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注目映画紹介:「ニューヨークの巴里夫」 40歳男の人生の模索を描くシリーズ完結編

 フランスのセドリック・クラピッシュ監督の新作「ニューヨークの巴里夫(パリジャン)」が6日から公開される。「スパニッシュ・アパートメント」(2002年)、「ロシアン・ドールズ」(05年)に続く“青春3部作”の完結編で、1作目のときは25歳の大学生だった主人公グザビエが、今作では40歳の“大台”に乗りながら、いまだ足元がおぼつかない生活を続ける様子が描かれていく。グザビエ役のロマン・デュリスさんをはじめ、オドレイ・トトゥさん、ケリー・ライリーさん、セシル・ドゥ・フランスさんといったシリーズの主要キャストが再集結し、シリーズの有終の美を飾っている。

 40歳になり、小説家としてまずまずの成功を収めているグザビエ(デュリスさん)は、妻ウェンディ(ライリーさん)と2人の子供とパリで暮らしていた。ところが、ウェンディがニューヨーク(NY)の出張から帰るなり、向こうで好きな人ができたからと子供たちを連れて出て行ってしまう。ぼうぜんとしながら、子供たちの教育を巡る話し合いのためにNYへ向かったグザビエは、しばらくの間、現地で暮らすことにする……という展開。

 自身もグリーンカード(米永住許可証)取得のために偽装結婚したり、レズビアンの親友イザベル(フランスさん)の恋人の仲を取り持つことになったりと、40歳になったとはいえ、グザビエの生活は相変わらず忙しい。そんな彼が、愛に、仕事に、人生について模索する姿を、クラピッシュ監督は深刻ぶることなく、NYのイラストや地下鉄マップを使ったり、グザビエをドイツの哲学者ヘーゲルと語り合わせたりするなどし、軽妙な語り口で描いていく。シリーズ完結編とはいえ、グザビエの人生はまだまだ定まる気配はない。それでも、日々生きる彼を見ながら、たとえそれが“寄り道”でも、進んでさえいればきっと何かが見えて来ると元気をもらえた。一方で、グザビエの気苦労をよそに我が道を突き進む女性たちの姿がなんとも爽快で前向きな気分になれる作品だった。6日からBunkamuraル・シネマ(東京都渋谷区)ほか全国で順次公開。 (りんたいこ/フリーライター)

 <プロフィル>

 りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションをへてフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。

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