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石川県というと山中温泉などの加賀温泉郷が有名ですが、金沢市内にもすぐれた名湯があることはそれほど知られていません。
金沢市中心部からやや離れた山あいに建つ趣のある一軒宿「深谷温泉元湯石屋」は、開湯1200年と伝えられており、東大寺の大仏を建立した僧侶行基による開湯伝説や、宮本武蔵が傷を癒やしたという言い伝えが残る古湯(ことう)です。
源泉を所有する元湯石屋は創業が1789(寛政元年)年で、建物は日本家屋の良さが残った木造建築。1917(大正6)年に六代目石屋二左衛門が初孫の誕生記念に普請(ふしん)したという能舞台は、今も使われています。
温泉は皮脂の汚れや角質を落としやすくする“美肌の湯”。琥珀(こはく)色で、まるでコーヒーにつかっているかのようなお湯です。とてもやわらかくなめらかで、トロリと体を包み込むようにまとわりついてきます。芯まで温まりやすく、私は半身浴でも短時間でかなり発汗しました。一方、浴後感はさらっとしています。湯上がり後は爽快感もあるので夏にもおすすめです。日帰り入浴も可能です。
今はインターネットの普及により客層が変化し若年層も多いそうです。いつもと違った金沢を楽しみたい人、普通の温泉旅に物足りなくなった人にもおすすめです。