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「シャニダールの花」の一場面 (C)2012「シャニダールの花」製作委員会
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「シャニダールの花」の一場面 (C)2012「シャニダールの花」製作委員会

注目映画紹介:「シャニダールの花」 綾野剛と黒木華主演 人の胸に咲く美しい花に狂う愛の物語

 石井岳龍監督の最新作「シャニダールの花」が20日から全国で公開される。綾野剛さんと黒木華さんを主演に迎えたミステリアスな1作。人の胸に咲いた美しい花に狂わされていく人間と愛の物語だ。

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 植物学者の大瀧(綾野さん)は、シャニダール研究所で働いている。そこに赴任してきたセラピストの響子(黒木さん)は、大瀧とともに女性たちの胸に宿った謎の小さなつぼみを咲かせる仕事に従事することになった。花には新薬開発のための成分が含まれているといい、研究所の施設に収容された女性たちは、高額謝礼金と引き換えに、このプロジェクトに参加していた。女性たちの花が成長するにつれ、大瀧と響子は恋に落ちていく。ある日、花の提供者の女性が謎の死を遂げた……という展開。

 イラクのシャニダール遺跡から見つかったネアンデルタール人の墓にあった花の化石。この物語は、そこから着想を得ているという。謎の花は怪しくも美しい赤い色をしている。ビジュアルのインパクトが大だが、その花を巡り、狂わされる人々、そして男女の恋愛といったストーリーが展開されていき、観客は不思議な世界にいつの間にかズブズブとのめり込んでいく。主演の2人、白衣男子・綾野さんのミステリアスな雰囲気、眼鏡女子・黒木さんの清純な魔性が印象的。また、花を提供する女性たちが生き生きと描かれ、響子の持つ、生命の根源にあるたくましさと重なる。石井監督は、前作「生きてるものはいないのか」でも白が基調の閉鎖空間が印象に残ったが、今作でも白い空間がSFっぽく目に焼き付いている。無機的な色彩の中で咲く赤い花が妖艶で鮮やかだ。20日からテアトル新宿(東京都新宿区)ほか全国で公開。(キョーコ/毎日新聞デジタル)

 <プロフィル>

 キョーコ=出版社・新聞社勤務後、闘病をきっかけに、単館映画館通いの20代を思い出して趣味の映画を観まくろうと決心。映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。

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