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映画「白雪姫と鏡の女王」(2012年)で白雪姫を演じたリリー・コリンズさんと、「パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉」(11年)で人魚に恋する宣教師を演じたサム・クラフリンさんが共演した映画「あと1センチの恋」(クリスチャン・ディッター監督)が13日から全国で公開される。互いに思いを寄せ合いながら、幼なじみゆえに本当の気持ちを言い出せないロージーとアレックスの歯がゆくも切ない12年間を描いていく。
英国で暮らすロージー(コリンズさん)とアレックス(クラフリンさん)は、6歳からの幼なじみ。互いの夢や恋の相談など、なんでも話し合ってきた。やがて大学進学の時期を迎えた2人は、それぞれの夢の実現のために米国の大学に一緒に行こうと約束し合う。ところが、ロージーがクラスメートの子を妊娠してしまい、それを言い出せないまま、彼女はアレックスをボストンの大学へと送り出す……というストーリー。
心の奥底では互いが好きなのに、関係が近過ぎるあまりそれに気づけないロージーとアレックス。ぶつかりあう視線、さりげない仕草、本心とは裏腹の言葉……そういったシーンを巧みにはさみ、2人のじれったいほどの関係がつづられていく。すれ違いばかりで途中、何度もやきもきさせられるが、ほどよくコミカルに味付けされているので、感傷的になり過ぎることはなく、最後まで楽しく見られた。ロージー役のコリンズさんの、生き生きとした演技にも好感が持てた。原作は、映画「P.S.アイラヴユー」(07年)の原作者セシリア・アハーンさんが04年に発表した2作目の小説「愛は虹の向こうに」。ロージーとアレックスが交わすEメールや手紙などで構成された書簡形式の原作を、「カレンダー・ガールズ」(03年)の脚本家ジュリエット・トウィディさんが脚色した。恋愛映画としてだけでなく、子育てに苦労しながらもホテル経営という夢をあきらめないロージーの自立の物語としても見ることができ、女性の多くが共感できる作品に仕上がっている。13日から新宿武蔵野館(東京都新宿区)ほか全国で公開。(りんたいこ/フリーライター)
<プロフィル>
りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションをへてフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。