「マイ・ファニー・レディ」のワンシーン(C)STTN Captial,LLC 2015
「ペーパー・ムーン」(1974年)などで知られるピーター・ボグダノビッチ監督の長編としては13年ぶりとなる最新映画「マイ・ファニー・レディ」が19日に公開される。ニューヨークのブロードウエーを舞台に、コールガールからハリウッドスターとなった女優と、成功へのきっかけを与えた舞台演出家の男が出会ったことから始まる騒動を描くロマンチックコメディーだ。2014年の第27回東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門では、「シーズ・ファニー・ザット・ウェイ」のタイトルで上映された。随所にちりばめられたハリウッド黄金期へのオマージュが笑いを誘う。
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かつてコールガールをしていたハリウッドスターのイザベラ・“イジー”・パターソン(イモージェン・プーツさん)は、スタジオで記者からインタビューを受ける。イザベラは、偶然出会った演出家のアーノルド・アルバートソン(オーウェン・ウィルソンさん)から「君の将来のために3万ドルをプレゼントする」という奇妙な申し出をされ、人生が一変した日について語り出す……というストーリー。
1930~40年代に一世を風靡(ふうび)した“スクリューボールコメディー(風変わりな男女がけんかしながら恋に落ちるラブストーリー )”へオマージュをささげた今作は、自己中心的なセラピストをはじめ変人・奇人なキャラクターが勢ぞろい。当人たちが意図しないところでつながり、絡み合っていく人間模様をつむぎ、腹がよじれるほど笑わせてもらった。男性の欲望と女性の出世欲が合致したことから始まるドタバタ劇は、ともするとドロドロしてしまいそうだが、愛らしくもバカバカしい人情味あふれる人物たちのお陰で、軽妙な味わいに仕上がった。至るところに見え隠れするカメオ出演のキャストも含め、映画への愛をひしひしと感じさせ、転がるように進む物語はリズミカルで爽快だ。19日からヒューマントラストシネマ有楽町(東京都千代田区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)
<プロフィル>
えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。
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