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今週末に公開される映画の注目作をピックアップする「今週シネマ」。14日には、俳優のオダギリジョーさんが主演で、芸術の都パリからも愛された不世出の日本人画家・藤田嗣治の半生を描いた「FOUJITA」(小栗康平監督)、「シャーロック・ホームズ」シリーズのガイ・リッチー監督の最新作「コードネーム U.N.C.L.E.」、「CASSHERN」や「GOEMON」などを手がけた紀里谷和明監督のハリウッド進出作となる「ラスト・ナイツ」、橋口亮輔監督が「ぐるりのこと。」(2008年)以来7年ぶりに手がけた長編作「恋人たち」が公開される。
「FOUJITA」は、1913年に27歳の若さで単身フランスに渡り、1920年代に発表した「ジュイ布のある裸婦」などで描いた裸婦が“乳白色の肌”と称され絶賛を浴び、一気に名声を高めた藤田の半生と藤田が生きた“二つの時代“を描いた作品。小栗監督は、1990年の「死の棘」で第43回カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリと国際批評家連盟賞をダブル受賞するなど海外でも評価も高く、ワンシーン、ワンシーンをじっくりと眺めたくなる絵画的な仕上がりになっている。主演のオダギリさんは抑え気味の演技から藤田の画家としての傲慢さや尊大さ、プライドを匂い立たせるという見事な演技と猛特訓したというフランス語を披露。一部で“藤田の生き写し”といわれる前髪パッツンのオカッパ頭にメガネ、チョビヒゲ姿というオダギリさんのなりきりぶりにも注目したい。
「コードネーム U.N.C.L.E.」は、1960年代に人気を博したテレビシリーズ「0011ナポレオン・ソロ」を基に、リッチー監督自らが脚本を書き、製作も担当した。主演は、ヘンリー・カビルさんとアーミー・ハマーさんというイケメンの2人。彼らが、米露のすご腕スパイに扮(ふん)し、最後まで息をつかせない、それでいて肩ひじ張らない楽しいスパイ映画に仕上がっている。カビルさん演じるクールなソロと、ハマーさん演じるヒートアップしやすい性格のクリヤキンの、国籍も性格もバラバラの彼らが、図らずも難事件を前に手を組むことになり、反目しながら任務に当たる様子がスリリングかつ軽快に展開していく。
「ラスト・ナイツ」は、「忠臣蔵」がモチーフで、ある封建国家を舞台に、主君を死に追いやれた騎士たちが命を懸けて敵討ちする姿を描く。「忠臣蔵」から設定や演出は大きく変えられてはいるが、その精神は薄れることなく作品に込められていて、架空の国を舞台に多種多様な人種のキャストが出演。建築物や衣装などはエキゾチックな世界観を持ち、ダークな風合いの幻想的な映像美とマッチ。リアリティーとファンタジックな雰囲気をバランスよく表現している。アクションシーンは俳優が生身で演じ、スロー映像なども使わずスピード感あるバトルを描いて生々しい。英俳優クライブ・オーウェンさんや米俳優モーガン・フリーマンさんが、骨太で重みのある芝居で物語に深みを与え、見る者をくぎ付けにする。
「恋人たち」は、若手俳優向けワークショップ発の、橋口監督のオムニバス映画「ゼンタイ」(2013年)に出演していた篠原篤さんと成嶋瞳子さん、池田良さんという無名の新人俳優を主役に起用。数年前に通り魔殺人によって妻を失った篠塚アツシ(篠原さん)は、橋梁(りょう)点検の仕事をしながら裁判のために奔走。弁当屋でパート勤めをしている主婦の高橋瞳子(成嶋さん)は、取引先の男(光石研さん)と出会ったことで、味気なかった生活に変化が訪れ、同性愛者の四ノ宮(池田さん)は、学生時代の友人(山中聡さん)への思いを胸に秘めながら、エリート弁護士として働いていた。彼らがそれぞれに壁にぶつかりながら“当たり前の日常”の大切さに気付いていく……というストーリー。
そのほか13日は、2009年に34歳で亡くなったSF作家の伊藤計劃(けいかく)さんの小説が原作の劇場版アニメ「ハーモニー」(なかむらたかし監督、マイケル・アリアス監督)が公開。14日は、元AKB48で女優の秋元才加さんが主演した特撮ドラマ「牙狼<GARO>」シリーズの10周年記念作「劇場版『媚空-ビクウ-』」(雨宮慶太総監督、大橋明監督)、2015年7~9月に放送されたテレビアニメの番外編「『デュラララ!!×2 転』外伝!? 第13.5話『お惚気チャカポコ』」(大森貴弘監督)、「ゴモラ」(08年)などで知られるイタリアの名優トニ・セルビッロさんが一人二役を演じた「ローマに消えた男」(ロベルト・アンドー監督)が公開される。