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私が30歳のころ:南果歩さん 仕事、結婚、出産…「人生思いどおりにはならない」と知った インタビュー1回目

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 第一線で活躍する著名人の「30歳のころ」から、生きるヒントを探します。第3回は女優の南果歩さん。当時の思い出や、アラサー時代をより輝かせるためのアドバイス、2月4日に発売する自伝エッセー「乙女オバさん」(小学館)について聞きました。(全3回、編集・取材・文/NAOMI YUMIYAMA)

 ◇仕事に夢中だった20代。二人の名監督との出会い

 1964年、兵庫県の尼崎で5人姉妹の末っ子として誕生した南さん。大学時代に「泥の河」で知られる小栗康平監督の映画「伽や子のために」(「や」はにんべんに耶)のヒロインオーディションに挑み、約2200人の中から抜てきされた。

 映画デビューした南さんは、美しくフレッシュな若手女優として、ドラマや映画、舞台などで活躍した。

 「あのころは仕事しかしていませんでした。そもそも結婚願望もないし、子供も持つつもりもなかったんですよ。女優の仕事は面白かったし、突き詰めたかった。もっとやれる、もっとやれるという感じで過ごしていました」

 仕事にまい進していた27歳のとき、大きな話が舞いこんできた。「アマデウス」「カッコーの巣の上で」のミロス・フォアマン監督が手がけるアメリカ映画のオーディションだった。ミロス監督の大ファンだった南さんは英語の特訓をして審査に挑み、名監督の仕事への情熱に感銘を受ける。

 「キャスティングにものすごく時間をかけるんです。オーディションのためだけに主役の男性を連れてきて一緒に撮影したり。ミロスの作品に懸ける熱量や本気度に、ここまでやるのかって思いました。小栗監督と共に、私の役者人生を変えた監督です」

 結果的に出演はかなわず、挫折。だが、そのときの体験は、南さんの女優人生の大きな財産になった。そんな「仕事一筋」の南さんに、予想外の30代が待ち受けていた。

 ◇結婚、出産、シングルマザーとして奮闘

 31歳のとき、南さんは作家の辻仁成さんと結婚した。妊娠していたことがわかり、「母になろう」という気持ちが芽生えたのだ。妊娠ライフは驚きと楽しさの日々だった。

 「今思うと、不思議な体験をしたなという感じですね。おなかの中にムニュムニュ動く人がやってきた感じで(笑い)。ええっ! こんなことになるんだ自分の体が、と。ずっと誰かと一緒にいる気がしましたね」とほほ笑む。

 だが出産時に妊娠中毒症にかかり、生死をさまよう体験をする。

 「ICUに2週間ぐらい入って、家族は覚悟してくださいという状況でした。自分がどんどん消えていくような感覚があって、出産というより、命のギリギリまでいったと思いましたね。退院したときは、自分だけでなく、もう一つの命もいただいたと感じました」

 回復後は仕事に復帰して、5年後に離婚。その後は仕事と子育てに奮闘した。「まさに激動の30代でした。20代とはまた違う余裕のなさで……。特に後半は、シングルマザーだったことが大きかった」と、心情を明かす。

 そんな30代を通して南さんが「いちばん勉強になった」と感じるのは、「人生思いどおりにはならないことです」と苦笑する。だが、その表情は明るくポジティブだ。

 「30代も仕事をするつもりでしたので、予想したパターンとは全然違いました。でも、降って湧いた変化をおもしろいなと思ったんです。たまたま子供を授かって、その後の流れは全部自分で決めた。これはこれで、自分の新しい季節が始まるのかなと感じました」

 今年、58歳になる南さん。昨年はカナダに2カ月間滞在し、国際的スターと共演するドラマの撮影に一人で挑んだ。今年は自伝エッセーも出版し、海外の気鋭監督による2本の新作映画も公開予定だ。めざましい活躍の陰には、30代のころの出会いや試練が息づいている。

 「あのころの体験は自分に必要なものだったと感じます。これからも失敗を恐れず、失敗さえ笑い話にしながら、人生を笑顔で生きていけたらと思います」

 ◇プロフィル

 みなみ・かほ 1964年生まれ。1984年に映画「伽や子のために」(「や」はにんべんに耶)の主役でデビュー。映画、テレビ、舞台などで活躍。2022年はAppleTVのドラマシリーズ「PACHINKO」、ブリランテ・メンドーサ監督の「GENSAN PUNCH」、ダニエル・デンシック監督の「MISS OSAKA」が公開予定。

 *……「乙女オバさん」(小学館)▽南果歩・著▽2度の結婚、突然の病、そして大切な人との別れ――女優・南果歩が書く、うつむきそうな全ての人にエールを送る自伝エッセー▽2月4日発売、1430円

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