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第一線で活躍する著名人の「30歳のころ」から、生きるヒントを探します。第6回は歌手の藤あや子さん。当時の思い出や、アラサー時代をより輝かせるためのアドバイス、初めての写真集「FUJI AYAKO」などについて聞きました。(全3回の2回目、編集・取材・文/NAOMI YUMIYAMA)
仕事も私生活も女性にとって30代は人生の方向性が迫られる大切な時期。藤さんに、アラサーのころにやっておいてよかったことを尋ねた。
「料理ですね。子供のころから好きだったんです。少女時代はよく両親に『毎週日曜は自分の好きなものを一品だけ作らせて』と頼んでいました。父が病気をしていたので、料理上手の母はよく無添加やオーガニックの素材で食事を作りました。私も30代のころは、どんなに忙しくても父と娘に朝は総菜を作っていました。成長した娘は、家事も料理もしっかりこなせるので、続けてよかったなと思います」
アラサー時代から、艶やかな美しさが人気の藤さん。美しくあるためにも料理は大切だったと語る。
「サプリメントを取ることもいいのですが、一番は食事だと思います。口に入れる食べ物は、水にしても調味料にしてもすべて自分で選ぶし、自分の合格点のものしか取り入れません。そんなふうにしてやってきたんです」
◇仕事は目標を決めたら逆算して行動 大切なのは継続すること
演歌歌手として、約35年のキャリアを持つ藤さん。作詞や作曲など、「表現者」としてさまざまなことにも挑戦し、芸の幅を広げてきた。
「飽きるのが一番嫌なんです。当時から自分が次のステージにいくために、今何ができるのかを考えていました。目標をもって、逆算してそれを考えているのが好きなんですよ。仕事で大切なのは、継続すること。30代の場合、まだ自信がない部分もあると思いますが、続けていくことがやがて自信につながる。私自身も続けていたから今があります」
仕事で不安や限界を感じた時に、大切にしている言葉がある。
「30代前半で、苦しくて歌もやめようと思った時がありました。そんなとき尊敬する方が『好きな道は正しい道よ』と言ってくれて。その言葉は自分がやっていることは間違っていないと、後押ししてくれました。生きていると、ときに何が正しいのかよくわからなくなることがありますよね。そんなとき『好きなこと』を中心に考えればいいと思ったら、何かがふっきれたんです。苦手なことも好きなことをするために我慢しようと思うようになって、苦じゃなくなりました」
忙しい日常には、癒やしも必要。藤さんは3年前、義母から引き取った保護猫の「マル」と「オレオ」と暮らしている。猫たちの日常をユーモアあふれるコメントで紹介するインスタやツイッターは大人気で、去年は写真集も刊行した。
「猫ちゃんといるとめちゃくちゃ癒やされるんです。昨日も1時間ぐらい猫のおもちゃで遊びまくって、気づいたら足が傷痕で血だらけでした(笑い)。大好きな料理もそうですが、今、一日をすごく楽しみながらすごしています。30代は、死んでしまいたいと思うくらい苦しいこともあったけれど、今振り返ると、苦しみは栄養になっている。本当につらいとき、すぐには無理かもしれないけれど、自分を信じて進んでいれば大丈夫。人生って捨てたもんじゃないと思います」
<プロフィル>
ふじ・あやこ 演歌歌手。1961年生まれ、秋田県出身。1985年にNHK「勝ち抜き歌謡天国」で優勝し、1989年にシングル「おんな」で再デビュー。代表作はシングル「こころ酒」「むらさき雨情」など。
*……写真集「FUJI AYAKO」▽講談社▽4月15日発売。4950円
*……次回は4月17日掲載予定