【映画「雪の花」で再注目】記録文学の巨匠・吉村昭、珠玉のエッセイシリーズ第一弾『人生の観察』発売!没後20年、来年生誕100年、人生の達人の観察眼が冴え渡る、感動のエッセイ集。
河出書房新社河出文庫から2026年6月8日に発売。

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株式会社河出書房新社(東京都新宿区/代表取締役 小野寺優)は、吉村昭さんのエッセイ『人生の観察』(税込990円)を、河出文庫から2026年6月8日に発売いたします。
新刊『人生の観察』は、記録文学の第一人者であった吉村昭さんが、その類稀なる観察眼で、日々の発見、旅の出会い、家族の情景等を簡潔な名文で描いた選りすぐりのエッセイ69篇を収録しています。
人間の生き方と美学にせまる筆致は、いつの時代においても大きな感動を呼び起こしてきました。本書に収録している「時間は確実に流れる」と題した、生死を彷徨った若き日の凄絶な描写は、特に読者の胸を打つ一篇です。
「昭和二十三年正月五日、私は喀血した。二十歳であった。/中学二年生の折に肋膜炎、五年生で肺浸潤になっていたので、三度目の肺結核の発病であった。(中略)体は衰弱し、わずか半年間に六十キロの体重が三十五キロになった。完全な末期症状で、死は眼前にせまっていた。/私が、現在、生きていられるのは、その年の夏、東大医学部雑司ヶ谷分院で、肋骨五本を切除する胸郭成形術という手術を受けたからである。/この手術が、すさまじいものだった。
(中略)
想像を絶する激痛が絶え間なくおそい、私は絶叫しつづける。肋骨を切除する折には、何億本という針を同時に突き刺されるような痛みに、体をはずませた。/そうした中で、私の胸に、「時間は確実に流れる」/と、繰り返し叫ぶ声があった。/時間は経過し、やがて手術は終わり、痛みからも解放される。その言葉だけが唯一の救いで、私は叫び、体をはずませていた。/その声の通り、五時間後に手術は終わり、担送車で病室にもどされた。/それから私の胸には、「時間は確実に流れる」という手術時の声が棲みついてはなれない。死に対する観念が、それによって生まれた。時間は一刻の休みもなく流れ、私にもいつかは必ず死の瞬間が訪れる。
(中略)
必然的に、生きている時間を大切にしたいという考えがきざした。一刻一刻を漫然と過ごさず、意義あるものにしたい。仕事をすることはもとより、遊ぶもよし、酒を飲むもよし、それぞれ充実した時間を過ごしたい、と……。」
2026年は吉村昭さん没後20年であり、来年は生誕100年の記念の年となります。
小説『戦艦武蔵』『羆嵐』『破獄』など数々の名作が時代を越えて読み継がれ、昨年には『雪の花』が映画化されるなど、今も話題が尽きることがありません。
河出文庫から発売する珠玉のエッセイシリーズ第一弾『人生の観察』の発売にぜひご注目ください。
■『人生の観察』目次
第一章 人は、こうして生きる――生き方と美学
第二章 人は、社会の中にいる―― 暮らしとものの見方
第三章 人は、世界を知る―― 言葉と場所
第四章 人は、すぐそばにいる―― 家族と忘れえぬ人々
第五章 人は、時間を生きる――記憶と継承
取材の鬼、記録の人。作家吉村昭は、観察の達人にして人生の達人でもあった。簡潔な文章の端々に、観察眼が冴え渡る。日々の暮らしに宿る生き方と美学、家族の風景、忘れえぬ人々……。人間の哀歓と人生の滋味あふれる感動のエッセイ!「昔の味・今の味」「歴史という長い鎖」「時間は確実に流れる」等、69篇を収録。
■作家 吉村昭
よしむら・あきら
1927年、東京生まれ。学習院大学中退。在学中に同人誌「学習院文芸」(後に「赤絵」)に参加し、作品を発表する。66年『星への旅』で太宰治賞、73年『戦艦武蔵』『関東大震災』などで菊池寛賞、79年『ふぉん・しいほるとの娘』で吉川英治文学賞、85年『破獄』で読売文学賞、芸術選奨文部大臣賞、同年『冷い夏、熱い夏』で毎日芸術賞、94年『天狗争乱』で大佛次郎賞受賞。著書に『高熱隧道』『三陸海岸大津波』『漂流』『羆嵐』『ポーツマスの旗』『雪の花』『桜田門外ノ変』『黒船』など多数。2006年7月、逝去。
吉村昭記念文学館
https://www.yoshimurabungakukan.city.arakawa.tokyo.jp/index.html
三鷹市吉村昭書斎
https://mitaka-sportsandculture.or.jp/zaidan/docs/yoshimura/
■新刊情報

書名: 人生の観察
著者: 吉村昭
仕様:文庫並製/244ページ
発売日:2026年6月8日
税込定価:990円(本体900円)
ISBN:978-4-309-42272-5
装丁:鈴木成一デザイン室
URL:
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309422725/
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