著書「50歳の棚卸し」を発売し取材に応じた住吉美紀さん 撮影/大坪尚人(講談社写真映像部)
<インタビュー前編>選んだ道を正解にしていくのが人生 「直感がすごく大事」
16年ぶりとなる著書「50歳の棚卸し」(講談社)を出版したフリーアナウンサーの住吉美紀さん。人生の折り返し地点を迎え、今後の生き方などを語った。(前後編の後編)
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◇52歳、折り返し地点 「やっぱり健康じゃないと」
現在52歳。人生100年と考えると、折り返し地点を過ぎたばかりともいえる。
「本当に失敗とか無駄と思えるようなこともいっぱいあったんですけど、そういうことがあったからこそ今があると言えるくらいに、日々反省したり、経験を生かしたりしながら生きているのかなと思います。失敗も含めて、今の自分を作ってきてくれたのがこれまでの50年。これからは肉体とやる気の戦いになりそう」
以前、番組で共演していた脳科学者の茂木健一郎さんは、「脳は経験とともにどんどん発達するが、肉体のほうはどうしても衰えてきてしまう。その衰えをいかに少なくして、体力や気力が落ちないようにするかで、人はその経験とともにどんどん賢くなれる可能性を秘めている」と言っていたのだという。
「できること、考えられることを生かすためにも、どれだけ心身の健康を維持していくかということだと思います。年齢とともにできることの質も量も変わってくる。でも、やっぱり健康じゃなきゃ何もできません」
◇女性が働く大変さのベースは解決しない
書籍では、NHK勤務時代に職場でかけられた、女性にとって厳しい言葉も明かしている。
「少し前の話なので、状況は変わってきて、今、新人として社会に出ている方が、私と同じような体験をしているとは思わないんですが、ベースにある大変さが解決されているかっていうと、決してそうではないと思います。
子どもを産む大変さはもう生き物として当たり前にあって、産んだ後も育児をしながら働くということも。会社の制度とか、社会の仕組みが変わっていても、現実として、私の周りではものすごく大変だという、働く女性の声があります。担当しているラジオ番組でいただくメッセージも『ワンオペで踏ん張っています』という方がたくさんいらっしゃるし、あと親の介護と重なっちゃって、すべてを自分が面倒見ているという声も聞きます。もっと変わってくればいいのにと思うと同時に、組織に入って毎日同じ、決められた時間数オフィスワークをするという働き方自体が実は、女性の心身の自然なリズムと、不一致なのかもしれないというのは、自分でも働きながら思っていました」
コロナ禍以降、在宅ワークが増えて、さらに状況は変わってきているが、「在宅は在宅で、仕事も家事も全部が地続きになって、うまく切り替えができなくて疲れてしまって大変だという話も聞く」といい、「近代社会って、いろんな不自然なことをしてきているなと思います」と話した。
◇ちょっとしたことでも楽しんで人生をプラスに変える
住吉さんはそんな女性たちを応援したいという気持ちが強くある。
「NHKにいる頃から女性を応援したいという気持ちはずっとあります。自分より少し上の世代も、若い世代も、みんなが生きやすくなってほしいし、楽しく生き生きと暮らしてほしい。応援が必要な人を、応援する役割になれたら。本の中で不妊治療のこともしっかり書いたのもそんな思いからです。うまくいかないことを抱えている方への応援歌のような魔法になればと思います」
最近、楽しかったできごととして、大ファンだという、テイラー・スウィフトさんの婚約発表をあげた住吉さん。目を輝かせながら彼女への愛を楽しそうに語る姿は、ポジティブなオーラがあふれている。
「“推し”のことはつい熱く語っちゃうんです(笑)。ちょっとしたことを楽しむっていうのは、私の日常では大切なことかもしれません。私の勘が楽しいことを引き寄せたって思い込むことでも、人生をプラスに変えています。自分の選んだことが正解だって」
<プロフィール>
すみよし・みき 1973年4月5日生まれ、神奈川県出身。大学卒業後、1996年にNHKに入社。「プロフェッショナル 仕事の流儀」「スタジオパークからこんにちは」など数々の番組を担当。2011年3月にNHKを退社し、フリーに。
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