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要潤:映画「あやしい彼女」出演 役作り「いかに男として認識してくれるかが重要」

 女優の多部未華子さんが主演を務める映画「あやしい彼女」(水田伸生監督)が全国で公開中だ。映画は、2014年に公開された韓国映画「怪しい彼女」が原作で、女手一つで娘を育て、自分が望むような人生を送ることができなかった73歳の毒舌おばあちゃんが、ひょんなことから20歳の姿に若返り、青春を取り戻そうとする姿を描く。ヒロインの20歳の姿を多部さん、73歳の姿を倍賞美津子さんが“2人1役”で演じている。若返ったヒロインをスカウトするイケメン音楽プロデューサー・小林拓人役の要潤さんに、多部さんと共演した印象や撮影エピソードなどを聞いた。

 ◇待望の水田監督作に「予想を裏切らない完璧な監督」

 かねて水田監督と仕事をしてみたかったという要さんは、「役者からするとストレスがない監督で、予想を裏切らない完璧な人」と感激し、「多くを語らないので、こっちが提案したアイデアも快く受け入れてくれますし、流れの中で『ああしましょうか。こうしましょうか』と演出はありますが、それが気構えないというか素直に受け入れられる」と水田監督の演出を絶賛する。

 さらに、「なにより人格が素晴らしい」と水田監督の人柄についてたたえ、「『おはようございます』や『お疲れさまでした』というあいさつを、毎回、初めて会った人にしているかのように丁寧にしてくださった」といい、「僕だけではなくて、出演者全員にそうで、はたから見ていても素晴らしいと思いました」と感服する。

 しかし、「(水田監督は)ベテランじゃないですか。だから、そんなに丁寧にされるとこっちが恐縮します」と要さんは笑う。

 ◇今作の世界観に「今だからこそのファンタジー」

 今作は韓国映画を基にしているが、「よくある設定というか、昔こういう映画見たことあるなという感じ」と要さんは作品の印象を語り、「設定はそうでも、ストーリー自体が今の時代に沿っている」と話す。

 続けて、「例えば、今はもう“かみなりおじさん”とかはいなくなりましたが、もしそういう人が現代にいたら、こういうふうに行動する、こういうことを発言するというのを、非常にリアルに感じられる」と物語の世界観を説明する。

 さらに、「多分ちょっと前だと、近所にこういう(映画に出てくるような)おじさん、おばさんがいるから当たり前……と思っていた部分も、今の時代だからこそ、それがファンタジーになる」と要さんは分析し、「だから、非常に興味深く台本を読みました。僕の役も自分にとっては勉強になりましたし、一つグレードアップできる役だと思いました」と深くうなずく。

 ◇アスレチックでのロケに「体力の衰えを感じた」

 要さんが演じているのは、73歳の毒舌おばあちゃん・瀬山カツ(倍賞さん)が20歳に若返り、髪形や洋服、さらに名前も変えた大鳥節子(多部さん)の歌声に魅了されスカウトする音楽プロデューサー役。「音楽プロデューサーは(他作品も含め)結構演じてきたのですが、割とイケてる人のキャラクターが多い」と役のイメージを語るが、「今回は設定として(イケているという要素はすでに)あるので、イケてる感はあまり出さずに優しさを強調したいなと」と考え、役作りしたという。

 その理由を要さんは、「73歳の(カツが若返った節子を演じる)多部ちゃんが、いかに(カツよりも若い小林という)僕にほれてくれるか、男として認識してくれるかということが重要だなと思った」と笑顔で語り、「若くてガツガツしているよりは、どこか落ち着きがあって……という方がバランスとしてはいいなと思った」と小林のキャラクターを固めていった。

 映画中盤、節子と小林らがバーベキューに興じているシーンで、小林が節子に「手が汚れてしまう」と声を掛け、作業を代わる場面があるが、「なかなか男としてできないことも、さらっとやっちゃうのは、やっぱりモテる男なのでは」と小林という男の特徴を分析する要さん。その後、アスレチックで楽しむシーンへと続くが、「楽しかった」と振り返るも、「1日かけて撮ったので、自分の体力の衰えを感じた」と苦笑い。そして「(多部さんら若い子たちは)みんなひょいひょいやるのですが、僕は気合を入れてやりました(笑い)」と30代も後半に入った自身について自虐的に話す。

 ◇「すごく大人になった」と多部未華子を絶賛

 共演した多部さんの印象を、「多部ちゃんとは今回(共演が)2回目でしたが、前回は(多部さんが)大学生だったのかな……」と要さんは切り出し、「(当時は)女性として見るというよりは学生さんという感じでしたが、すごく大人になっていて会話も面白く、女性として成長されていたので、すんなり(恋する役に)感情移入できました」と感慨深げに語る。

 多部さんが演じる節子については、「ちょっとうっとうしいかもしれない」といいつつも、「若いから許せる、20歳ぐらいだから可愛いというのはあるかな、とは思う」と続ける。「30~40歳ぐらいでああいうキャラだったら、ちょっと手のつけようがない(笑い)」と率直な印象を語る。そして、「(多部さん)本人は(節子とは)全然違って、おとなしい感じで、たまにシュールなボケをするようなタイプ」と多部さんと節子に一部共通点を見いだしたようだ。

 小林は節子に淡い恋心を抱くが、要さんも節子のような、「ああいうシャキシャキ系(の女性)はすごく好き」と切り出し、「なよなよとしている人よりは、なんでもパパッと決断したり、例えば料理を作るにしても男の料理みたいに手早く『はい、できたよ』という方が割と好きかもしれない」と自己分析する。自身も「せっかち」という要さんは、「『赤と白のどっちがいいと思う?』というのよりは、『赤がいいよね』みたく、パッパと決める方がグッときます」と理想の女性像を語る。

 ◇カツ・節子のようには「戻りたくない」

 カツ・節子のように以前の年齢に戻れるとしたら……「あまり戻りたくない」と要さん。「結構しんどい人生なので(笑い)」とちゃめっ気たっぷりに語る。人生でやり直したことはあまりないという要さんだが、「小学校3~4年生の頃に転校を一度したのですが、転校先の学校で全校生徒の前で『転校してきました要潤です』と言わなければいけないときがあって、言えなくて、そこからちょっと(周りから)なめられた感があったので、あのとき、ヤンキーっぽく言えるぐらいの感じでやり直せたら、その後の小学校時代もちょっとは変わっていたのかなと」と思いをはせる。

 今作の見どころについて、映画で多部さんは歌声を披露しているが、「歌を聴いていて自分が吸い込まれ、曲が終わり『いい曲だった』と実感できた」と要さんは歌唱シーンの印象を語り、「演じている、一生懸命歌っているなというよりも、(本物の歌手が歌っているかのように)すんなり引き込まれた」と驚く。あまりの衝撃に「『誰の声なの?』と聞いちゃったんです」といい、「(多部さんに)『私ですよ!』と怒られました(笑い)」と笑顔を見せる。

 自身が演じる小林は、「(クライマックスの)ライブのシーンをどういう顔で見るのかをすごく悩んだ」と明かし、「心配の面持ちといろんな複雑な感情があって、観客は盛り上がっているけれど僕は静かにという感じでしたが、韓国版ではワーッと拍手をしていたので……」と説明。そして「(今作は)オリジナルとしても楽しめますし、そんな解釈の違いをぜひ、見てほしい」とアピールした。映画は全国で公開中。

 <プロフィル>

 1981年2月21日生まれ、香川県出身。 2001年、特撮ドラマ「仮面ライダーアギト」でデビューし注目を浴びる。以降、映画、テレビ、舞台などで活躍。主な映画出演作に、「UDON」(06年)、「ピューと吹く!ジャガー THE MOVIE」(08年)、「GOEMON」(09年)、「神様のカルテ」シリーズ、「ライアーゲーム-再生-」(12年)、「劇場版タイムスクープハンター 安土城 最後の1日」(13年)など。今年6月には出演した「探偵ミタライの事件簿 星籠の海」の公開を控える。

 (インタビュー・文・撮影:遠藤政樹)

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