取材に応じた榮倉奈々さん
女優の榮倉奈々さんが、プライム・ビデオで10月21日から世界同時配信されるオムニバスドラマ「モダンラブ・東京~さまざまな愛の形~」に出演する。七つのエピソードのうちの一つ「私が既婚者と寝て学んだこと」で主演を務めた。セックスレスで離婚したのを機に、マッチングアプリで見知らぬ男性とその場限りの関係を結んでゆく主人公・加奈を演じ、「自分の本心はどこにあるのか?という旅に出ている女性の物語」と語る榮倉さんに、理想の愛の形や夫婦のあり方、そして、自分にとって一番大事なものについて聞いた。(取材・文/服部広子)
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◇自分のなかにある多様性を受け入れることが救いに
「作品の原案は、ニューヨーク・タイムズ紙のコラムに投稿された一般の方の実体験です。このドラマを通して、時の流れを一緒に経験することが人と人とのつながりを深めていくことだと学びました」
大学で生物学の教員として働く加奈は、論理的で聡明な女性。
「私自身も、これはこうだからと頭の中で道筋を作るのが好きです。ただ、論理的に物事を考えすぎると、逆に自分を苦しめるときがあるようにも思います。
こうするべきだ、こうしなきゃいけないっていう気持ちのほうが勝って、自分の気持ちが見えなくなってしまうこともあるかもしれませんが、日々自分の本心を問いただす訓練も必要ですよね」
加奈の元夫で、フリーライターの圭介を演じたのは柄本佑さん。共演は17歳のときに映画で共演して以来。圭介のような懐の深さと温かさを感じたという。
「当時は、2人とも思春期だったので、ひと言も話さなかった記憶です(笑い)。でも、今回大人になって再会して、楽しくお話をさせていただきました。包容力を感じましたし、とても尊敬できる方です」
ドラマは、セックスレス、マッチングアプリでの出会いと価値観が多様化してきた現代だからこそ描くことができる題材。
「お互いを認め合う懐の深さを持ったほうが人生は楽しいと思いました。何でも白黒つければいいわけではなく、グレーでもいいのかなと……。まず、自分のなかにある多様性を受け入れることが自分の救いになるのかなと思って」
◇理想は「10年後に答え合わせができる関係」
そんな榮倉さんが考える理想の愛とは……。
「今、話し合っても答えが出ないものは、いったん静かに見届ける。そして10年後に『あのときのあれってこういうことだったんだね』と一緒に答え合わせできる。そういう愛ってすてきだと思います。話し合いは確かに大事。でも、時間も大事だなと感じます。
問題を解決するばかりがいいわけではないのかなと思います。“寝かせられる”というか、俯瞰(ふかん)で見られる勇気というのもあると思って。これは自分自身の反省点でもあるのですが、自分に余白を作ってあげることは大事で、自分を癒やすことになるのかなと思います」
さらに、10年後に答え合わせができるような夫婦の関係が継続するためには、「感謝の気持ちだけは常に伝えること」と榮倉さん。
「相手に対しても、自分に対しても無理をしないとか、いろいろあると思います。でも、感謝の気持ちは、その瞬間に言うことを大切にしています。朝のあいさつも大事ですよね」
◇子供の存在で仕事と私生活のバランスが良好に
ライフスタイルが変化していく中で、美しさに磨きがかかる榮倉さん。日々、欠かせないケアや美容法を聞いた。
「酵素風呂が大好きで、できれば週に一度は行きたいなと思っています。ただ、これはスペシャルケアです。日々のケアは洗顔をして、水分をたっぷり肌に“入れる”ということくらい……。以前はストイックな運動をしましたが、自分の時間をとることが難しくなってからは、本当に自分が必要としている栄養を意識してとるようになって、体が楽になったように感じます。
とにかく、自分の“体の声”を聞くことができるようになったというのが大きな変化で、何か特別なことというより、焦らずに、日々丁寧に過ごすというのが大事なんだと思います」
ストイックな性格は、運動も、仕事も、時としてやりすぎてしまうこともあるが、子供の存在がいい影響を与えている。
「今は子供たちがいることで、仕事とプライベートのバランスがよくなったように思います。無理なく、丁寧に向き合っていければいいなと思っています。
今回の撮影も、スケジュールの調整は大変でしたが、受け入れてくれた家族やスタッフさんには本当に、感謝しています」
最後に、榮倉さんにとっていま一番大切なものを聞いた。
「子供たちと楽しく遊ぶ余裕が大事です。以前は特に趣味がなかったのですが、今は家族が一番の楽しみです」
*……「モダンラブ・東京~さまざまな愛の形~」/2019年に米国で製作され話題を呼んだアマゾン・オリジナルドラマ「モダンラブ」の舞台を、東京に移し、新たな物語をオムニバス形式で描いた。忘れかけていた大人の恋心、息子や母親への愛、国境を越えて芽生える愛など7編。榮倉奈々さん、水川あさみさん、伊藤蘭さん、成田凌さん、永作博美さん、ナオミ・スコットさん、黒木華さんらが主演。監督を平栁敦子さん、廣木隆一さん、山下敦弘さん、荻上直子さん、黒沢清さん、山田尚子さんが担当した。
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