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「アース」(2008年)、「ネイチャー」(14年)などネーチャードキュメンタリーをヒットさせてきたBBCアースがピクサーの協力を得て製作した映画「小さな世界はワンダーランド」(マーク・ブラウンロウ監督)が9日から公開される。シマリスとスコーピオンマウスに焦点を当て、小動物が厳しい自然の中で生きていく姿をドラマチックに映し出した44分間。日本語版ナレーションは俳優の斎藤工さん。
神秘的な原生林にすむシマリスの子と、空っぽな砂漠にすむスコーピオンマウスの子。生まれて初めて自分の力だけで冬を越さなくてはならないシマリスは、冬眠に備えてドングリを集めることに必死だ。しかし、大人のリスが食糧を狙っている。ヘラジカ、フクロウ、オオカミからも身を守らねばならない。スコーピオンマウスは突然の鉄砲水によって、家族と離れて一人旅に出る。しかし、命を狙うハンターたちがそこらじゅうにいた。彼らは大人になるために、必死で生き続ける……という展開。
BBCとピクサーがタッグを組んで「ドラマチックドキュメンタリー」と銘打った作品の第1弾。猛々しい野生動物ではなく、リスとネズミという可愛らしい存在にスポットを当てている。子どもにもなじみ深い小動物で、上映時間も1時間も満たないと短いため、子供連れでも楽しめるネーチャードキュメンタリーでも新しい趣の作品になった。スローモーションを多用し、動物の表情をアップでとらえながら物語が作り出され、シマリスとスコーピオンマウスは“ダブル主演”で感情的な要素を与えられている。
えさを盗む大人のリスの登場で、シマリスのドングリ集めはよりドラマチックに。月を背景に砂漠にすっくと立つスコーピオンマウスは、まるで孤高のカウボーイのようだ。また、動物の行動に熟知した専門家の協力を得て、地中にある巣穴や夜間での撮影にも成功。超高速カメラで撮影された落ちるドングリのシーンは、例えようもないほど美しい。森の中に生えてくるキノコの動きにもワクワクさせられる。小さな動物が堂々と大きな存在に感じられ、その跳躍力にも驚かされる。自然ドキュメンタリー番組「プラネット・アース」のブラウンロウ監督作。BBCのネーチャードキュメンタリー作品のファンだという斎藤さんが日本語版ナレーションを担当している。TOHOシネマズ新宿(東京都新宿区)ほかで9日から公開。(キョーコ/フリーライター)
<プロフィル>
キョーコ=出版社・新聞社勤務後、映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。リスのほお袋はやっぱり可愛いですね。