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人気グループ「関ジャニ∞」の錦戸亮さんが主演した映画「羊の木」(吉田大八監督)が3日に公開された。錦戸さんは今作で、元殺人犯の受け入れ担当となった寂れた港町の市役所役員・月末一(つきすえ・はじめ)を演じている。月末と同級生で都会から帰郷した今作のヒロイン、石田文(いしだ・あや)を演じたのは女優の木村文乃さん。月末と文は同級生で、再会したことでバンドを結成し、月末は文に恋心を抱くという役どころだ。錦戸さんと木村さんに、撮影の舞台裏やプライベートの話などを聞いた。
「羊の木」は、山上たつひこさん原作、いがらしみきおさん作画の同名マンガが原作。市役所職員の月末は、寂れた港町・魚深(うおぶか)市に移住してくる互いに見知らぬ6人の男女の受け入れを命じられる。月末は、一見普通に見える6人について、何かおかしいと感じ、やがて彼らが全員、元殺人犯であることを知る。6人の移住は、受刑者を仮釈放させ、過疎化が進む町で受け入れる国家の極秘プロジェクトだった。ある日、港で発生した死亡事故をきっかけに、月末の同級生・文を巻き込み、小さな町の日常の歯車が狂い始める……というストーリー。元殺人犯役で北村一輝さん、優香さん、市川実日子さん、水澤紳吾さん、田中泯さん、松田龍平さんが出演している。
◇錦戸と松田龍平をずっとにらんでた?
今作で初共演を果たした2人。お互いの第一印象は、「なんやろ…『あっ、木村文乃ちゃんや』って」と錦戸さんが戸惑いながら答えると、木村さんも「そうなりますよね」と同意し、笑い合っていた。
木村さんは「監督に聞いたんですけど、(錦戸さんと松田龍平さんの)2人から私がずっとにらんでいるって思われていたって(笑い)」と話すと、錦戸さんは「怖いな、怒っているんかなみたいな(笑い)」とジョークながらに返答した。
2人は役柄的に微妙な関係だったこともあり、積極的にコミュニケーションを取らなかったという。錦戸さんは「『用意、スタート』で労力を使う方がよっぽどいいですから。話すときは話しますし、黙っているときは黙っていますし。なんか、いい感じの距離感でした。もしかすると、今日(の対談時)が一番話しているかもしれないですね。(撮影していた)数カ月間より」と話す。
◇初共演だが「素でいられた」
木村さんは、プライベートで買い物をしている錦戸さんを見かけたことがあり、「遠目から、絶対そうですよね、錦戸さんですよねって人が歩いてきて。すっごい楽しそうに、ニコニコしながら電話で話しながら去って行かれたんですね」と明かし、そのときの印象を「”芸能人ですね”って感じだったんです」とちゃめっ気たっぷりに明かす。
木村さんは、月末役を錦戸さんが演じると知り、「月末は逆のタイプだと私は思っていたので、『どういうお芝居でくるんだろう』と思っていたんです。クランクインの日は市役所のシーンで、声をかけられたら、どこか幼なじみのような人懐っこさがあって。はじめましてだけど、私は何の疑いもなく『月末だ』と信じられて、素でいられた気がしました」と振り返る。
◇有名な原作にオリジナルのキャラクター「恐怖でもある」
映画出演のオファーが来る1週間に、原作マンガをたまたま読んだという錦戸さんは、「『マンガ、面白い』でまとめサイトで出てきて、文化庁メディア芸術祭優秀賞を受賞していて、『ああ、そうなんや』って。まさかそのとき、自分がやるとは思ってもいないです」と今作との出合いを語る。マンガについては「興味深い方の“面白い”。映画になるって聞いたとき『どうなるの』という興味はありましたね」という。
木村さんの演じる文は、映画のオリジナルのキャラクターだ。オファーを受けた後に、原作を読んだという木村さんは「原作でいう2人分の役割を担っている。グーグルで検索して出てくるような有名な本なので、オリジナル(の役)でやるというのは恐怖でもあるなと思いました」と話す。
◇本格的なバンド演奏にも挑戦 月末は元殺人犯で移住してきた一人、宮腰一郎(松田さん)と友情を深めていくが、それが徐々に崩壊していく。錦戸さんは「宮腰を信じたいという気持ちもあれば、勝手に向こうを信頼し切っている部分もあります。疑うとか信じるとかってエネルギーのいることだと思うんですね」と話し、役作りで「『こいつ、ほんまはどっちって思っているんやろ』とか思わせるのが難しかった」と振り返る。
一方、木村さんは「たぶん文はずっと信じては裏切られるを繰り返している人で、人から聞いたことだけを信じている。本人には聞かないとか、そういうことがずっと続く人なのかな」と考え、「せりふにない部分を、どう表情とか仕草で伝えるのか」ということを意識したという。
劇中では、2人は本格的なバンドのセッションにも挑戦した。木村さんはギターを弾くのが初めてで「1カ月前ぐらいから、自宅に実際に使う機材を持って帰って練習したりとか、たまにスタジオで合わせたりしていた」と話す。「(バンドの)結束感も生まれて、意地でも音を録(と)ってもらおうよってことでやっていました」と話す。
ただ、劇中で演奏している音楽は2人の趣味とは違っていたようで、錦戸さんは「あれはかっこいいと思いますけどね。(普段は)全然聴かないですね。スピッツとか好きなんで、僕」と話すと、木村さんも「ノイズに近いですね」と共感していた。
◇友情を取るか、恋愛を取るか
劇中で月末は、友達になった宮越が文と付き合うことになるのを見てジェラシーを感じるが、同じように友達が好きになった人を自分も好きになったらどうする?と聞くと、錦戸さんは「行けそうって思ったら行くかもしれないけど、大概引くと思いますね。女の人で友達とけんかしたくないし。友達を取ると思います。それで壊れてしまう友情ならいらないですけど、そのときのフィーリングですかね。(実際に経験は)ないですね」と語った。
木村さんも「私も見守るタイプですね。そこで争ったら疲れちゃうと思いますし、相手の人が選ぶか、選ばないかっていうのもあると思うので。その人が選ぶんなら、好きな人の幸せになるのでそれでいいなと納得しちゃいますね」と話した。
映画「羊の木」はTOHOシネマズ新宿(東京都新宿区)ほか全国で公開中。
<プロフィル>
にしきど・りょう 1984年11月3日、大阪府出身。2002年に「関ジャニ8」(のちの「関ジャニ∞」)を結成。03年に「NEWS」メンバーに選ばれる。11年に「NEWS」を脱退し、以後は「関ジャニ∞」の活動に専念。俳優としては「ちょんまげぷりん」(10年)で映画初出演、初主演を果たし、「パパドル!」(12年)で連続ドラマ初主演。18年のNHK大河ドラマ「西郷(せご)どん」で西郷従道を演じている。
きむら・ふみの 1987年10月19日生まれ、東京都出身。2006年公開の「アダン」のヒロイン役のオーディションで選ばれて映画デビュー。その後、NHK大河ドラマ「功名が辻」(06年)、NHK連続テレビ小説「だんだん」(08年)、「梅ちゃん先生」(12年)に出演し、15年に放送された「マザー・ゲーム~彼女たちの階段~」(TBS系)で連続ドラマ初主演を果たした。おもな映画出演作に「パラダイス・キス」(11年)、「今日、恋をはじめます」(12年)、「ピース オブ ケイク」「イニシエーション・ラブ」(共に15年)がある。