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女優の広末涼子さんの主演映画「はなちゃんのみそ汁」(阿久根知昭監督)が、9日に公開される。映画は、33歳の若さで、がんで亡くなった安武千恵さんが、5歳の娘と、夫、家族との日々をつづったブログを基にしたエッセーが原作。シリアスな題材でありながら、「実際の千恵さんは、日常の中で笑顔はもちろん、笑いを大切にされていた。そこをクローズアップしていくことが、たくさんの方たちに愛される映画になるでのはないかと思いました」と語る広末さんに、撮影の舞台裏や共演者の印象を聞いた。
映画は、広末さん演じる乳がんを患った余命わずかの千恵が、まだ幼い娘・はなにみそ汁づくりを通して愛情と生きていく強さを伝える姿を描く。千恵は20代でがんを発症。恋人の信吾と夫婦となり、千恵ははなを出産するが、幸せな日々は長くは続かず、再び病魔が千恵を襲う。死に向かう千恵の苦しい闘病生活が描かれる一方、娘に残したレシピノートに「私はツイている」と記し、前向きに笑顔で日々を過ごした千恵の姿が印象的だ。
今回、難しい役どころを演じた広末さんは「自分でも驚くくらい自然に感情移入ができました」といい、「千恵さんと資質が似ていたのか、もしくは自分も女性として母親として、ポジティブさであったり、生活の向き合い方だったり、食育の部分でも共感する部分が多かったからなのかもしれません。空から、千恵さんが背中を押してくれていたのか……と思うくらい、自然とお芝居ができました」と撮影を振り返る。
それと同時に、撮影中は夫・信吾役の滝藤賢一さんの演技を通して「千恵さんの気持ちが分かった気がした」という。「千恵さんである私と向き合うと、滝藤さんはぐっと感情が入ってしまうんです。ご自身が愛情深い方だと思うんですが、ずっと気持ちがあふれていて……」と話し、「妻と代わってあげられないからこそ暗くなってしまいそうになる夫を見て、千恵さんは明るくいたいっていう姿勢になったのかなと現場でも感じました」と明かす。
また、滝藤さんが演じた信吾は、妻の不幸に涙を流す切ないシーンもある半面、不器用でユーモラスな性格で、物語の「笑い」の要素も大きく担っている。その点についても広末さんは、滝藤さんの人柄から「どんなにコミカルに演じても、決して軽率にはならないという確信が持てた。これだけ気持ちがあるからシリアスに演じなくたって伝わるし、ふざけたってそれが薄っぺらくないんだっていうことが、きっと伝わるっていう安心感がありました」と笑顔で語る。
そして今回、娘のはな役を演じたのが、1000人超のオーディションで選ばれた新人の赤松えみなちゃん。広末さんは、当時4歳の演技経験ゼロのえみなちゃんの起用に「体調的にも精神的にも心配だった」というが、「テストからカメラを回して、彼女の一番いい表情を撮影できるよう、スタッフ、キャスト含めて万全の体制で彼女を迎えました」といい、その結果「彼女の自由さがそのままカメラに収められて、その生き生きした姿がこの映画のエッセンスになってくれたんじゃないかなと思います」とほほ笑んだ。
次回は、オフタイムの過ごし方や美しさの秘けつを聞く。 <プロフィル>
ひろすえ・りょうこ。1980年7月18日生まれ。高知県出身。94年にCMでデビュー。95年、「ハートにS」(フジテレビ系)でドラマ初出演。97年、「20世紀ノスタルジア」で映画に初出演し、数々の映画賞の新人賞を獲得する。99年の日本アカデミー賞では、「鉄道員(ぽっぽや)」で優秀助演女優賞、「秘密」で優秀主演女優賞を受賞した。また2008年の「おくりびと」、09年の「ゼロの焦点」で日本アカデミー賞優秀主演女優賞を2年連続で受賞した。14年に「石榴(ざくろ)坂の仇討」と、「想いのこし」で日刊スポーツ映画大賞助演女優賞を受賞している。14日から主演連続ドラマ「ナオミとカナコ」(フジテレビ系)がスタートする。