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第一線で活躍する著名人の「30歳のころ」から、生きるヒントを探します。今回は俳優の筒井真理子さん。当時の思い出や、30歳をより輝かせるためのアドバイス、5月26日に公開される映画「波紋」(荻上直子監督)などについて聞きました。(全3回の2回目、編集・取材・文/NAOMI YUMIYAMA)
結婚、出産、キャリア……。選択肢が多いアラサー時代は、いろいろ悩みが多い時期。映画やドラマ、舞台で活躍する筒井さんに、自身が「30代でやっておいて良かったこと」を尋ねた。
「30代は、あがいたことですね。当時は仕事に結婚、子供と、すべてに悩んでいました。今では信じられないと思いますけど、あの時代は“結婚適齢期”とか“クリスマスケーキ”という言葉があって、24歳までに結婚できなければ売れ残りと言われていました。私の周りもみんな結婚していくし、出産する年齢のリミットもありました。
私といえば結婚を考えたこともありましたが、迷った挙句、夫はいらないけれど、子供はほしいなと思って、卵子の凍結について調べたこともあります。結婚していなければ凍結できなかったので、実現はしませんでした。ちょっと早かったんですかね(笑い)」
そう言ってほほ笑む筒井さんは、当時、役者の仕事をやめることも考えたと明かす。
◇仕事を離れた2年間 あがくことの大切さに気付いて
「プライベートのことですごく迷って、2年ほど仕事を離れていたことがあったんです。そうしたら友人の一人に、『あがいても、どうにもならないのよ。でもあがかないと、どうにもならないのよ』と言われたんです」と、筒井さんは続ける。
「すごくすてきな言葉ですよね。確かに、あがいたからこそ、あきらめて楽になることもある。一生懸命やったことって決して無駄にはならないし、そのちょっと先に何かが見えてくるんだと思いました。
私は今、年をとることが楽しいのですが、そう感じられるのもこれまでフワっと生きてきたのではなく、地に足をつけながら納得して生きてきたという実感があるからです」
自らの体験をそう振り返った筒井さんに、30代へのメッセージを尋ねた。
「だから30代のみなさんも、やりたいと思ったことはやってみてほしいです。たまには大失敗するかもしれないけれど、やらない後悔よりは良いと思います。30代は時間のリミットを感じるかもしれませんが、意外に一つ一つ向き合っていく時間はあると思います」
<プロフィル>
つつい・まりこ 早稲田大学在学中に劇団「第三舞台」で初舞台。第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で審査員賞を受賞した「淵に立つ」(深田晃司監督)の演技力が評価され、複数の映画祭で主演女優賞に輝いた。主演作品「よこがお」(深田晃司監督)で芸術選奨映画部門文部科学大臣賞受賞。