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「宮古島に住みたい」。そう思い至ってから、いったい何年が過ぎただろうか。
透き通るような“宮古ブルー”の海と、豊かな緑の息吹が共存する沖縄県・宮古島に、久々に足を運んだ。だが、この度は「永住したいラグジュアリー・ヴィラ」に出会ってしまった。
約半世紀の歴史を持つラグジュアリーホテルブランド「ROSEWOOD」の日本初進出となる「ローズウッド宮古島」が、2025年に誕生。1周年となる機会に滞在したがゆえだ。
世界中のセレブリティーを魅了してやまないこのブランドは、どのような哲学を持って宮古島にやってきたのか。「ローズウッド宮古島」の魅力を堪能するとともに、真の贅沢(ぜいたく)とは何かを探る旅へと誘いたい。 (エッセイスト、たまさぶろ)
◇日本初上陸 「ROSEWOOD」の世界観
ROSEWOODというブランドの歴史は、1978年のアメリカ・テキサス州にまで遡る。ある富豪が自身の邸宅(レジデンシャル)にホテルの機能を持たせてオープンしたのが、その歴史の幕開け。以来、ROSEWOODは「センス・オブ・プレイス(A Sense of Place)」、すなわち「その土地の歴史や文化、感性を尊重する」という確固たる哲学を掲げ、北米、欧州やアジアなど、世界各地のアイコニックな都市やリゾート地に、その土地の個性を色濃く映し出した唯一無二のプロパティーを展開し続けている。2025年、「ローズウッド香港」が「世界のベストホテル50」で頂点を極めるなど、ますます注目を集めている。
◇ハーバード卒、5児の母であるオーナーが描く「妥協なきリゾート」
現在のローズウッド・ホテル・グループを率いるのは、香港の財閥「ニューワールド」グループの一角を担うソニア・チェン氏。祖父の代からホテルビジネスを手がけていた環境で育った彼女は、幼い頃からホテルという特別な空間を遊び場とし、その魅力を肌で感じてきた。「いつか自分の手でホテルを手がけたい」。そんな純粋な情熱を胸に成長した彼女は、ハーバード大学へと進学し、優秀な成績で卒業したスーパーウーマンである。
しかし、彼女の最も魅力的で人間味溢れる側面は、彼女自身が「5人の子どもを育てる母親」であるという事実。仕事と家庭を両立し、すべてを手に入れているかのように見える彼女であっても、1人の母親としての切実な悩みがあった。「高級ホテルは子ども連れに優しくない」という自身の経験から、「ご夫婦でスパを楽しんでいる間、安心して子どもを預けられる場所を作りたい」という強い思いを抱いた。
その結果、ローズウッド宮古島には「エクスプローラーズ・クラブ」という充実したキッズクラブが設けられている。世界から集まったゲストの子どもたちが、言語の壁を越えて遊ぶ小さな公園は、彼女のそんな優しい思いやりから生まれた。親は日常の重圧から解放され心ゆくまで自分自身を労わり、子どもは新しい世界と友人に出会う場となっている。
◇宮古島の地形を生かし、自然と共鳴するヴィラ
「ローズウッド宮古島」の設計に携わったのは、世界的な建築デザイナーであるピート・ブーン氏。氏が最も大切にしたのは「宮古島のありのままの自然を生かす」こと。ホテルへ向かう小道はサトウキビ畑。そこを抜け敷地内に入ったとしても建物の全容はすぐには見えないように計算されている。地形の隆起を生かし、あえて見え隠れするように配置された建物は、プライバシーを守るだけでなく、訪れる人に期待感と高揚感を与えてくれる。
こぢんまりとし、派手さのないロータリーにクルマを寄せ、エントランスへと迎え入れられても押し付けがましい豪華さはない。むしろシンプルでシックな通路を進むと眼下に敷地とビーチ、そして宮古ブルーの海を望むウインドーに出会う。自然こそが主役となった設(しつら)えに、予備知識なしなら「うわー」と歓声を上げることだろう。
左手には心地よいソファが配置され、そのままレセプションとなっている。天気の良い日なら、ウインドーは開放され、レセプション中にも爽やかな風が背後からゲストを包み込む。否が応でも、高揚感に襲われるだろう。
◇台風にも耐えうる、琉球の知恵とデザイン
敷地内に点在する全55棟のヴィラ・スイートに当たるハウスへは、宮古の強い光に包まれながらカートによる案内で移動。珊瑚を模した外壁の設えは、宮古島らしさを色濃く感じさせる。建物の高さが低く抑えられているのは、襲来する台風に備えるため。軽トラが飛ばされるほどの強風に晒(さら)された過去もある宮古島の自然の脅威に対し、徹底した対策が施されている。その結果、どこかビーチハウスのような、親しみやすく開放的な佇(たたず)まいが生まれた。
室内は、華美な装飾を抑えたシンプルなデザインで統一。まるで「自分の家」のようにくつろげる空間が広がっており、「今日は死んだように寝られる」と表現されるほど寝心地の良いベッドのリネンやマットレスも、この上ないリラックスタイムを約束してくれる。朝には、クジャクやイソヒヨドリの鳴き声で目覚める……そんな非日常の体験が待っている。それこそが「永住したい」と思わせる魅力だ。
また、植物も本来の宮古島に自生していたもので、ホテル全体が自然の中に完全に溶け込んでいるかのようである。雨上がりにはカタツムリが顔を出し、カエルやヘビを見かけることもある。除草剤や過度な殺虫剤の使用を控え、自然の営みを尊重する姿勢は、「五つ星」という枠組みにとらわれない、本質的な心地よさを追求している証しだ。
一戸ごとにバルコニーに小さなプールが設えられており、プライベート空間を満喫しながら、その宮古に自生するグリーンと宮古ブルーの海を臨むことも可能。ここのカウチソファーに寝そべりながら、シャンパンを開け「時が止まればよい」と妄想する。
◇グループや家族での滞在にも最適
「DAYA(崖)」や「MIJI(水)」といった琉球の自然地形に由来する言葉で名付けられた5つのエリアに分かれた敷地内。大家族やセキュリティースタッフを伴っての滞在も想定し、独立した各棟をコネクティングルームとして繋げられる柔軟な設計になっている。
門や扉といった物理的な仕切りはないものの、シーサーが設えられた門柱に仕切られたエリアでは、グループや家族だけで過ごすプライベートな空間を大切にする工夫が随所に見られる。最もハイエンドなスイート「KAMII(カミイ)ハウス(宮古島の方言で「亀」)」からは、その名の通り、海を泳ぐウミガメの姿が見られることもあるという。
◇ここだけで完結する「美食」のパビリオン
ホテルでの滞在をより豊かなものにしてくれるのが、「食」の体験である。ローズウッド宮古島では、お客様に「この場所だけで完結する世界観」を楽しんでいただくため、バラエティーに富んだダイニングを展開している。
メインダイニング「苧麻(CHOMA)」は、天ぷら、焼き鳥(炭火焼き)、お寿司、鉄板焼きを提供する4つのパビリオンから構成される。「今日はこれ、明日はあれ」と、連泊しても飽きることなく毎日、異なる食体験を満喫できるのが魅力だ。
一部レストランを除き、宿泊客だけでなく、外来での利用も可能。それぞれのパビリオンが一つの店舗として独立しているわけではなく、「CHOMA」という一つの大きな日本料理の枠組みの中で、多彩なジャンルを楽しめるというユニークなスタイルだ。
併設されたバー「CHOMA BAR」は、「アジアのベストバー50」へのランクインも期待されるほどの空間。ここではバー・マネジャーの井崎宇太郎氏が監修した、宮古島そのものをテーマにしたユニークなオリジナルカクテルの数々が繰り出される。さらにはゲスト・バーテンダーのシフトも組まれ、訪れた夜は、ニューヨークの名バー「エンジェルズ・シェア」などで世界に名を轟かせたSGグループのオーナー、後閑慎吾氏による、一夜限りのカクテルが提供された。ホテルのゲストはもちろん、シフトを聞きつけた地元・宮古の方もカウンターで、珠玉の一杯に舌鼓を打っていた。こうしてローズウッドの夜は、美味しいお酒と料理に酔いしれながら、静かに更けていく。
◇刻々と変化する宮古島の天気と、それがゆえの感動
沖縄県は、日本で最も晴天率が低い地域とも言われる。宮古島もその例に漏れない。この日も土砂降りから始まったものの、昼には強い日差しが照り付け、あたふた……。しかし、天候が変わりやすいからこそ、ふと晴れ間がのぞいた時の海の美しさは格別だ。夏の猛暑日でも、東京や京都に比べると気温が低く、海風のおかげで過ごしやすいという意外な一面も持っている。
世界中からゲストが訪れる「ローズウッド宮古島」。ただ豪華なだけではない、自然と調和し、心からの安らぎを与えてくれる本物のラグジュアリーがここにある。
都会の喧騒から逃れ、ありのままの自然に身を委ねる。そんな「再生」の旅へ、あなたも出かけてみてはいかがだろうか。「嗚呼、このヴィラに一生住みたい」。そう思いながら、チェックアウトし宮古空港へ向かうのは、後ろ髪を引かれるという言葉が、実にふさわしい。
あなたが、このヴィラを死ぬまでに行きたいホテルとしてリストアップしても、なんら不思議はない。それがローズウッド宮古島だ。