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ミュージシャン・大森靖子さんのミュージックビデオを基に映画化した「ワンダフルワールドエンド」(松居大悟監督)が17日に公開される。今作は、大森さんの「ミッドナイト清純異性交遊」「君と映画」という2本のミュージックビデオに、同作品を手がけた松居監督が新たに撮り下ろしたパートと大森さんの楽曲を加えて1本の映画として完成させた。女優の橋本愛さんと「ミスiD2014」のグランプリに輝いた蒼波純さんがダブル主演を務め、現実と虚構が入り交じった不思議な世界観で、2人の少女の物語が展開していく。
モデルとして活動する17歳の早野詩織(橋本さん)は、ブログやツイキャスを駆使してファン獲得に励むも、なかなか売れないでいる。惰性で付き合い半同棲中の恋人・浩平(稲葉友さん)からも、必死すぎる姿を見られ、あきれられていた。ある日、詩織は撮影会にやって来た、自分のファンらしき13歳の木下亜弓(蒼波さん)と出会い……という展開。
大森さんの音楽世界がベースになっているだけあり、リアルな感触とファンタジックな空気感が混在した独特な味わいを持っている。主演を務める橋本さんと蒼波さんが対照的ながらも存在感ある少女を演じ、特に今作が映画デビューとなる蒼波さんが放つ無垢(むく)でいて強さを持ったオーラには圧倒される。ブログやツイキャスなど、今では当たり前となったガジェットの数々を用いて描かれるコミュニケーションの描写が秀逸で、今どきのアイドル事情や女子のライフスタイルが垣間見える。大森さんの歌声と音楽がグイグイと物語を引っ張り、まるで曲を聴いているかのように楽しめる。放送中の特撮ドラマ「仮面ライダードライブ」で仮面ライダーマッハ役を演じる稲葉さんの、ヒーローとはおよそ真逆なダメ男ぶりにも注目だ。新宿武蔵野館(東京都新宿区)ほか全国で順次公開。(遠藤政樹/フリーライター)
<プロフィル>
えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。