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藤田貴子先生(右)に和食の基礎を習った三浦理恵子さん(C)PRODUCTION OGI
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藤田貴子先生(右)に和食の基礎を習った三浦理恵子さん(C)PRODUCTION OGI

三浦理恵子の美容ライフ:第71回 日本料理の藤田貴子先生に習う 和食の基礎と旬の料理(1)

 まだ6月なのに暑い日が続いていますね。ところでみなさんはお料理を作っていますか? 私は料理をすることがストレス発散にもなるので、できるだけ作るようにしていますが、習ったことは一度もなく、すべて自己流ですませていました。そこで今回、ちゃんと基本を知りたいと思い、日本料理の教室で体験講座を受けさせていただきました。

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 教えていただいたのは、藤田貴子先生です。メニューは、基本となる出汁(だし)のひき方と、鯵(アジ)のたたき、白身魚の蒸し物梅ダレ添え、新玉ねぎとアスパラガスの酢の物の季節感のある3品です。

 また藤田先生からは、和食にまつわる貴重なお話も伺いましたが、まずは私が体験したそれぞれの作り方をご紹介します。先生とのお話もとても楽しく、目からうろこの、ためになるお話の連続です。

 ◇和食の基本は昆布出汁とかつお出汁

 三浦さん:先生、今日はよろしくお願いします。

 藤田さん:三浦さんは普段はどういったものを作られていますか。

 三浦さん:簡単なお鍋とか、煮魚とか、洋風のものも作りますし、どうしても野菜不足になるので、ピクルスとか簡単なものは常備するようにしています。本当に目分量で適当に作っているんです。

 藤田さん:目分量でいいと思いますよ。私もほとんど量りません。では出汁の取り方から始めましょうか。まずは昆布の出汁ですが、厚めのお昆布を用意してください。料亭で使うような肉厚で幅広で立派な昆布はとてもお高いので、そこまでいかなくてもいいですが、できるだけ肉厚なもの。薄くてヘロヘロしているものは、ほとんどおいしいお味が出ず、色とかぬめりとか嫌なものばかり出てしまうので、まずは肉厚なものを買ってください。その昆布を水に浸すのですが、夏場はいたんでしまうので30分くらい、冬なら一晩くらいつけておいたものを、弱火でじわじわと50度くらいまで温度を上げていきます。鍋肌に泡がつく程度が50度くらいですが、分からなかったら指を入れてみて、お風呂よりもちょっと熱いくらい。昆布のうまみが出るのが0度から50度までで、それ以上になるとぬめりが出たり色がついてしまったりするんです。

 三浦さん:やみくもに昆布を入れておけばいいというわけではないんですね。

 藤田さん:そうなんです。50度になったら火から下ろして、昆布を取り出します。次はおかかの出汁ですが、血合いが入っているのを使う方と、まったく血合いのないものを使う方もいらっしゃいますが、私は家庭用に血合いのある方をおすすめしています。血合いの入っていないかつおを使うとキレイな出汁は取れますが、味があっさりし過ぎて家庭料理では物足りなく感じるんです。使う量ですが、ご家庭ではかつおぶしの量が少ないんですね。

 三浦さん:想像より多めに入れた方がいいんですね。

 藤田さん:1カップの水に対して4、5グラムは入れた方がいいですね。それを沸騰したお湯に入れたら、すぐ火を止めていただいて結構です。

 三浦さん:火を止めてしまうんですか?

 藤田さん:かつおぶしのうまみが出るのが95度から98度くらいで、低すぎると渋みが出たり、沸騰させ続けるとえぐみが出たり色がついたりするんです。

 三浦さん:私のやり方は全部間違っていました。お湯でグラグラ煮ていましたから(笑い)。

 藤田さん:そういう取り方もあるんですよ。例えばおみそ汁や野菜の煮物を作るときは、かつおぶしを5分くらい弱火で煮て、鍋の底にかつおぶしがしっかり落ちるまで待ってからこして使うので、お料理によって違いますね。お吸い物に使うときは、火を止めたら1分くらいでこしちゃいます。

 三浦さん:この出汁の色、すごくキレイですね。

 藤田さん:今日はおかかが多いので少し色が濃く取れていますけど、ちゃんと量ってやると、もっと澄んだ出汁が取れますよ。

 ◇出汁の昆布は捨てずにつくだ煮に!

 三浦さん:(キッチンに出汁を取った昆布がクリップでつるされているのを発見して)先生、それはなんですか?

 藤田さん:昆布を干しておいてなぜ捨てないか? 保存用に干してあるんですが、たまったら酢水に浸してつくだ煮を作っているんです。酢水に浸すとお酢の成分で昆布が早く柔らかくなるんですよ。

 三浦さん:わあ、すてき! 少しもムダにしないんですね。昆布は酢水にどれくらいつけるんですか。

 藤田さん:一晩くらいかな。柔らかく戻ればいいんです。それを切って、酢水のお鍋で昆布が柔らかくなるまで煮て、調味料を入れただけです。あとは、干しシイタケの軸と。

 三浦さん:すごい、干しシイタケの軸も捨てないで使えるんですね!

 藤田さん:冷凍にして取っておいて、細かく切って使ってます。あとは煮山椒(さんしょう)も1年分冷凍して取ってあるので、それも入れてつくだ煮にします。そろそろ山椒の生が出始める時期ですが、山椒は生のままじゃ使えないから、1回塩ゆでして、水にさらして、イガイガさを抜いてから冷凍しておいて、じゃこの煮物を作ったりもするんですよ。

 三浦さん:自分がバンバン捨てていたものも、ちゃんとお料理に使えるんですね。最初からすごく勉強になります。

 藤田さん:では、お昆布とおかかの出汁を合わせて、これで置いておきます。

 三浦さん:次は酢の物の作り方ですね。

 ◇野菜を洗うと風味がなくなる!

 ―新玉ねぎとアスパラガスの酢の物―

 材料:新玉ねぎ1個、アスパラガス12本、赤・黄パプリカ、エビ(蟹身を入れてもよい)、米酢100cc、砂糖大さじ2、薄口しょうゆ小さじ1、塩少々、糸がつお、ごま

 作り方:

 1.玉ねぎは薄切りし、すぐに合わせ酢に浸す。

 2.アスパラガスはハカマを取り、根の固い部分の処理をし、塩ゆでして切り分ける。パプリカは丸ごと焼いて皮を焦げさせ、皮をむいて切り分ける。エビを使う場合はさっと塩ゆでしてからカラをむき、酢洗い。蟹身はほぐして酢洗い。

 3.盛り付ける間際にそれぞれの材料を1に加えて、さっくりと混ぜ、ごま、糸がつおを天盛りにする。

 藤田さん:ではこちらの材料と、今日は蟹を(冷蔵庫から)出しておきましょう。まず玉ねぎをスライスしていきますが、その前にアスパラガスのハカマを取ります。ハカマはすじっぽくて口に残ってしまうので、日本料理の場合は取って使うんです。取るときは引っぱらずにそこだけプツッと取る。ピーラーで表面をむいたりすると、ゆでている間にうまみがそこから逃げてしまいますね。パプリカは種を取ってグリルで焼きますが、種が残っても水洗いしないで手で取ってください。

 三浦さん:洗わないんですか?

 藤田さん:洗うと風味が抜けて水っぽさが入っちゃうんですよ。

 三浦さん:パプリカを洗わないなんて、具材のことって知ってるようで知らないことだらけでした。きのこ類も洗わない方がいいんですよね。

 藤田さん:はい、きのこ類は一切洗いません。

 三浦さん:この間、キノコを洗おうとしてウチの母親に怒られたんですよ。「洗わないでふけばいいのよ!」って(笑い)。

 藤田さん:シイタケなんか、洗うと水を含んじゃいますからね。

 ◇甘酢玉ねぎのバリエーション

 三浦さん:(先生が使っている玉ねぎのスライサーを見て)先生、それは?

 藤田さん:夜中の通販でついつい買っちゃったんですが、すごく使いやすくてキャベツもスライスできるんですよ。玉ねぎは下手に包丁で切るよりもスライサーで切った方がだんぜんおいしいんです。包丁の使い方が上手じゃない方が上から押さえて切ると繊維をつぶしてしまって辛みが出るんですが、スライサーは斜めからスパッと切るので辛みを出さずに切れる利点があるんです。次は合わせ酢を用意しますね。お砂糖を入れて甘酢になってます。味見しますか?

 三浦さん:おいしい! これだけですごくおいしいです。

 藤田さん:これはお酢が素晴らしいもので、3年寝かせたものを取り寄せているんですが、市販の米酢しかない場合は出汁で薄めると少しまろやかになります。これと玉ねぎをあえたものは冷蔵庫で保存が利くので、いろいろ使えるんですよ。ごま油やオリーブオイルを加えるとサラダドレッシングのもとになるし、鶏のから揚げやお魚のから揚げを加えればマリネになるし、揚げなすも合いますね。

 三浦さん:聞いただけで絶対おいしいですよね!

 藤田さん:アスパラは固めにゆでておいて、水に取らずに冷ましておきます。パプリカが焼けたら、冷まして皮をむいて、切り分けましょう。蟹は後で添えますが、まずは食べやすい大きさに切って酢洗いにします。酢のモノに生モノを合わせる場合の下準備を酢洗いというんですが、この一手間で生臭さが取れるんです。蟹の場合はさきほどの合わせ酢に使ったような柔らかいお酢を使った方がいいですが、もっと臭みが強い魚介系の場合は、市販の米酢を使って、具材を平らにおいてお酢につけるようにしてください。少しつけたら生臭さの出たお酢は捨てます。

 ◇すべてを大切にするという心

 三浦さん:ちょっとした一手間で変わるんですね。先生のお話を伺いながらお料理をしていると、食材を大切に扱うということもよく分かるし、普段から道具をすごく大事にされているのも分かるし、私もこういうことをしてきたいとすごく思います。

 藤田さん:そうすると暮らしが変わってくる感じがしますよね。

 三浦さん:パプリカの色もすごくキレイですね。

 藤田さん:若い方たちは洋野菜を使い慣れているから、今回は洋野菜で和風の酢の物を作りましたが、洋野菜、和野菜と区別しないで使いやすいもので作っていただければいいと思いますね。では盛り付けに入りましょう。アスパラは穂先を上に置いて、最後に蟹を乗せましょうね。

 三浦さん:器もすごくすてきですね。

 藤田さん:日本料理は器の楽しさもありますよね。でも、見るとつい欲しくなってしまって、置く場所に困ってしまうんです(笑い)。

 三浦さん:わー、幸せな色。見るだけで気持ちが上がりますね!

 ガラスの器に盛られた酢の物は、パプリカの赤とアスパラの緑が玉ねぎの白とすてきなコントラストになっていて、見るだけでおいしさが伝わってきます。日本料理は目で楽しむ、とよく言いますが、先生の作るお料理を見ていると、それがよく分かります。お食事で心がウキウキするって、すてきなことですよね。

 次回は、梅ダレを添えた白身魚の蒸し物の作り方をご紹介します。

 心も体もキレイになって、毎日キラキラしましょう! できることは今からスタートですよ!

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