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注目映画紹介:「ルパン三世 THE FIRST」初の3DCGアニメは愛嬌のあるキャラと繊細な動きに目がくぎづけ 広瀬すずらが出演

 今年4月に亡くなったモンキー・パンチさん原作の国民的アニメ「ルパン三世」をシリーズで初めて3DCGアニメーション化。約23年ぶりの劇場版アニメ最新作「ルパン三世 THE FIRST」(山崎貴監督)が12月6日にTOHOシネマズ日比谷(東京都千代田区)ほかで公開された。日本におけるVFXの第一人者である山崎監督がメガホンをとった。声優として女優の広瀬すずさん、俳優の藤原竜也さん、吉田鋼太郎さんが出演。もちろん「ルパン三世」のレギュラー声優陣である栗田貫一さん、小林清志さん、浪川大輔さん、沢城みゆきさん、山寺宏一さんも出演している。

 祖父ルパン一世が唯一盗み出すことに失敗した因縁のお宝「ブレッソン・ダイアリー」を巡って秘密組織とルパン三世が争奪戦を繰り広げる。20世紀最高の考古学者ブレッソンが遺した最大の謎といわれる「ブレッソン・ダイアリー」。その謎を解き明かした者は莫大な富を手に入れることができるといわれ、第2次世界大戦時にはナチスもその行方を追っていたという。ルパンは、考古学を愛するレティシアと出会い、2人で協力して謎を解こうとするが、そんな2人の前にブレッソン・ダイアリーを狙う秘密組織の研究者ランベールと、組織を操る謎の男ゲラルトが立ちはだかる。

 広瀬さんは、同作のヒロインでブレッソン・ダイアリーを巡りルパン一味と出会う、考古学に精通した聡明な女性レティシア、藤原さんはブレッソン・ダイアリーの謎を追い求める組織を操る謎の男ゲラルト、吉田さんは組織の研究者ランベールをそれぞれ演じる。「ALWAYS 三丁目の夕日」などVFXを駆使したヒット作を生み出し、近年では「STAND BY ME ドラえもん」「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」など3DCGアニメも多数手がけてきた山崎監督が脚本も担当した。

 宮崎駿監督が手がけた「ルパン三世」が大好きだという山崎監督が「なんとか逃れようとしたが逃れられなかった」と語るように、随所に“宮崎ルパン”を彷彿(ほうふつ)とさせる描写が登場する。ヒロインのレティシアはルパンのことを「おじさま」と呼び、ルパンがレティシアを見つめる瞳も優しげだ。原作のハードボイルドさ、峰不二子のお色気などは影を潜めているが、アクションはさすが3DCGだけあって、ハリウッド映画ばりのスピード感やスケールに目をみはる。

 見慣れた二次元のアニメとは一味違う、どこか愛嬌(あいきょう)のあるルパン一味の3DCGのキャラクターは魅力的。プレスコ(先に声を録音してから絵をつける制作方法)をしているため、口の動きがぴたりとはまり、実写を見ているかのような安心感があった。ルパンの髪の毛は、アクションの際にふわっと繊細な動きを見せるなど、3DCGならではの映像美にスクリーンに目がくぎ付けだった。「THE FIRST」と名付けられ、シリーズの新たな局面を感じさせるエポックメーキングな作品に仕上がっている。(細田尚子/MANTAN)

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