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注目映画紹介:「神さまがくれた娘」 前半の娘との幸せな日々と後半の親権争いの二幕劇のよう

 第7回大阪アジアン映画祭でグランプリとABC賞のダブル受賞をはじめ、数々の国際映画祭で最優秀男優賞や最優秀子役賞を受賞している話題のインド映画「神さまがくれた娘」が15日、公開された。派手なダンスと歌が目立つこれまでのインド映画とは一線を画し、南インドの大自然を舞台に父と娘のきずなを描き出した。役柄によって変幻自在、“インドのロバート・デニーロ”と呼ばれている俳優ビクラムさんが娘を一点の曇りなく愛する素朴な父親を熱演している。

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 クリシュナ(ビクラムさん)は南インドの避暑地ウッティーに暮らし、チョコレート工場で働いている。知能は6歳児だが、正直者でみんなから愛されている。愛する女性と結婚をして娘を授かるが、妻は他界。娘に“お月様”の意味があるニラーと名付けて、大切に育てていく。5歳になったニラー(ベイビー・サーラーちゃん)は、学校に通い始めて、事務局長の女性シュベータ(アマラー・ポールさん)と仲よくなった。ところが、シュベータが偶然目をかけていたニラーは、家出をして音信不通となっていた自分の姉の子だったと分かる。この事実を知ったシュベータの父親で資産家のラージェンドランは、孫であるニラーを自宅に連れ帰ってしまう。突然娘を奪われたクリシュナは……という展開。

 インド映画「スタンリーのお弁当箱」といい、今作もまた、社会的弱者にスポットを当てている。主人公のクリシュナは、従来のインド映画のような強いヒーローではなく、日常をつつましく生きる父親だ。クリシュナが村の仲間に支えられて、大好きな娘と過ごす幸せな日々がつづられたあと、突然別れがやってくる。そして、後半は親権争いが法廷で繰り広げられる。おとぎ話のように見えた前半からガラリと変わり、現実味を帯びた後半への展開が見事で、二幕ある舞台を観賞したようなぜいたくさだ。父親を演じるビクラムあsんは、娘を大事に思う姿と、娘を取り上げられた悲しみの単なる2通りだけでなく、ラストの選択に至るまでの細やかに演じていてみせる。そして、子役の可愛らしいこと(可愛い衣装も見どころ!)。直球で描かれる親子愛は美しいが、女優の美しさにも目を奪われる。ニラーのおば役と弁護士役の女優に見ほれ、法廷が美人対決に見えた。15日から渋谷ユーロスペース(東京都渋谷区)、シネマート六本木(東京都港区)ほか全国で順次公開中。(キョーコ/フリーライター)

 <プロフィル>

 キョーコ=出版社・新聞社勤務後、闘病をきっかけに、単館映画館通いの20代を思い出して、映画を見まくろうと決心。映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。

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