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映画ファッションチェック:「シンデレラ」 ドレス制作の裏側 アカデミー賞デザイナーが語る

 話題の映画の登場人物のファッションを紹介する「映画ファッションチェック」。今回は、25日公開のディズニー映画「シンデレラ」(ケネス・ブラナー監督)で、主人公のエラ(シンデレラ)が着る鮮やかなブルーのドレスを取り上げる。衣装デザイナーは、過去にアカデミー賞の衣装デザイン賞を3度も受賞したサンディ・パウエルさんだ。ブルーのドレスについて「一見シンプルでありながらも、舞踏会の中でひときわ目を引く存在にする必要があった」と言うパウエルさんに、製作過程やこだわりを聞いた。

 ◇ブルーの生地を重ねて「空気のような軽やかさに」

 映画は誰もが知っている「シンデレラ」をベースに、シンデレラの成長と王子とのラブストーリーが描かれる。衣装は、ディズニーのアニメ映画「シンデレラ」が作られた19世紀のファッションを参考に「現代の観客に向けた新しいシンデレラ像を作る」ため、今のトレンドも取り入れるなど自由な発想をめぐらせた。

 シンデレラのドレスの色はアニメ版と同じだが、踏襲するのではなく、さまざまな色を検討した結果、ブルーに決定したという。存在感のあるシルエットにするため、すその広がったスカートを採用し、「大ぶりに感じさせない空気のようにふわっと漂う軽やかさ」にこだわった。生地は単色ではなく、生地をニュアンスの異なるブルーに染めて何枚も重ねている。

 ◇注目は蝶のコサージュ 日本人女性アーティストが製作

 今回のドレスのポイントの一つが胸元を飾る蝶のコサージュだ。シンデレラは、幼い頃から自然や動物と親しんでいるキャラクターとして描かれ、パウエルさんは「なんらかの生き物をモチーフにしたデザインにしたい」と考えた。そこでシンデレラの服が豪華なドレスに変わる過程で、胸元に留まった蝶をドレスの一部に組み込むというアイデアを提案し、採用された。

 その蝶のコサージュを実際に手がけたのは、日本人アーティストの宮本遥香さん。ドレスと同じ生地を使って色や形の異なる蝶のコサージュを作り、パーティーシーンや外で雨に打たれるシーンなど、さまざまな場面に合わせて蝶の“表情”を変えている。

 ◇制作が「楽しかった」のは… あのキャラクターの衣装

 シンデレラ以外のキャラクターが着る洋服やドレスも魅力的なものばかり。デザインは、パウエルさんが集めた膨大な資料やアイデアを、キャラクター別に分け、さらにキャストに合わせて考えられた。

 なかでも、パウエルさんが「作っていて楽しかった」と話すのは、シンデレラの義理の姉妹の衣装だ。姉妹はそれぞれイエローとピンクがイメージカラーで、普段着もパーティードレスもおそろいのデザイン。「よく双子に親が同じデザインの服を着せている。そういった感じを見せたかった。滑稽(こっけい)さを出したはじける色やデザインで、明るく楽しい衣装をイメージした」という。

 ◇「自分らしい洋服を」 現代の女性にメッセージ

 “現代のシンデレラ”を目指す女性に向けたファッションのアドバイスを聞くと、パウエルさんは「自分らしい洋服を着ること」と言う。

 映画では「勇気」がキーワードの一つとなるが、その勇気の意味をパウエルさんは「困難を乗り越える勇気というよりも、自分自身をありのままに受け入れて、他人に見せることを恐れない勇気」と説明。「自分に自信を持つこと。それは何においても一番大切だと思いますね」と話した。

<プロフィル>

 サンディ・パウエル。英国出身。衣装デザイナー。1998年の「恋におちたシェイクスピア」(ジョン・マッデン監督)、2004年の映画「アビエイター」(マーティン・スコセッシ監督)、09年の映画「ヴィクトリア女王 世紀の愛」(ジャン=マルク・バレ監督)でアカデミー賞の衣装デザイン賞に輝いた。11年に映画業界への貢献が讃えられオフィサー位の大英帝国勲章を贈られた。

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