映画「スティーブ・ジョブズ」のワンシーン (C)Universal Pictures
今週末に公開される映画の注目作をピックアップする「今週シネマ」。11日には、ケイト・ブランシェットさんとルーニー・マーラさんが共演し、第68回カンヌ国際映画祭で話題となった「キャロル」(トッド・ヘインズ監督)、12日には、2011年に亡くなった米アップルの創業者スティーブ・ジョブズさんの生き方を描いた「スティーブ・ジョブズ」(ダニー・ボイル監督)、ダンス・ボーカルグループ「三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE」の初のドキュメンタリー映画「Born in the EXILE~三代目 J Soul Brothersの奇跡~」(保母浩章監督)が公開。13日には、俳優の野村周平さんの主演映画「ライチ☆光クラブ」(内藤瑛亮監督)が公開される。
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「スティーブ・ジョブズ」は、「スラムドッグ$ミリオネア」(08年)でアカデミー賞監督賞を受賞したボイル監督がメガホンをとり、脚本を「ソーシャル・ネットワーク」(10年)で同賞の脚色賞を受賞したアーロン・ソーキンさんが担当。ジョブズ役をマイケル・ファスベンダーさん、ジョブズを長年にわたって支えるマーケティング担当のジョアンナ役をケイト・ウィンスレットさんが演じている。映画は3部構成で、1984年の「Macintosh発表会」と88年の「NeXT Cube発表会」、そして98年の「iMac発表会」と、ジョブズさんの“伝説のプレゼン”の「直前40分の舞台裏」が時系列で描かれている。映画「ソーシャル・ネットワーク」同様に圧倒的な密度で進む会話劇に引きずり込まれ、ボイル監督ならではの美しい映像も健在だ。
「キャロル」は、「太陽がいっぱい」(1960年)など映画化された作品も多い人気作家パトリシア・ハイスミスが別名義で発表した小説が原作。50年代のニューヨークを舞台に、対照的な女性同士が引かれ合うさまを流麗に描き出す。キャロルとテレーズの2人のヒロインはいうまでもなく、50年代ファッション、インテリア、細部にわたってこまやかに行き届いた美術、そして自分の生きる道を探している2人の、魂の触れ合いが美しい。テレーズ役のマーラさんは、その繊細な演技でカンヌ国際映画祭で主演女優賞を受賞。女性の社会的な地位が今よりも低かった時代に、生きづらさを抱えながらも自分に正直に生きようとした2人の女性。彼女たちから背中を押される気分になる人も多いだろう。
「ライチ☆光クラブ」は、劇団「東京グランギニョル」が1985年に上演した舞台を基に、古屋兎丸さんが2005年にマンガ化した「ライチ☆光クラブ」と「ぼくらの☆ひかりクラブ」が原作となっている。黒い煙に包まれた蛍光町を舞台に、廃工場を秘密基地にした「光クラブ」に集まった醜い大人たちを嫌う14歳の少年たちの残酷で多感な思春期を描く。タミヤ役の野村さんほか、古川雄輝さん、間宮祥太朗さん、池田純矢さん、松田凌さんら若手俳優が顔をそろえた。世界観は耽美(たんび)で退廃的、残酷さも漂うダークファンタジーだが、誰しもが通過してきたであろう排他的でもろくもある思春期を迎えた少年たちの揺れ動く心情も描き出し、原作ファンを裏切らないストーリーに仕上がっている。
「Born in the EXILE」は、三代目 J Soul Brothersの2014年秋から15年秋までの1年間に密着。「単独ドームツアー」の舞台裏を中心に、14年末のレコード大賞受賞の裏側やレコーディング風景、CM撮影などユニットとしての活動のほか、ドラマや映画出演といった個人での活動、そしてプライベートも交えて各メンバーの魅力を映し出している。ドキュメンタリー番組「情熱大陸」(MBS・TBS系)などの演出に加え、EXLIEをはじめ多くのアーティストのミュージックビデオやライブ映像を撮ってきた保母監督の手により、インタビューでは、見る側の想像よりもさらに一歩踏み込んだ部分まで引き出すことに成功。各メンバーの意外な一面を知ることができる。
そのほか12日は、第68回カンヌ国際映画祭の最高賞であるパルムドールに輝いた「ディーパンの闘い」(ジャック・オディアール監督)が公開。13日は、テレビ東京の人気旅バラエティー番組を映画化した「ローカル路線バス乗り継ぎの旅 THE MOVIE」、「第12回 女による女のためのR-18文学賞」を受賞した朝香式さんの小説を基にした映画「マンガ肉と僕 Kyoto Elegy」(杉野希妃監督)、「キューポラのある街」(1962年)の舞台となった鋳物工場がある埼玉県川口市を舞台にした新時代のヒューマン作「鉄の子」(福山功起監督)、 テレビアニメ「selector」シリーズの劇場版アニメ「劇場版 selector destructed WIXOSS」(佐藤卓哉監督)が公開される。
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