映画「音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!」の一場面 (C)2018「音量を上げろタコ!」製作委員会
俳優の阿部サダヲさん主演の映画「音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!」(三木聡監督)が、12日からTOHOシネマズ日比谷(東京都千代田区)ほかで公開される。“声帯ドーピング”のやり過ぎで喉が崩壊寸前の、阿部さん演じる世界的ロックスターと、吉岡里帆さん演じる驚くほど声が小さいストリートミュージシャンが偶然出会ったことで巻き起こる騒動を描いている。
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驚異の歌声を持つ世界的ロックスター、シン(阿部さん)。しかし、喉は声帯ドーピングで崩壊寸前だった。ある夜、ライブ会場から姿をくらましたシンは、一人の女性・明日葉ふうか(吉岡さん)と出会う。ふうかは、何事にも自信が無く内気で、おまけにストリートミュージシャンなのに声が異様に小さかった。シンの事務所の社長(田中哲司さん)とレコード会社のスタッフでシン担当の坂口(千葉雄大さん)は、シンの行方を必死に捜すが……というストーリー。三木監督作常連の麻生久美子さん、ふせえりさん、松尾スズキさんらも出演している。
HYDEさん作曲の主題歌「人類滅亡の歓び」を、ド派手で不気味なメークでシャウトするシンに目が点になり、ふうかのびっくりするほど小さい歌声に失笑する。ふうかが下宿するデビルおばさん(ふせさん)とザッパおじさん(松尾さん)の強烈キャラに圧倒される……。そんな個性的な登場人物たちが織りなす奇天烈な物語に、頭の中にクエスチョンマークがいくつも浮かんだ。だが、それこそが三木ワールドだった。
前半と後半のギャップが著しく、映画そのものの着地点が当初の想像といい意味で乖離(かいり)している。最終的には、とてつもなく格調高い作品を見せられた気がした。素顔のシン(というか、演じる阿部さん)がカッコよく、ボロボロになった喉を抱えながら、「やらない理由を探すな!」とふうかを叱咤(しった)する姿に一瞬にして背筋が伸びた。吉岡さんが半年間に及ぶ歌とギターの特訓の末にマスターした、あいみょんさん作詞・作曲のもう一つの主題歌「体の芯からまだ燃えているんだ」も必聴だ。(りんたいこ/フリーライター)
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