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佐藤健:「やるからには誰にも負けたくない」役者業に“中途半端”なし 30歳は節目の年に

 「男なんだからせめてひとつぐらい、自分の職業くらいは誰にも負けたくないと思う気持ちもある。けど、ずっと最前線を走り続けたいとも思わない。他に楽しいことが見つかるんだったら、いったんお仕事を休憩して人生を楽しむ、みたいなことも抵抗ない」

 こう語るのは、俳優の佐藤健さん(30)だ。佐藤さんといえば、代表作を挙げればきりがない。作品によって見せる顔が全く違うのに、どの役柄も外さず、モノにしてしまう印象がある。そんな佐藤さんが自分にも他人にも厳しいストイックな超ドSなドクターを演じるドラマ「恋はつづくよどこまでも」(TBS系、火曜10時)が、1月14日からスタートする。佐藤さんに今作への意気込みや、30歳の今の思いを聞いた。

 ◇“超ドSドクター”役は「楽しい」

 「恋はつづくよどこまでも」は、円城寺マキさんの同名マンガ(小学館)が原作。偶然起きた出来事で運命の男性となる医師と出会い、恋をした七瀬(上白石萌音さん)は、彼に会いたい一心で猛勉強し、晴れてナースに。念願かなって5年越しに再会した天堂(佐藤さん)は、毒舌ばかり吐く超ドSなドクターで通称「魔王」と呼ばれていた。天堂に素直な思いを伝え続け、くじけず突き進む「勇者」の七瀬と、「魔王」天堂の恋模様をユニークに描く胸キュンラブストーリー。

 佐藤さん演じる天堂は、容姿も仕事の腕もピカイチで周りの誰からも一目置かれるエリート医師。常に冷静で物事を慎重に見るタイプで、命を扱うがゆえに、同僚に対して過度に攻撃的で、一部の仕事ができるナース以外、人間扱いをしない。一方で、七瀬が困ったときには必ず助けてくれる。極度の甘党で甘い物を見るとついつい目が輝いてしまうという可愛らしい一面も持つ……という役どころだ。

 今作への出演が決まったときの思いを、「こういったジャンルのものも新鮮だし、連続ドラマってこともそうだし、非常に楽しみにしていました」と話した佐藤さん。天堂については、「命に関わる現場に身を置いているわけなので、ひとつのミスが誰かの生死に関わってしまう。そういう意味では、とくに厳しくなるっていうのは共感できる部分が多いですね」と理解を示す。

 劇中には、天堂が七瀬に対して心ない言葉を浴びせる場面が登場するが、「(自身が)普段言っていることを思い出しながらやっています」と話した佐藤さん。記者が「普段もそういったことがある……?」と聞き返すと、「ございません(笑い)。全然自分と違う役なので難しいです。想像力を働かせながら……(笑い)」とユーモアを交えて話す場面もあった。

 “ドSなセリフ”を含め、天堂を演じているときは「楽しい」といい、「普段ここまで人に厳しくできないし、怒ったりする機会がないので、ちょっとスッキリする(笑い)」と明かす。視聴者に対しては、「ただただ、ひたすらひどいことを言い続けるので、僕のことを嫌いにならないように約束していただいたら見てもいいです(笑い)」と“ドS”な天堂っぽく呼びかけた。

 ◇役者業を続けられていることが「非常に幸せ」

 佐藤さんは、1989年3月21日生まれ。埼玉県出身。A型。2006年に俳優デビュー。2007年、特撮ドラマ「仮面ライダー電王」(テレビ朝日系)で連ドラ初主演を果たし、脚光を浴びる。その後、数々のテレビドラマ、映画作品などに出演してきた。

 近年では、映画での活躍が続いていたが、2018年には、連続テレビ小説(朝ドラ)「半分、青い。」で、永野芽郁さん演じるヒロイン・鈴愛の幼なじみで、優しく傷つきやすいところがあるクールな理論派・律を演じた。同時期に放送されたドラマ「義母と娘のブルース」(TBS系)でのポジティブキャラ・麦田との演じわけで、注目を集めたことも記憶に新しい。

 2019年は、今年公開の佐藤さんの主演映画「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning」(大友啓史監督)の撮影から始まり、合間に30歳を迎えた。その後、映画「ひとよ」(白石和彌監督)の撮影を行っていたといい、「皆さんにとってもそうでしょうけど、僕にとっても新たな時代、人生のステージ。次の章が始まったなという年だったんじゃないか。作品的な意味でも節目だった感じはありますね」と手応えを語る。

 そんな役者業を「非常にやりがいのあるお仕事なので、続けられていることが非常に幸せなことだと思っています」と話す佐藤さん。「見られる仕事だからダサい姿を見せたくないし、ファンの方たちのためにもって思うし、男なんだからせめてひとつぐらい、自分の職業くらいは誰にも負けたくないと思う気持ちもある」と思いを口にする。

 今後についてのビジョンは持たないというが、理想像を聞くと「知識があるということにもつながるし、なんでもいいんですけど、すべての質問に答えられる人になりたい」と話す。

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 佐藤さんといえば、どちらかというとクールな印象があったが、今回の取材では、ユーモアを交えたり、上白石さんら共演者と、一週間かけて決めたという「好きな食べ物ランキング」の話をしてくれたりと、意外な一面がたくさんあった。ちなみに、佐藤さんの1位はすし(コハダ)、2位は白米、3位はおにぎり(具は塩、辛子明太子、ツナマヨ)だそう。

 数々の作品で結果を残してきた佐藤さん。「やるからにはやりたい。中途半端に、というのはたぶんない」と語るように、全力でぶつかってきた。当然、良い作品に巡りあうという「運」の要素もあるだろうが、「佐藤健という役者」だからこそ、より良いものになっている部分も大きいのではないか。

 一方で、「ずっと最前線を走り続けたいとも思わない」と率直な思いも告白した佐藤さん。「今は楽しいから仕事をずっとやっているんですけど、他に楽しいことが見つかるんだったら、いったんお仕事を休憩して人生を楽しむ、みたいなことも抵抗ない。そういうふうにいつかは絶対なると思う」と続ける。そんな心持ちも「佐藤健」を作っているのだと妙に納得した。

 役者としても、一人の人間としても脂の乗る30代への思いを、「変わらずに仕事に一生懸命向き合って、いい作品と出会えて、いいパフォーマンスができたらいいな」と話す。「恋はつづくよどこまでも」の天堂役で幕を開ける佐藤さんの2020年、そして今後の活動にも期待したい。

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