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主演映画「メモリーズ 追憶の剣」について語ったイ・ビョンホンさん
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主演映画「メモリーズ 追憶の剣」について語ったイ・ビョンホンさん

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イ・ビョンホン:「メモリーズ 追憶の剣」主演 「刀さばきを初歩から学び撮影に臨んだ」 

 「王になった男」(2012年)から4年ぶりのイ・ビョンホンさん主演最新作「メモリーズ 追憶の剣」(パク・フンシク監督)が23日に公開された。剣術と才知を持ちながら、仲間を裏切り、権力側についた男ユベクを演じている。スタントなしで本格ソードアクションに挑戦しているのも見ものだ。純粋な青年時代から冷酷非道な権力者へのし上がり、昔愛した女性への未練を絶てない複雑な感情を隠しながら生きるユベクをどう演じたのか。このほど来日したビョンホンさんに映画への思いを聞いた。

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 ◇ユベクの内面は葛藤に満ちている

 前作「王になった男」に続けての時代劇出演となったビョンホンさん。「前回、重い衣装を何枚も重ねて、髪を結い、長期間の撮影で大変だったので、時代劇はもう遠慮を……と思っていました」と語る。ところが、今作の脚本を読んで、気が変わったという。その理由は「武侠(ぶきょう)映画だということが頭からすっかり消えて、激しい愛のストーリーに引かれたから」という。

 ビョンホンさん演じるユベクは、愛した女性への未練が捨てられない男。高麗時代末期。剣術の腕がものをいう時代に奴婢(ぬひ)出身のユベクは、民衆を救おうとしていた3人の剣士のうちの1人だったが、仲間を裏切ってから18年後には冷酷非道な権力者となっており、やがて、仲間でもあり恋人だった女性と戦うときがやってくる……。

 ビョンホンさんは「彼の内面は葛藤に満ちています。愛と成功のどちらを取るのか。そして、彼女を取り戻せるのか。彼を取り巻く状況も複雑です」と話す。

 ビョンホンさんの演技は、ほとんど表情を殺しているように見える前半から、後半は感情があらわになり、心に抱えた悲しみが見えてくる。「リアリティーに基づいた説得力を持つキャラクターを届けたい」という思いで演じたという。

 「前半は無表情で静かな感じです。その中でどうユベクの苦しみとエネルギーを観客に伝えるのか、悩みながら演じました。ユベクの感情を信じて一つ一つ演じていけば、映画館の大きなスクリーンの力も借りて観客に伝わると思いました」

 また、若かりし日と権力者となった18年後の二つの時間軸も演じ分けた。「彼は人生に対して悩んでいたところもあって、単なる悪役ではない。絶対的な善と悪は人間の世界には存在しないと思っている」とビョンホンさんが語るように、若かったユベクの純粋さを演じた部分も見どころだ。

 ◇アクションは愛と憎しみの延長線上にある

 今作で初めて本格的なソードアクションをスタントなしで挑戦した。アクションスクールでステップの踏み方や刀さばきを初歩から学んで撮影に臨んだ。

 「『G.I.ジョー』シリーズ(09、13年)に出ていたことで、刀さばきができると思われて、スタッフを失望させてしまいました。あの映画はほとんど構えの練習だけでこなせたのです。ワイヤにつられて重心をとる、刀を振るといった基礎を一から練習しました。相手役が女優さんばかりだったのと、顔のアップも多かったのが難しいところでした。女優さんを傷つけないように刀を振ることができるよう気を使いました」

 武術監督のシン・ジェミョンさんは、剣の先からも感情を表現できるよう導いたという。ビョンホンさんも「技術的な部分だけでなく、込められた感情を見てほしい。ユベクのアクションは愛と憎しみの延長線上にある。アクションからも悲劇的な愛の物語だと伝わると思う」と説明する。

 愛する女性ソルラン役は、今や「カンヌの女王」と呼ばれるチョン・ドヨンさんが演じた。2人の共演は16年ぶりだ。

 「ドヨンさんは思い通りのアクションができないとき、悔しくて泣いていました。今や仰ぎ見るような偉大な女優さんなのに、演技への情熱は変わっていなくて、昔から頑張っていたけど、今ももっと頑張っていましたね」と絶賛する。

 ◇ハリウッド大作に出て感情表現の幅が広がった

 ハリウッドからもオファーが舞い込む国際俳優となったビョンホンさん。今後、デンゼル・ワシントンさんらと共演した「荒野の七人」のリメーク版や、アンソニー・ホプキンスさん、アル・パチーノさんとの共演作も控えている。「ハリウッドでは文化の違いを感じながらも、『こういう感情表現もあるのだ』と人に対する理解の幅が広がった」と語る一方で、「情緒がまったく違うので、同等に演技ができていないと感じている」と胸の内を明かす。

 もともと俳優を目指していたわけではないという。しかし、子供の頃から映画に影響を受け、高校生の頃には映画監督に憧れたこともあるとか。

 「映画監督になることは、わくわくすることだとは思うけれど、大きな責任が伴うので今は自信が持てないですね。4歳のとき、いとこのお兄さんに肩車されて見た映画が初めての記憶です。中学のときは『酔拳』にハマリ、爆発するような気持ちを日記帳に書きとめました。その後、ジャッキー・チェンさんにそのことをお伝えしたら、とても喜んでいただきました。映画は常に人生と共にありました。ハリウッド作品も、目の前にチャンスが広がったと思って、肩に力を入れずに楽しむ努力をしたいと思います」

 「メモリーズ 追憶の剣」は、ビョンホンさん、ドヨンさん、キム・ゴウンさん、イ・ギョンヨンさん、キム・テウさん。イ・ジュノさん(2PM)ほかが出演。23日から新宿バルト9(東京都新宿区)ほかで公開中。

 <プロフィル>

 1970年7月12日生まれ。1995年、「誰が俺を狂わせるか」(日本未公開)で映画デビュー。続く「ラン・アウェイ-RUN AWAY-」(95年、日本未公開)で各映画賞の新人賞を受賞。「JSA」(2000年)で第1回釜山映画評論家協会賞・主演男優賞を受賞。「甘い人生」(05年)で映画評論家協会賞をはじめ三つの主演男優賞を受賞。06年、韓国人俳優として初めてフランス政府から文化芸術勲章を授与される。09年には「G.I.ジョー」でハリウッドデビュー。「グッド・バッド・ウィアード」(08年)、「悪魔を見た」(10年)、「王になった男」(12年)、「ターミネーター:新起動/ジェニシス」(15年)などのほか、テレビドラマ「IRIS-アイリス-」(09年)など出演作多数。

 (インタビュー・文・撮影:キョーコ)

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