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女優の蒼井優さんが、阿部サダヲさんとともに主演を務めた映画「彼女がその名を知らない鳥たち」(白石和彌監督)が、28日公開された。作家の沼田まほかるさんの小説(幻冬舎)が原作で、登場人物が「共感度ゼロの最低な男と女」「不快度100%」という触れ込みの作品だ。今作で、自身も「最低の女」と評する十和子を演じた蒼井さんに、役柄への思いを聞いた。
◇最低な女・十和子を巡る3人の男 映画「彼女がその名を知らない鳥たち」は、「凶悪」「日本で一番悪い奴ら」などで知られる白石監督が、初めて挑んだという本格的な大人のラブストーリー。
北原十和子(蒼井さん)は、15歳上の男・佐野陣治(阿部さん)と暮らしながらも、8年前に別れた男・黒崎俊一(竹野内豊さん)を忘れられずにいた。不潔で下品な陣治を嫌悪しながらも、彼の稼ぎに頼って怠惰な日々を過ごす十和子だったが、ある日、黒崎の面影を感じさせる妻子ある男・水島真(松坂桃李さん)と関係を持つ。そんな時、家に訪ねてきた刑事から「黒崎が行方不明」と知らされる。「十和子のためなら何でもできる」と言い続ける陣治が、執拗(しつよう)に自分をつけ回していることに気付いた十和子は、黒崎の失踪に陣治が関わっているのではないかと疑い、水島にも危険が及ぶのではないかとおびえ始める……というストーリー。
◇女性は誰しも十和子になる素質がある 蒼井さんが演じる十和子は、働きもせず、家にいてもレンタルDVD店などに電話で長時間苦情を訴えるクレーマー。さらに、恋愛体質で男性に依存せずにはいられない女性だ。蒼井さんは、十和子には「まったく共感できない」と言いつつも、演じ終わってからは「でも、女性は誰しも十和子になる素質があるんじゃないかなと思った」と語る。「女性のダメな部分をかき集めたら十和子になる、みたいな(笑い)。これは自分も否定しきれない気がするし、最近のニュースを見ていても、すごく思います。『あれ、みんな十和子っぽいな』って」と明かす。
そんな十和子と向き合った撮影期間を、蒼井さんは「しんどかったですね、すごく。全然幸せじゃないですから」と振り返る。たしかに十和子は、嫌悪する陣治と生活をともにし、水島とは不倫、元恋人の黒崎は失踪と、その関係性は複雑だ。「やってもやっても満たされなくて、シーンを重ねていっても、誰も本音でしゃべっていない感じがして……。もちろん十和子としては信じて聞いてはいるけど、撮影が進むごとに空っぽになっていく感じがありましたね」と葛藤を語った。
◇撮影中は「そろそろ愛がほしい…」
撮影期間は、約3週間だったという。当時のことを「終われるようにという思いでした。でも、すごく濃密な時間でしたし、現場のスタッフさんがみんなすてきな人たちばっかりだったから、それには救われました。役者さんもみんなすてきな人たちばっかりなんだけど、話がとにかくひどいから(笑い)。現場はラストだけを信じて、みんな『そろそろ愛がほしい』と言い始めて、愛に飢えながら撮影をしていました」と振り返った。
そんな過酷な撮影を経て、完成した作品を見た時は「達成感はないです。また新しい課題が見つかった」と前置きしつつも、「この映画のラストシーンを、撮影の最後の2日間で撮ったんですけど、『映画に携われた人生で、私はよかったな』『自分の喜びはここにあるんだな』ということを再確認させられた」としみじみと語った。
<プロフィル>
あおい・ゆう 1985年8月17日生まれ、福岡県出身。99年、ミュージカル「アニー」のオーディションに合格し芸能界デビュー。2001年、岩井俊二監督の「リリィ・シュシュのすべて」で映画デビューし、以降、「害虫」(02年)、「亀は意外と速く泳ぐ」「ニライカナイからの手紙」(ともに05年)などに出演。06年の「フラガール」で日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞。他のおもな映画作品に「ハチミツとクローバー」(06年)、「百万円と苦虫女」(08年)、「雷桜」(10年)、「アズミ・ハルコは行方不明」(16年)などがある。「ミックス。」が21日から公開中。