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三浦大知:インタビュー(下) ブレークも「浮き足立ちたくない」 活動の集大成となるベスト盤発売

 高度なダンススキルと歌唱力で支持を集めている三浦大知さんが、初のベストアルバム「BEST」を7日にリリースした。今作は、1997年に「Folder」のメインボーカルとしてデビューした後、変声期による活動休止期間を経て、2005年にソロで活動を再開した「三浦大知」としてのシングル曲を主に収録。「ゴスペラーズ」の黒沢薫さんが作曲を出がけたソロデビュー曲「Keep It Goin’ On」、無音ダンスで話題となった「Cry & Fight」、特撮ドラマ「仮面ライダーエグゼイド」の主題歌「EXCITE」などに加え、「DREAMS COME TRUE」からの提供曲「普通の今夜のことを ‐let tonight be forever remembered-」が初CD化されるなど豪華なラインアップだ。三浦さんに、楽曲にまつわる思い出やブレークを果たした今の心境などについて聞いた。

 ◇「自分にはやっぱり歌とダンスなんだ」

 ――ベストアルバム「BEST」の中で思い出深い楽曲は?

 デビュー曲「Keep It Goin’ On」は、デビューする前にうちの事務所のライブでパフォーマンスしたんですけど、5年間(変声期のために)ずっと休んでいてすごく久々のライブだったので、まだダンサーもいなくて一人で出て行って一人で歌うっていうので、どうなふうになるんだろうと思っていたんです。でもその時、パッとステージに出たら、「おかえりー」って言ってくださった方が何人かいて……。「5年間も待っていてくれた人がいたんだ」って思った時に、自分はやっぱりこれを頑張っていくというか、やっぱり歌とダンスなんだなってすごく感じたので、「Keep It Goin’ On」を聴くとその時のことをすごく思い出します。

 あとは「Inside Your Head」(2008年発売のシングル)という楽曲で初めて自分でフルで振り付けをやり始めて、「コレオビデオ」というダンスだけをしっかり見せられる、MV(ミュージックビデオ)とは違うダンスビデオを作り始めたのも「Inside Your Head」からだったので、この作品と出合えたことは結構大きかったんじゃないかなと思います。

 ――今作に収録されている新曲「DIVE!」のMVは、三浦さんがダンススクール時代の6、7歳の時に衝撃を受けたマイケル・ジャクソンの「Black or White」のMV(空から地上にズームインする冒頭のシーン)や、ご自身が今まで制作してきたMVの要素をオマージュとして取り入れているそうですね。

 マイケルが「Black or White」のMVで、いろんな国のダンスを踊っていくみたいなシーンがあって、いろんなところに飛び込んでいくんだけど、何をしてもマイケル・ジャクソンはすごくオリジナルで、何してもマイケル・ジャクソンで。その感じが、子供ながらにすごくカッコよく思えて、だから自分もそういうオリジナルな人になりたいなっていうのはあったと思います。今回はベストの中の新曲ということで、三浦大知を作っていく最初のきっかけになったマイケルへのオマージュから、自分の過去の作品のオマージュに入っていくっていうのが面白いかなと思ったんです。

 ◇DREAMS COME TRUE、KREVA…すごい人にはみんな愛がある

 ――今作にはDREAMS COME TRUEからの提供曲「普通の今夜のことを ‐let tonight be forever remembered-」も収録されていますが、楽曲や歌詞の印象は?

 僕が普通だったら使わないような言葉遣いというか「クソつまんない……」とかっていうのが楽曲の中に入っていて、普通にそういう男としての素の一面っぽい感じも、もしかしたら意識してくれたのかなって。日常であんまり「クソつまんない」って言うことはないけど(笑い)、でも確かに「何か面白くないな」とか「あんまりすることないな」って思う時ってあるじゃないですか。そういう日を一緒に過ごせる人やつまんないことも共有できるって、きっとスペシャルな関係性だと思うから、そういう逆説的な「普通の今夜を一緒に感じられるから普通じゃない」というか「スペシャル」っていう部分がすごくすてきに描かれているんじゃないかな、と個人的には思いました。

 ――ほかにも、ゴスペラーズの黒沢薫さん、「RHYMESTER」の宇多丸さん、KREVAさんといった方々とシングル曲でコラボレーションされていますが、皆さんとの共演で感じたことはありますか。

 まずはやっぱり、すごい人ってみんないい人なんですね。すごく温かくて愛がある人が多くて、やっぱりそういう人に自分もなりたいなってすごく思います。あとは、いろんな視点を持っている方が多いのかなって。物事を自分の主観だけで語るんじゃなくて、自分が思ってることを大事にしながらも、人がどう思っているのかとか、向こう側から見たらどういうふうに見えるんだろうかとか。そういうところは学ぶところがたくさんあるなと思います。

 ◇常にベストの状態でいるために

 ――ところで、ダンスの練習はどのようにしているんですか。また食事などで気をつけていることは?

 最近は年間の4分の1とか3分の1ぐらいはライブとそのリハーサルなので、それが練習になっているというか。歌って踊るための筋肉は、やっぱり歌って踊らないとつかないので、リハーサルをしてライブをして、歌って踊ってつけて。食事制限は、そのせいにしたくないっていうのがあって、しないようにしてます。ニュートラルな状態でいつでもステージに行けて、どんな瞬間でもベストを出せるっていうのがいいと思うので、「この時には同じものを食べて」みたいなルーティンとかは作らないようにしてます。

 ――お話をうかがっていると、勢いに乗る今の状況でも、平常心で現状を達観しているという印象を受けます。

 浮き足立ちたくないんじゃないですかね、きっと(笑い)。子供のころに「何をやってもマイケル」ってカッコいいな、だから「何をやっても三浦大知」っていうふうになりたいなと最初に思ってずっとやってきたから、今後も(スタンスは)変わらずに、変わり続けながらいろんなことをやるっていう感じでいけたらいいのかなって。だから、高さ勝負だけじゃなくて、横に面白そうなものがあったら、ちょっと横にそれてやってみるのもいいだろうし、ちょっと深いところに光ってるものがあったら、それを取りに行ってみるのもいいだろうし。いろんな手法で、でも三浦大知らしいナチュラルな感じで、新しいこと、面白いことにチャレンジしていけたらいいなと思っています。

 <プロフィル>

 みうら・だいち 1987年8月24日生まれ、沖縄県出身。97年に「Folder」のメインボーカルとしてデビューし、2005年3月にシングル「Keep It Goin’ On」でソロデビュー。三浦さんのリフレッシュ法は、神社仏閣巡りなどで「最近はなかなか遠出する時間がないので行けていないですけど、“気”がいい感じがするし、緑も多いのでリフレッシュになるというか、気持ちがちょっとリセットできる感じがあってすごく好きですね。あとは家でゆっくりしたり、買い物をしたり、ゲームをしたり。普通ですよ(笑い)」と話した。

 (インタビュー・文・撮影:水白京)

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