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フランスの精神科医フランソワ・ルロールさんが書いたストーリーを軸に映画化した「しあわせはどこにある」(ピーター・チェルソム監督)が13日から公開される。行き詰った精神科医の男性が、真の幸せを求めて世界を旅する物語。北米、欧州、アジア、アフリカの四つの大陸にまたがって撮影された。
完璧な恋人のクララ(ロザムンド・パイクさん)とロンドンで一緒に暮らす精神科医のヘクター(サイモン・ペッグさん)は毎日、患者たちの不幸話を聞き続けるうちに、自分の価値を見失いかけていた。自分も幸せではないのに、患者たちをどう幸せにしたらいいのだろうか。幸せとはなんなんだろう、と。その答えを求めてへクターは旅立つ。中国、チベット、アフリカ、米国……旅先で出会った幸せのヒントを手帳に書き留め、時に危険な目に遭いながら、旅の終わりに見つけた答えとは……というストーリー。
中年男ヘクターの、幸せ探しの冒険談だ。精神科医のヘクターは、職業柄、毎日毎日同じ部屋の中で、他人の不幸話を聞かされている。そして、自分に価値が見いだせない「中年の危機」を迎えたようだ。中国で魅惑的な女性と出会ったり、アフリカで旧友を訪ねたり、人と出会い、さまざまなことが巻き起こる陽気な世界旅行をするヘクターは、まるで童話の主人公のようだ。何せネズミを友達にするシーンもあるのだから。だまされたり、かなり怖い目にも遭うが、そこはヘクターの無邪気で少年っぽい部分がより際立つシーンに仕上がっている。「ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!」(2013年)のペッグさんというコメディー俳優を得て、人間味あふれる可愛らしい人物像が描かれている。いい年してこのオジサンは!と笑いながら、自分への自信のなさや、過去の大失恋を引きずっているところや真面目に人生を探求する姿に共感を抱く男性も多いだろう。「ゴーン・ガール」(14年)でスターダムにのし上がったパイクさんが、キュートな恋人役で出演しているほか、クリストファー・プラマーさん、ジャン・レノさん、ステラン・スカルスガルドさん、トニ・コレットさんら豪華俳優陣が脇を固めている。シネマライズ(東京都渋谷区)ほかで13日から公開。(キョーコ/フリーライター)
<プロフィル>
キョーコ=出版社・新聞社勤務後、映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。最近、NHKスペシャル「生命大躍進」が楽しみ。