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アイルランド・ダブリンへ語学留学したエディターでライターのハマコ(仮名)さん(33)が、ダブリンの街、学校、美容事情や現地の人々とのふれあいなどをリポートする「33歳、海外留学します!」。今回は、アイルランドの人々との出会いを語ります。
◇隣り合っただけの私に「電話してみたら?」
アイリッシュはおしゃべりが大好きで、親切な人が多いということを前回お伝えしましたが、今回はそのことを実感したエピソードを紹介したいと思います。
私はよく学校の宿題をカフェやファストフードでするのですが、ある日いつものようにショッピングセンター内のハンバーガーショップでノートを広げ、黙々と作業をしていた時のこと。隣の席にいた老夫婦の旦那さんが「宿題大変なの?」と突然話しかけてきました。
「はい。でももう少しで終わりそうです」と私が笑顔で返すと、今度は奥さんの方が「あなたどこから来たの?」と聞いてきました。私が日本だと伝えると「まあ、私のアイリッシュの友達が日本人男性と結婚したの。今もアイルランドに住んでるから、もしよかったら電話番号教えるから、かけてみたら?」と奥さん。
もちろんありがたい申し出ではあるものの、生粋のジャパニーズである私にとっては今、会ったばかりの、会ったこともない人にいきなり電話をする、というのは少々気が引ける行為です。「そうなんですか。その旦那さんとはどうやって出会ったんでしょうね」と私はさりげなく話題をシフトさせました。ところが奥さんは「彼女が日本語を教える仕事をしていて、そのつながりで知り合ったらしいの。ねえ、もしよければ電話してみたら?」と2度目のプッシュ。
さすがに断るのも失礼だと感じたので「でも突然電話したら、彼女驚くんじゃないですか?」と素直に聞いてみると「私の紹介だって言えば大丈夫よ! さあ、メモの用意はできた? 彼女の名前は×××。それで電話番号は086−×××。ちょうど今海外旅行に行ってるから、来週かけてみるのがいいと思う。あ、私の名前は×××ね」と話します。
なんてオープンマインドなんでしょう。私は彼女の言葉に驚くと同時に、アイリッシュのフレンドリーさを改めて実感しました。その後も私は夫婦と約1時間もおしゃべり。彼らの子ども時代は今よりも兄弟が多い家庭が多くて、旦那さんの家には6人兄弟が一緒に住んでいてにぎやかだったという思い出話や、日本とアイルランドの違いについての話などを楽しみました。
◇カフェで出会ったおじさんから教わった日本のこと
また別の日、こんな出来事もありました。日曜の午前中、カフェでくつろいでいたら隣のおじさんが「日本から来たの?」と話しかけてきました。そして「日本ですごく有名なアイリッシュ知ってる? ラフカディオ・ハーンっていう1900年前後に日本に住んでいた人なんだけど。ダブリンに彼にまつわる建物があるから、ぜひ行ってみるといいよ」と教えてくれました。
「ラフカディオ・ハーン?」と、その名前にピンと来なかった私は、とりあえずおじさんにその英語名のメモをもらい、カフェをあとにしました。夜、ネットでその名を検索してビックリ。学校で確かに教わった記憶がある作家、小泉八雲と同一人物だということが分かったんです。
翌日ダブリンにある小泉八雲にゆかりがある建物の一つ、「ザ・タウンハウス」へ足を運んでみました。小泉八雲が子ども時代の一時期を過ごした建物だそうで、今はベッド&ブレックファースト(小規模の宿泊施設)として毎日、観光客でにぎわっています。私自身は歴史にはうとく、恥ずかしながら彼の本もちゃんと読んだことはないのですが、不思議と感慨を覚えました。
偶然出会った人とのおしゃべりがきっかけで、何かを発見したり気づいたりできる。私はそんなアイルランドらしい体験がとても好きです。
<プロフィル>
ハマコ(仮名)。1980年生まれ。大学時代に短期留学を経験したものの、その後は英語と無縁の生活に。東京で会社勤めをした後、フリーランスのエディター、ライターに転身。インタビューの仕事の魅力にはまり、「もっと多くの人と直接会話をしたい! 海外の人にもインタビューしたい」と留学を決意。日々さまざまな壁にぶつかりながら、アイルランドライフを送っている。