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初のメジャーアルバム「Here We Go」をリリースした小西真奈美さん
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初のメジャーアルバム「Here We Go」をリリースした小西真奈美さん

小西真奈美:インタビュー・上 メジャー初アルバムの楽曲制作は「新しい自分と出会う感覚」 女優業にも影響

 女優の小西真奈美さんが、歌手としてメジャー初となるアルバム「Here We Go」を24日にリリースした。ヒップホップアーティストのKREVAさんがサウンドプロデュースした今作では、全曲の作詞・作曲を自ら手がけ、しなやかで時にクールな歌声とラップを披露している。女優としては20年のキャリアを持ち、最近ではNHK連続テレビ小説「半分、青い。」の全身緑のキャラクター加藤恵子役も鮮烈な印象を残した小西さんに、同アルバムの制作エピソードのほか、音楽の魅力や女優業との両立などについて聞いた。

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 ◇自作曲で潜在意識に気づくことも

 ――アルバム「Here We Go」のテーマや構成に気を付けたことは?

 曲順的には、最初のほうに割と聴きやすいラップを入れたり、バラードみたいな感じにして静かになった後、ビートでちょっと盛り上げて、最後はまたもう1回、私の曲を聴きたいとか、その次の曲も聴きたいとか、ちょっと余韻も感じてもらえるような流れで、というのは考えました。私のいろんな面を感じていただける作品になってるんじゃないかなと思います。

 ――小西さんは、役者と音楽活動の違いについて「役者は作品の役を私という人間を通して表現することに徹する仕事。自分は表現者ではあるけれどゼロからものを生み出しているわけではなかったし、音楽を作ったり、そういうクリエーティブなことをやっている方たちはとんでもなく素晴らしい。ゼロから生み出せるということは、ものすごいこと」と公式インタビューでおっしゃっています。それをご自身でやり始めて、新しい自分に出会える感覚があるということですが、具体的に“新しい自分”とは?

 例えば「韻を踏みたい」「メロディーにこういう音を当てたい」とか、音先行で言葉を探しているときに出てきたフレーズや言葉で、「生きてきて、こういうことは言ったこともないけど、でもこんな感覚、分かる!」みたいなことが結構あるんです。潜在意識でこういう感覚を持っていたのかなって。(タイトル曲の)「Here We Go」はそれが大きいですね。私だけじゃなくて人間の中にある、痛み、鬱屈、届かない部分、折れそうな部分……だけど、進もうとするパワーもある、みたいな多面的な部分だったり。社会全体も、豊かな半面、孤独な面がある気がしていて、そういうものをあんまり限定せずに届けられるものにしたいなというのはありましたね。

 ◇恋愛は臆せずにいくタイプ!?

 ――小西さんは演じるときも音楽を作るときも、まず映像で浮かぶことが多いそうですね。例えば「雨なんかに負けない……」というフレーズが印象的な楽曲「The Rainy Song」は、雨に打たれている女性の絵が見えて、それはキャリアもあってファッションもメークも完璧な女性のイメージだったそうですが、小西さんご自身が投影されている部分はありますか。

 私は、ハイヒールにカッコいい服を着て、雨に打たれたことなんて全くないんですよ(笑い)。だから何でだろうって私自身も思ったんですけど、でも女性って年齢を重ねて、社会的立場や人の目、いろんな経験値で強くならざるを得ないところがある気がしていて。本当は「守られたい」とか、弱い部分もあったりするけど、見せられない。私も年齢や経験を重ねて、ちょっとやそっとで、人前で「できない」「無理」、だから泣く、みたいなことにはならないけれど、弱さは絶対にある。私にはありがたいことに、そういうことを言える友達、家族、スタッフがいるけれど、誰にも吐き出すことができない、でも雨が涙を見えなくしてくれるし、打ち消してくれる……。そういうときにしか素の自分を出せない人もいるんじゃないかなって。

 ――恋の終わりの心情を描く「最後の花火」はどんなふうにインスピレーションが湧いたんですか。

 この曲は、サビの部分に私のティーンエイジャー時代の花火大会(の光景)が出てきたんですよ。でも、私と同世代や上の方でも何か感じていただけるものにしたい、というのがあって。それで歌詞を書きながら「折り合いつけて……」という言葉が出てきたときに、「折り合い」って大人じゃないとつけられないなって。大人になると、自分の立ち位置を考えて全力で行けずにあきらめちゃうことがある。でも心は動いてしまうもので、トキメキは止められないし、止められなくていいんじゃないかって。そういう恋愛をした自分もすてきに思える、みたいな感じ(の歌詞)になったらいいなと思って書きました。

 私は恋愛とか興味を持ったもの、チャレンジというものに臆せずいってみたいタイプなので、そういう自分も踏まえて愛して、また年齢や経験を重ねてもいいんじゃないかっていう気持ちが混ざっている部分はあると思いますね。

 ◇音楽に感じる“未知の可能性への楽しみ”

 ――音楽の経験が、女優業においてプラスになったことは?

 レコーディングをしながら映画の撮影をしていた時期があって、レコーディングが終わってからロケ地に行くということがあったんです。結構、遠い場所だったんですけど、移動中に台本を見たりしているときに、全く主題歌も何も決まってないのに、勝手にそのシーンに音が流れてくるんです。だからお芝居をするときも、映画のバックで薄く流れているような曲が頭の中で鳴って、それに助けられたりしました。

 ――今後も音楽活動は続けていきたいと思いますか。

 はい。今回はサウンドプロデューサーがKREVAさんだったので、ラップが多めになったり、昨年は亀田誠治さんとご一緒させていただいて、全くラップじゃない楽曲を配信で出したり。コラボレーションさせていただく方によって、どういう曲調のものを出していこうかって考えていくことになると思います。

 ――改めて、小西さんにとって音楽の魅力とは?

 とにかくいろんな出会いがあって、新しい自分との出会いもあるし、機材、音、言葉との出合い、エンジニアさんやスタッフ、そして聴いてくださる方との出会い……それがすごく面白いし、楽しい。そういう生み出していくことの楽しさは感じます。私自身、音楽は常に日常にあって、家でも移動中も、スタジオや取材前のメーク中でも常に曲をかけているし、気分がハッピーになったり、救われたり、寄り添ってくれたり、癒やされたりということが多いので、私の曲も誰かにとってそういうものになれたらいいなって。そんな“未知の可能性への楽しみ”みたいなものをすごく感じますね。

 ――ちなみに、小西さんが初めてハマッたポップカルチャーは?

 「SLAM DUNK(スラムダンク)」です。中学2、3年生のときにアニメですごくはやっていて、今は全巻(コミックスを)持ってます。夢を追いかける中で、挫折、仲たがい、勝ち負け、悔しさがあったり、でも喜びもあって……。仲間と一緒に進んでいくことの大切さみたいなものが、多感な時期の私には響くことが多くて、すごくハマりましたね。

 (インタビュー・文・撮影:水白京)

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