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映画「の・ようなもの のようなもの」のメインビジュアル(C)2016「の・ようなもの のようなもの」製作委員会
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映画「の・ようなもの のようなもの」のメインビジュアル(C)2016「の・ようなもの のようなもの」製作委員会

注目映画紹介:「の・ようなもの のようなもの」 森田芳光イズムの継承者は? オマージュたっぷりの登場人物

 俳優の松山ケンイチさんと女優の北川景子さんが出演する映画「の・ようなもの のようなもの」(杉山泰一監督)が16日、公開される。2011年12月20日に急逝した森田芳光監督の劇場デビュー作「の・ようなもの」(1981年公開)のその後を描いた作品で、森田監督の16作品に携わってきた杉山監督が初めて映画のメガホンをとり、松山さん扮(ふん)する生真面目な落語家・志ん田(しんでん)が、落語を捨て気楽に生きる兄弟子・志ん魚(しんとと)と出会い、悩みながらも自分らしく生きる楽しさを知っていく姿を描いている。

 「の・ようなもの のようなもの」は、二ツ目の落語家・志ん魚(伊藤克信さん)の青春を軽妙なタッチでつづった「の・ようなもの」の35年後を舞台にしたオリジナルストーリーで、杉山監督のもと、森田監督を慕うスタッフ、キャストが集結した。落語家一門・出船亭に入門した志ん田(松山さん)は、一門のスポンサーのご機嫌とりのため、かつて一門に在籍していた志ん魚(伊藤さん)の復帰を画策する師匠・志ん米(しんこめ/尾藤イサオさん)に頼まれ、志ん魚を探す羽目に。すったもんだの揚げ句、志ん米の娘・夕美(北川さん)と張り込んでいた墓地で、志ん魚を見つけ出したはいいものの、すでに落語とは無縁の生活を送る志ん魚は復帰を拒否。一門存続のため、志ん魚をどうしても志ん扇師匠の十三回忌一門会に引っ張り出したい志ん米の命令を受けた志ん田は、下町情緒が色濃く残る東京の谷中で、志ん魚とのおかしな共同生活を始める……という内容だ。

 谷中界隈といえば、古今亭志ん生や三遊亭円朝ら落語家とはゆかりの深い町としても知られているが、そんな谷中の人々の懐の深さに抱かれながら、その日暮らしの気楽な便利屋稼業を続ける志ん魚と、性格も落語も「杓子定規(しゃくしじょうぎ)」で、夕美(北川景子さん)や周りの人々にイジられてばかりいた志ん田が、互いに影響され合い徐々に成長を遂げていく。

 前作の「の・ようなもの」がそうであったように、そこにドラマチックな要素はほとんどないのだが、谷中特有の迷路のように張り巡らされた路地を志ん田や志ん魚が行ったり来たりするのを眺めているだけで心がほっこりし、いつしか2人に感情移入してしまう。そして、なんだか最後には目頭が熱くなる不思議な魅力にあふれた作品となっている。

 そして今回、男勝りでおてんばで情に厚いヒロインの夕美を演じた北川さん。記念すべき銀幕デビュー作となった森田監督の映画「間宮兄弟」(2006年)での“本間夕美”の10年後とも呼べるキャラクターを完全に作り上げており、役柄としてのつながりこそないものの、最初の登場シーンから「間宮兄弟の夕美が帰ってきた!」と心の中で歓喜してしまった。北川さんがいかに森田監督を慕っていたかが分かる熱演ぶりに、“森田監督イズム”の真の継承者としての姿を見いだす人も多いのではないだろうか。

 そのほかにも、佐々木蔵之介さんや「ドランクドラゴン」の塚地武雅さんの“間宮兄弟”をはじめ、森田監督作品のファンならクスッとしてしまうオマージュたっぷりな登場人物たちがちょちょい現れ、場を盛り上げてくれるので、最後までスクリーンから目を離さない方がいいだろう。映画は16日から新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほか全国で公開。(山岸睦郎/MANTAN)

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