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「天の茶助」のワンシーン (C)2015『天の茶助』製作委員会
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「天の茶助」のワンシーン (C)2015『天の茶助』製作委員会

注目映画紹介:「天の茶助」SABU書き下ろし小説を松ケン主演で映画化 笑えて泣けて勇気がもらえる

 俳優の松山ケンイチさんの主演映画「天の茶助」(SABU監督)が27日に公開される。「天の茶助」は、SABU監督が書き下ろした小説を基に自らメガホンをとり映画化。沖縄を舞台に、天界で下界の人間たちの人生のシナリオを書いている“脚本家”に茶を配る「茶番頭」の主人公が、恋心を抱いてしまった人間の女性が死ぬ運命にあることを知り、命を救うために下界へ降り立ったことで起きる騒動を描く。主人公の早乙女茶助を演じる松山さんは、SABU監督とは「うさぎドロップ」(2011年)以来のタッグ。ヒロインは女優の大野いとさんが演じる。ほかにも大杉漣さん、寺島進さん、伊勢谷友介さんと個性派俳優が脇を固めている。

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 天界では数多くの脚本家が地上で生きる人間たちの“シナリオ”を書き、人間はそのシナリオに沿って人生を送っている。茶番頭の茶助(松山さん)は、シナリオの中で生きる人間たちを見ているうちに、口のきけない可憐で清純な女性・新城ユリ(大野さん)に恋心を抱いてしまう。しかし、ユリが交通事故で死ぬ運命にあることを知ってしまった茶助は、ユリを救いたいという思いから天界を抜け出し、ユリの暮らす沖縄へと降り立ち……というストーリー。

 天界にいる脚本家たちが脚本を書き、お互いに鑑賞しながら人間の運命を決めているという設定が実にユニーク。小気味よいテンポで進むファンタジックな物語に奇想天外な設定と沖縄の空気感がマッチし、ほどよいスパイスになっている。松山さん演じる茶助もいちずで古風な男というたたずまいで、真面目な性格でありながらバカなこともやってしまうなど、思わずニヤリとさせられるコミカルさが面白い。物語が進んでいくにつれ、伏線を張り巡らせすぎた感もあったのだが、今作の根幹を作る設定を見事に生かし切った着地点には納得させられた。笑いあり、涙ありの人間ドラマに引き込まれ、沖縄の風景の美しさも十分に堪能できる。見終わった後には爽快感とちょっとした勇気がもらえる映画だ。新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)

 <プロフィル>

 えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。

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