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織田裕二:松嶋菜々子、古谷一行ら豪華な顔ぶれに「気分は小僧」 10年後の展望も語る

 俳優の織田裕二さん主演のドラマ「連続ドラマW 監査役 野崎修平」(権野元監督)が、14日からWOWOWでスタートする。原作は、周良貨さん作、能田茂さん画の経済マンガ。バブル経済が崩壊した1990年代末を舞台に、銀行の不正に挑む銀行員、野崎修平の活躍を描いていく。共演者には、頭取役の古谷一行さん、専務役の岸谷五朗さんら、織田さんが「直球で勝負できる相手じゃない」というほどの“つわもの”たちが顔をそろえた。織田さんに、共演者との演技や役への意気込み、さらに10年後の自分について聞いた。

 ◇古谷一行のバイタリティーに脱帽

 織田さんは、昨年12月に50歳になった。最近は年下の俳優と共演する機会が多くなっていたが、今回相手にするのは年上の先輩たちが多く、織田さんは「僕が直球で勝負できる相手じゃないんです」と言うほどの顔ぶれがそろった。

 このインタビューが行われた日も、朝から頭取・京極雅彦役の古谷さんと対峙(たいじ)する場面を撮影。「昨日もおとといも頭取と戦っていましたが、頭取は、朝から夜までずっと(野崎以外とも)戦い続けているんです。今(このインタビュー中)も戦っています。(古谷さんは)すごいせりふの量なんですよ。一人でしゃべっていますから(笑い)。でも、今朝も『大丈夫!』っておっしゃって(撮影に臨み)、僕は、そういうすごい人を相手に戦っているんです」と古谷さんのバイタリティーに舌を巻く。

 にもかかわらず、演じる野崎は、「不条理や不正を見過ごすことができず」、しかも、「正論を掲げ、堂々と相手にぶつかっていく」ような男。お陰ですっかり「気分は小僧」で、「この年でも小僧役ができるんだ」と新鮮な感動を覚えつつ、「新入社員か?という芝居」から始め、途中で「ちょっと変化球も入れる」など“成長”が見られるよう役作りをしているそうだ。

 ◇「ユースケでよかった」

 そういった気の抜けない撮影が続く一方で、映画「ホワイトアウト」(2000年)以来、17年ぶりの共演となる松嶋菜々子さんや、「踊る大捜査線」シリーズでも共演したユースケ・サンタマリアさんとのシーンもある。

 松嶋さんが演じるのは、おおぞら銀行初の女性役員を狙う野心家の銀行員、立川祥子だ。この役を織田さんは「この役をできる人はそうそういないだろうなあ」と感想を述べたあと、「ほとんど説明していないし、ちょっとした表情で多くのことを表現していく。ある程度の年齢を重ねていないとできない役。『女を売り物にしてきた』と周囲から陰口をたたかれていて、そういう面もあるかもしれない。でも実は優秀な一面もある」と紹介する。  その上で松嶋さんについて、「身長があるのでヒールの高い靴を履けば僕と同じくらいになる。そういう意味でも適任なんです。(男たちと)戦えるんじゃないかと思える。でも、実はそこにはか細い部分も必要で、か弱そうにも見えるしかっこいい。そのギャップが、すごく面白い芝居になっていると思います」と称賛する。

 一方、ユースケさんが演じるのは、取締役の阿部龍平だ。野崎の後輩だが地位は逆転し、野崎の上司という「難しい関係」にある。織田さんは、「ユースケでよかったです。阿部って、全然可愛くないキャラクターなんですけど、なんかね、ちゃんと愛情を持てたので」と打ち明け、「スタッフも僕も、クランクインしたばかりで緊張している中、彼(ユースケさん)が、カットがかかったあと、相変わらずくだらないことを言ってくれるわけですよ(笑い)。お陰で現場の空気がほぐれて、それがなかったら、クーッと肩に力が入ったままでしか(球を)投げられなかったかもしれない。だからすごく感謝しています」と演技を野球に例えながら、ユースケさんの存在をありがたがった。

 ◇10年後目指すのは…

 ところで、10年前には、自分が監査役を務めているとは想像すらしなかったであろう野崎。織田さん自身は、“10年後の自分”を考えたことはあるのだろうか。「60歳……想像つかないですね」と切り出した。

 それでも、「古谷さんや、『株価暴落』(14年放送の『連続ドラマW 株価暴落』)のときの竜(雷太)さんみたいに、あれだけの芝居、あれだけの長ぜりふ、あれだけ大変な撮影を、あんなに楽しそうにやれるということがすごくうらやましい。お二人とも70歳を過ぎていますけど、すごく幸せだなと思うんです。と同時に、すごいなと思います。自分は20年後、あんなことができるだろうか。今でもキツいと思うのに(笑い)、あんなに楽しそうに演じていられたら幸せだろうな」としみじみ語る。そして、「僕はあれだけのせりふの量や、このスケジュールでできる自信はないです。もうちょっと楽な役でなら……(笑い)」と自身の10年後を展望していた。

 ドラマは、14日から毎週日曜午後10時にWOWOWプライムで放送。全8話で第1話は無料放送。

 <プロフィル>  1967年12月13日生まれ、神奈川県出身。1987年、映画「湘南爆走族」で主演デビュー。91年の主演ドラマ「東京ラブストーリー」の“カンチ”役で大ブレークし、その後、「振り返れば奴がいる」(93年)、「お金がない!」(94年)などのドラマを経て、「踊る大捜査線」(97年)で主演。映画化もされ、「踊る大捜査線 THE MOVIE 湾岸署史上最悪の3日間!」(98年)をはじめ4作が劇場公開された。そのほか出演した映画に「ホワイトアウト」(2000年)、「T.R.Y. トライ」(02年)、「県庁の星」「(06年)、「椿三十郎」(07年)、「アマルフィ 女神の報酬」(09年)、「アンダルシア 女神の報復」(11年)、「ボクの妻と結婚してください。」(16年)などがある。  (取材・文・撮影/りんたいこ)

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