間を失ってしまう。大佐への憎しみに駆られたシーザーは、仲間を新たな隠れ家へと向かわせ、自分は復讐(ふくしゅう)の旅に出る……というストーリー。
「どうして猿に感情移入しているんだろう」と自分でも不思議に思うほど、今回の物語には揺さぶられた。心に訴え掛ける場面が多く、その点ではヒューマン作と言えるだろう。これまで、人類との平和的共存を模索し、仲間のために奮闘してきたシーザー。しかし今作では家族を殺されたことで、人間への復讐に駆り立てられる。崇高で慈悲深かった彼の瞳には憎悪の炎が宿り、演じるサーキスさんの瞳がそれを見事に表現していた。
人間の残酷さも映し出していく。自分たちに都合の悪いものは消し去ることで問題を解決しようとする大佐たち。そんな彼らを見ながら、つくづく人間とは、愚かで浅ましい生き物だと思わずにいられなかった。
そんな深刻になりがちなストーリーにユーモアをもたらしていたのが、初登場のチンパンジー、バッド・エイプ(スティーブ・ザーンさん)だ。ちょっとおバカで臆病者の、でも、心根の優しい彼の、数々の奇行やチャーミング(?)なファッションは一服の清涼剤となっている。日本語吹き替え版では俳優の柳沢慎吾さんが演じている。
オリジナル版「猿の惑星」につながるエピソードには「なるほどなあ」と感心すると共に、「これでシリーズが終わってしまうのか」と、一抹の寂しさも感じた。(りんたいこ/フリーライター)