「俺たちの明日」の一場面 (C)2014「俺たちの明日」製作委員会
ダンス・ボーカルグループ「EXILE」のMAKIDAIこと眞木大輔さん主演の「俺たちの明日」が公開中だ。社会のどん底にいる8人の男が繰り広げる友情や裏切り、どんでん返しを描いた密室劇で、眞木さんが主人公で超一流の盗人・不動龍役を演じるほか、大東駿介さんや中尾明慶さん、武田真治さんらが出演する。映画「スイッチを押すとき」(2011年)の中島良監督と脚本家・岡本貴也さんが再タッグを組み、スリリングなストーリーと、香港ノワールを彷彿(ほうふつ)とさせる映像美で予測不能な世界観を描き出している。EXILEの派生ユニット「GENERATIONS from EXILE TRIBE」が主題歌「REVOLVER」を歌う。
裏取引をはじめなんでもやる質屋「K」にあるという“心の奥底にある願いをかなえてくれる”とうわさされる伝説の金貨を狙って、超一流の腕を持つ泥棒・不動龍(眞木さん)が仲間の小田切俊郎(大東さん)と横倉貴史(中尾さん)を伴い盗みに入る。龍は今回の仕事が終わったら盗みから手を引こうと決意していたが、侵入先で別の目的を持った人物たちと遭遇し、事態は予想外の方向へと発展していく……というストーリー。
物語の大半が一つの部屋で進行する密室劇で、脚本の重要性が高いが、前半の伏線から回収までの流れが見事で、何が起きるか分からないスピーディーな展開には常にハラハラさせられる。密室劇といえば「キサラギ」を思い起こすが、眞木さんの目がさめるようなアクションが見どころの一つで、また違う方向の密室劇の魅力を再確認できる。登場人物はいずれも救いようがないキャラだが、クライマックスで奇妙な連帯感が生まれるとどこか憎めず、不思議と思い入れをしてしまう。そして切なすぎる結末には思わず涙する。バイオレンスと感動ストーリー、これでもかと飛び出すどんでん返しの数々は、キャストのカッコよさと相まって男くさい痛快な作品とはいえ女性にも存分に楽しめる。新宿バルト9(東京都新宿区)ほか全国で5日から公開中。(遠藤政樹/フリーライター)
<プロフィル>
えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。