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女優の真野恵里菜さんが主演を務め、野島伸司さんが脚本を手がけたドラマ「彼氏をローンで買いました」(全8話)が、映像配信サービス「dTV」などで配信中だ。エリートの彼氏と結婚をして専業主婦になるという夢を持つ受付嬢の主人公が、猫をかぶりながら奮闘するが、毎日たまっていくストレス発散のためにローンで彼氏を“購入”する……というストーリー。ローン彼氏の刹那ジュン役は横浜流星さんが演じている。ヒロイン・浮島多恵を演じた真野さんに話を聞いた。
◇エッジが効いたせりふがリアル
今作への出演を聞いたときの印象を、真野さんは「タイトルの意味が分からなかったです。私の中で想像したのは、全然、恋愛運がなくて、普通に恋愛できないからこの際、お金で彼氏を買おうということなのかって思いました」と語る。「実際は本命の彼氏がいて、その人の奥さんになりたい、専業主婦になりたくて猫をかぶり、それがストレスになって耐えられないから、ストレスをぶつけられるもう一人の彼氏を買うという、すごく変わった設定。『そういうことか!』っていうのは台本を読んで理解しました」と笑顔で話す。
脚本はドラマ「未成年」などで知られる野島さんだが、「6年ほど前に野島さん脚本の舞台をやらせていただいたのですが、私よりも親の方が『えっ、野島伸司さん脚本の作品なの!』みたいな感じでした」と笑い、「そんな野島さんが今の時代にどんな恋愛ものを描くのだろうなというのは、すごく興味がありました」と語る。
台本を読んで、「コメディー要素があるので笑っちゃうんですけど、ハッとするようなせりふが織り込まれていて、人によって刺さるせりふは違ったりすると思いますが、いろんな要素があるところが野島さんらしいなって」と真野さんは感じたという。エッジが効いたせりふには「なるほどって思うものが多くて。『恋の賞味期限』とか『結婚したら男性はこうなる』『女性は憧れて結婚するけど専業主婦になったら旦那のストレスを抱えてイライラしちゃう』とか、結婚生活に夢を抱けないなって(笑い)。いっぱい現実をたたき込まれている感じがします」と苦笑い。
そして、「男性は多分この作品を見たら、『女子ってそんなことまで考えてるの?』『そんなはっきり言っちゃうの!?』って思うと思いますね。リアルです」と世の男性陣を思いやる。
◇自身が演じた多恵「いとおしい」
自身が演じた多恵について、「ちょっとダメダメな子なのかなと思っていたんですが、意外と芯が強い。専業主婦になるという一本の道を自分で引こうとしているけど、障害が出てきてへこんで、また立ち上がって、また壁にぶち当たって……というのを繰り返すので」と印象を語り、「自分とは全然違う子なので、だんだん多恵がいとおしくなってくるというか、正直なんだけどちょっとおバカだなって(笑い)。でもその素直さがいいなって憧れました」という。
そんな多恵の性格や行動には「私自身、勇気をもらうというか、私はどっちかというと冷めているというか、あきらめている感じなので……」と思いを寄せ、さらに多恵の本命彼氏・俊平(淵上泰史さん)について「他の女の子と歩いているところに会うんですが、出会う場所がいつも同じ(笑い)。ドラマあるあるなんですけど。『そんな詰めの甘いことをしないでよ』と、やっていてすごく思いました。いつも2人で歩いているところを他の女の人と歩いていたら、そりゃ分かるだろうって(笑い)」と楽しそうに話す。
それでも俊平のことを好きな多恵のように猫をかぶる女の子を、「可愛いなって思います。あざといとかよく言いますけど、そのあざといができている子ってうらやましいなって」という。「多恵みたいに彼に可愛いと思われたい、嫁にしたいって思われたいってなるために、栄養士の免許を取ったりとか、今の時代は嫉妬されやすいですが、気にせず頑張っている姿は、うらやましいなって思いました」と語る。
◇自身の猫かぶり体験とは
ドラマでは「猫をかぶる」ことがテーマの一つになっているが、「この仕事をしていると人に好かれたいとか思うので、それこそアイドル時代のときとかも、みんなに可愛いって言われたいから、ちょっと可愛い言葉遣いをしてみたり、ブログの自撮りを頑張ってみたりとか、いまだにしてますけど(笑い)」と自己分析しつつも、「いまだにそれをしている自分を見て、インスタとかも白ニットを着て決め顔して上げた写真とかあるんですけど、後にウェブニュースとかで取り上げられたりすると、なんか自分が恥さらしちゃったみたいな感覚になったりもします」と率直な心境を明かす。
そして、「猫かぶった分、あとからその反動をくらっています」と笑い、「いいことだと思います。このドラマは猫をかぶることを大いに上げているので。ドラマの冒頭で注意事項みたいに、『猫をかぶることを応援します』みたいなことが書いてあって面白い」と持論を語る。
俊平とジュンというタイプの違う男性について、「俊平さんは本当に仕事ができて仕事に真っすぐで、なによりも仕事っていう感じなんですけど、多恵目線ではなくて真野恵里菜目線から見ると、何、この人?ってどんどん思っていっちゃう」といい、「多分そういう人が多いと思うんですけど、最終的には、この人も一人の人間なんだなって、不器用なんだなっていう可愛さが出てくるので、そのギャップにやられると思います」と分析する。
一方、ジュンについては、「最初はどうしようもない。借金抱えているくせにえらそうというか(笑い)」と指摘するも、「多恵とジュンの中で気が合うというか、見えないお互いの関係性というか、思ってることだったり、多恵が悩んだときにほしい言葉だったりっていうのを自然と言ってくれたりもする」と説明。「専業主婦になりたいという夢をかなえてくれる人は俊平さんなんだけど、一緒にいて落ち着いたり気持ちが楽なのはジュンっていう。2人とも違うものを持っているので、どっちを取るかというのは、みんな意見が分かれるんだろうなって思います」と考えを語る。
◇多恵の姿を見て「面倒」と思わないで
真野さんなら俊平とジュンどちらを選ぶか聞くと、「ジュンです。猫をかぶらなくていいというか、多恵を演じていて一緒に喜んだりとか悩んだりとか励ましてもらったりとか、感情を共有できるのはいいなって思いました」と理由と共に語り、「少し前の自分だったら大人な人に憧れていたので、俊平さんを選んでいたと思います。バリバリ働いて第一線で頑張っているというのが、この人カッコいい、ついてきたいってなると思うんですけど。今は、どちらかというと一緒に何かを楽しみたいタイプなので、ジュンだなって思います」と説明する。
月額3万9800円のローンで彼氏を買うということが現実にあった場合、「怖いです! だまされそう。まして知らない男の人の借金をどうして背負わなきゃ(いけないのか)って思うし。1回名前を登録しちゃったら、その後もまた来るんじゃないかなって」と素直な印象を口にするも、「いつかこんな時代が来ちゃうのかなとも思うし、ちょっと見方を変えると怖いような題材を、明るくポップに描いているのは面白いです」とドラマのテーマ性の奥深さにうなずいていた。
極端な設定ながら、女性の揺れ動く恋心を描く今作だが、「途中から多恵はどうなるんだろうって。恋心って、自分は今、俊平と付き合っているから、その人との先のことを考えるけど、ジュンが近くにいてジュンに対しての気持ち、本心に気づいていないって場合もある」と言い、「多恵も俊平さんと一緒にいるためにジュンに手助けしてもらっているんだけど、一緒に過ごしている時間はジュンの方が長いし、自分のことをいろいろ知ってくれている。どこかでそれに気づくのかなって。そんなにいつも一緒にいるなら、ジュンの方が合うのでは、と演じていて感じました」と自身の見解を述べる。
そんなストーリーの結末については、「『そうなるの!?』っていう驚きがありましたし、それずるいって思いました(笑い)。夢があるなって。ただ演じていて納得はいきました」と意味深に語り、「女の子は、好きな人の前では今日笑っていようとか思うけど、実は裏では悩んでいたり、怒っていたりとかするっていうことを、男性には分かってほしい」と言い、「女の子が泣いているときにジュンのようにそっとそばにいてくれたり、怒っているときは『うん。うん』って聞いてくれたりとか。コロコロ表情が変わる女の子って可愛いなって、多恵を見て思ってもらえたらいいなって。面倒くさいって思わないでほしいです」と笑った。
<プロフィル>
まの・えりな 1991年4月11日生まれ、神奈川県出身。2006年に「ハロー!プロジェクト」の研修生「ハロプロエッグ」第2期メンバーのオーディションに合格。08年にはハロプロエッグを卒業して女優デビューし、「SPEC~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿~」で民放地上波の連続ドラマに初出演する。映画では「怪談新耳袋 怪奇」で主演を務めたほか、「仮面ライダー×仮面ライダー フォーゼ&オーズ MOVIE大作戦 MEGA MAX」では仮面ライダーなでしこを演じる。「機動警察パトレイバー」シリーズの実写化プロジェクト「THE NEXT GENERATION パトレイバー」に泉野明役で出演するなど女優として活躍。
(取材・文・撮影:遠藤政樹)