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女優の吉田羊さんが、オール女性キャストで挑んだ主演舞台「ジュリアス・シーザー」のブルータス役の演技で、56回紀伊國屋演劇賞の個人賞を受賞し、1月27日、紀伊國屋ホール(東京都新宿区)で開催された授賞式に出席した。吉田さんは受賞の喜びを述べ、「今年、俳優25周年を迎えることになりました。ここまで“連れてきてくださった”お一人お一人への感謝の思いを新たにし、演劇がもたらしてくれる喜びに数多く出合っていけるよう、これからも精進していきたい」と話した。
受賞作について「お話をいただいたとき、シェイクスピアが苦手だった。正直、不安でしたが、その背中を押したのは、『迷ったら難しい方を選びなさい』というある方の言葉」と告白。「登らないと思っていた山の頂には見たことのない景色が広がっていた。一筋縄ではいかない古典戯曲との真剣勝負は、このうえない楽しさと喜びと手応えを与えてくれ、今はシェイクスピアの魅力にとりつかれています」と充実感たっぷりの笑顔を浮かべていた。
また、「4度目の緊急事態宣言が解除されて10日後に開幕しました。毎日、感染者数とにらめっこし、文字通り祈りながら毎日、舞台に立ち続けた」と上演当時を回顧。「舞台が無事に開幕して閉じることは奇跡であり感謝。それを教えてくれたのは、皮肉にもコロナでした。それを作り手と観客が一体となって実感できたことはとても素晴らしいこと」と逆境でも前を向き続けて得られた思いを口にした。
紀伊國屋演劇賞は、紀伊國屋書店が主催する新しい芸術創造の進展に寄与することを目的とした賞。毎年1月から12月までの間に東京で上演された演劇を対象に、団体および個人を表彰する。
授賞式には、劇団俳優座代表の岩崎加根子さん、ひびのこづえさん、松尾貴史さん、緒川たまきさん、上村聡史さんらも出席した。
◇受賞作品と受賞者は以下の通り(敬称略)
団体賞:劇団俳優座「正義の人びと」「雪の中の三人」「インク」「戒厳令」「面と向かって」▽個人賞:ひびのこづえ「フェイクスピア」の衣装、松尾貴史「鴎外の怪談」の森林太郎(鴎外)の演技、緒川たまき「砂の女」の女の演技、吉田羊「ジュリアス・シーザー」のブルータスの演技、上村聡史「Oslo(オスロ)」「森 フォレ」の演出