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映画「パンク侍、斬られて候」の一場面 (C)エイベックス通信放送
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映画「パンク侍、斬られて候」の一場面 (C)エイベックス通信放送

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注目映画紹介:「パンク侍、斬られて候」町田康×宮藤官九郎×石井岳龍が放つ時代劇 キャストの個性光る快作

 綾野剛さん主演の映画「パンク侍、斬られて候」(石井岳龍監督)が、30日から丸の内TOEI(東京都中央区)ほかで公開される。芥川賞作家・町田康さんの小説を原作に、宮藤官九郎さんが脚本を書いた。江戸時代、ちょっといい加減な超人的剣客がまいた種によって起こる騒動を、テンポよくパワフルな展開で描いた娯楽大作。綾野さんのほか、北川景子さん、東出昌大さん、染谷将太さん、浅野忠信さん、豊川悦司さん、永瀬正敏さんら豪華キャストが個性的なキャラクターに扮(ふん)し、生き生きとしたせりふ回しで大いに笑わせてくれる。

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 超人的な剣客の掛十之進(綾野さん)は、巡礼の物乞いを斬(き)りつける。掛が言うには「この土地に災いをもたらすから」という理由だったのだが……という展開。

 綾野さんと石井監督は「シャニダールの花」(2013年)以来、2作目のタッグとなる。アクションも激しく、難しいキャラクターに挑んだ。村上淳さん、若葉竜也さん、渋川清彦さんらも出演。國村隼さんと近藤公園さんが、劇中で猿回し芸に挑戦している。宗教団体の元幹部を演じた浅野さんが、せりふなしで強烈な印象を残し、猿の将軍を演じた永瀬さんの特殊メークもインパクト大だ。

 町田さん×宮藤さん×石井監督という、天才トリオの組み合わせで、パンクの最上級作品に仕上がった。現代言葉が飛び交う時代劇を、アクションあり、コメディーあり、ラブストーリーあり……と、さまざまな味つけで展開している。豪華キャストがひしめくだけでなく、頭にこびり付くくらいの振り切った演技が、摩訶不思議な世界へ観客をいざなう。テキトーな主人公が、テキトーを正当化するため、口達者に周囲を巻き込んでいくさまが、現代社会の写し絵となって、観客にさまざまなものを問い掛けてくる。

 ド迫力の猿との合戦シーンなどの特撮は、石井監督と30年以上の付き合いのある「シン・ゴジラ」(16年)の尾上克郎さんが担当した。猿1億匹と人間3000人がワンカット内に映り込んだ壮大な映像。キャラクター・衣装デザインに「銀魂」(17年)の澤田石和寛さんら、スタッフには映画界のすご腕が集まり、登場人物の個性を際立たせている。

 主題歌は、日本映画での公式な使用は初めてという英ロックバンド「セックス・ピストルズ」の「アナーキー・イン・ザ・U.K.」が採用された。エンディング曲は、宮藤さんが脚本を手がけたテレビドラマ「ゆとりですがなにか」(16年)でもおなじみの4人組ロックバンド「感覚ピエロ」が担当している。(キョーコ/フリーライター)

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