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「1/11 じゅういちぶんのいち」の一場面 (C)2014 中村尚儁/集英社・「1/11 じゅういちぶんのいち」サポーターズ
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「1/11 じゅういちぶんのいち」の一場面 (C)2014 中村尚儁/集英社・「1/11 じゅういちぶんのいち」サポーターズ

注目映画紹介:「1/11 じゅういちぶんのいち」 連作短編マンガを映画化 泣ける青春群像劇

 中村尚儁さんのマンガを実写映画化した「1/11 じゅういちぶんのいち」が公開中だ。主人公のサッカー選手・安藤ソラがさまざまな縁で出会う人々との物語を描いた作品で、2010年に「ジャンプSQ.19」(集英社)で連載が始まり、12年からは「ジャンプスクエア」に移り現在も連載中で、コミックスは8巻まで発売されている。主演はイケメン俳優集団「D-BOYS」の池岡亮介さん、ヒロインには「生贄のジレンマ」(13年)などに出演した竹富聖花さん。「きいろいゾウ」(13年)などで脚本を手がけ今作で長編映画デビューを飾る片岡翔監督がメガホンをとった。

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 自分の才能に限界を感じた安藤ソラ(池岡さん)は中学卒業と同時にサッカーをやめることを決意する。だが、サッカー女子日本代表の若宮四季(竹富さん)と出会い、サッカーへの情熱が再燃。ソラをうっとうしいと思う凛哉(工藤阿須加さん)やサッカー中学ユースの腕前を持つが演劇部に所属する瞬(阿久津愼太郎さん)、2人のことを見守る学校一の変わり者の千夜子(古畑星夏さん)に演劇部部長の麻綾(東亜優さん)。そしてソラに引かれていくサッカー部マネジャーの仁菜(上野優華さん)と、それぞれの思いや立場で高校生活を送る中、ソラと四季の秘密、瞬が演劇にこだわる理由など各自の過去や苦悩が明らかになっていく……という展開。

 原作が連作短編形式のマンガだけに1本の映画としてどのように描かれるのかと思っていたら、ソラを中心として人間模様が高校時代を舞台にテンポよくつづられ、青春群像劇としてよくまとまっており、不器用でひたむきな若者たちの姿に胸を熱くさせられる。主人公のソラをはじめ各登場人物にエピソードが用意されているためか、やや展開が駆け足で、もう少し深く描写してほしい場面も見受けられるが、池岡さんや竹富さんほか、共演陣の工藤さん、阿久津さんといった若手俳優たちのフレッシュな演技とカメラワーク、控えめなBGMが原作の独特な雰囲気を再現し、ほのかな温度と色彩を感じさせる空気感を生み出し、どこか心が癒やされる。原作のよさを生かし、登場人物それぞれをバランスよく見る演出が光り、多少粗削りな部分はあるがカバーしてあまりある感動を与えてくれる。同じスタッフでの続編が見てみたいと思わせる出来だ。シネ・リーブル池袋(東京都豊島区)ほか全国で5日から公開中。(遠藤政樹/フリーライター)

 <プロフィル>

 えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。

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