映画「億男」で主人公の一男を演じる佐藤健さん(左)と九十九役の高橋一生さん
俳優の佐藤健さんと高橋一生さんが出演する映画「億男(おくおとこ)」(大友啓史監督)が19日から公開されている。“お金”をテーマに、幸せや家族の絆とは何かを問いかける作品。佐藤さんが宝くじで当てた3億円と共に消えた親友を探してさまざまな億万長者との出会いを繰り返す一男、高橋さんが一男の親友で3億円と共に行方をくらますミステリアスな九十九を演じる。今回が初共演という佐藤さんと高橋さんに、共演の感想やモロッコロケの思い出、そして“朝ドラ”経験者の2人に出演後の変化などを聞いた。
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◇初共演の感想は? モロッコロケの思い出も…
映画は累計発行部数が76万部を突破している川村元気さんの「億男」が原作。兄が3000万円の借金を残して失踪し、昼は図書館司書、夜はパン工場で働き借金を返済する一男(佐藤さん)。そんな一男に妻(黒木華さん)は愛想を尽かし、娘と一緒に家を出てしまう。3億円の宝くじが当たった一男は借金返済と家族の絆の修復を目指すが、宝くじの高額当選者たちが悲惨な人生を送っているという記事を見て、大学時代の親友で、億万長者の九十九(高橋さん)にアドバイスを求める。久しぶりの再会と豪遊で酔いつぶれた一男が翌朝目を覚ますと、3億円と共に九十九は姿を消していた……というストーリー。池田エライザさん、沢尻エリカさん、北村一輝さん、藤原竜也さんらも出演している。
佐藤さんと高橋さんは、意外にも今回が初共演だった。お互いに撮影前と後で、印象に変化はあったのだろうか。佐藤さんは「大きく変わってはいないです。手に職がついている方は尊敬できるという意味で、やっぱりそういう(尊敬できる)方でしたね。確固たる技術を持っていて、何をやらせても信頼の置ける役者さんだと思いました」と話す。
高橋さんは「普段は圧倒的な“華”がある方だと思うけど、一男という人間を演じているので、それをしっかり抑え込まれていて。華を抑えつつ、一男という人をやられている感じが、九十九として、見ていてとても信頼できる。寄りかかれる人だなと思いました」と共演の感想を明かす。
壮大な砂漠などモロッコでのロケシーンが見どころの一つ。モロッコロケで、2人が印象的だったエピソードは「砂漠が一番印象には残っています」と佐藤さん。「砂漠に行ったことがなかったので、こんなに歩きづらいんだ、ラクダに乗る意味が分かるな、と。あと、朝夜がめちゃくちゃ寒いんですよ」と楽しそうに振り返る。高橋さんも砂漠が特に印象に残っているといい、「モニターを見たときに、とんでもない映像が撮れているなと思いました」と興奮気味に語る。
◇大友組の現場は「楽しい」
佐藤さんは「るろうに剣心」シリーズ、高橋さんは「3月のライオン」など、共に大友組の経験者。大友監督から、演技についての要望はあったか?と聞くと、2人とも即座に首を振る。佐藤さんは「監督が役者に要望することって、一種の強制になってしまうんですよ。俳優とすれば、監督から言われたことだからやらなきゃいけない、と束縛になってしまう。大友監督はそういうことを避けようとしている気がします。台本にも『ここで泣く』というようなことを書かない人。役者から自然と引き出されたものを撮りたい人だという気がします」と語り、「そういう現場は、僕は楽しいですね」と一言添える。
お金にまつわる人々と価値観を描いた今作の撮影を終えた今、2人のお金に対する考え方に変化はあったのだろうか。佐藤さんは「特にはないですね。なんとなく、こうなんだろうなと思っていたことを、個性的な登場人物たちが面白おかしく言語化してくれている、という感覚でした」と語る。高橋さんも「そういうものですよね。再認識するようなこと。ずっと前から知っている歌詞について『あ、こういう意味だったんだ』と気づくようなことだと思います」と話す。
◇朝ドラ出演で変化は?
2人に共通するのは、共に朝ドラ(NHK連続テレビ小説)経験者ということだ。佐藤さんは先月まで放送されていた「半分、青い。」で萩尾律を、高橋さんはその前の「わろてんか」で伊能栞を演じている。朝ドラに出演し、変化はあったのか。「出ている最中は、話題にされやすいんだな、注目されやすいんだな、と思いました」と佐藤さん。高橋さんも「それはありますね」とうなずき、「僕は2017年放送のNHK大河ドラマ(『おんな城主 直虎』)もタイミング的に連発してやらせていただいて。それから年配の方たちに認識していただけたなという実感はあります。事務所にいただくお手紙を見ていても、おじいちゃんから来ていたりする。それはとってもうれしいところですね」と笑顔を見せる。
朝ドラも大河も、ともに長期間の撮影で多忙を極めるが、2人のリフレッシュ法とは? 佐藤さんは「おいしいご飯とおいしいお酒、楽しい仲間たちとの会話。それが一番ですね。撮影が詰まっていてもちょっと空くと、友達を連れて飲みにでも行こうかな、という気持ちになります」。高橋さんは「昨年ぐらいから、忙しいからこそ、家に人を呼ぶようになりました。以前は呼ばなかったんですけどね」と変化を語る。
また、高橋さんは運動がいい影響を及ぼしていることも挙げる。「ただひたすらに運動する。運動すると余計な考えが浮かばなくなるから、脳みそを筋肉にしちゃう、というのはすごく大事な考えだなと改めて思いました。家でただひたすらに自転車をこぐと、いろんな思考が実は余計なものだったんだな、と気づきます。それが一番のリフレッシュ法かもしれないですね」と語る。
現在ドラマに映画にと大活躍の2人に、10年後の理想像を聞いてみた。佐藤さんは「ビジョンは作らないようにしている」といい、「自分がやりたいと思っていることをやれている人生であったらいいなと思うし、そういられるように、自分を高めていきたいなと思っています」と答えた。一方、高橋さんは「靴とか、作っていたいです(笑い)」と意外な答えが返ってきた。「ずっと一人で細工をしていたい。『お芝居の仕事があるんですけど』と連絡がくるまで、そんなことをずっとやっていたいですね」とほほ笑んだ。
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