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俳優の野村周平さんと賀来賢人さんがダブル主演した映画「森山中教習所」(豊島圭介監督)が全国で公開中だ。真造圭伍(しんぞう・けいご)さんの人気マンガが原作で、高校時代にたった一言だけ言葉を交わした同級生という大学生の佐藤清高とヤクザの轟木信夫が偶然の事故で再会し、同じ“非公認”の自動車教習所に通うことになるひと夏を描く。清高役の野村さんと轟木役の賀来さんに話を聞いた。
◇清高役は「楽しくやろうと思っていた」
今作の印象を、野村さんは「台本を読んで単純に面白かったです。原作のマンガも読んだのですが、自然というかリアルな話だったので、読んでいて楽しかったです」と話すと、賀来さんも「面白かった」と同意するも、「轟木(のせりふ)は『……』がすごく多くて、『なんだこれ!』と思って(笑い)」と振り返る。
しかし、「(轟木を)やっていくうちに言葉がない分、表情で見せないといけないという難しさに気付き、考えながらやったので勉強になりました」と賀来さんは充実感を口にする。一方、野村さんは「清高という役を楽しもうと思っていましたし、キャストやスタッフの方々ととても仲よくやらせていただけたので、すごく楽しかったなという印象が強いです」と笑顔を見せる。
2人が演じる役は「清高はユーモアのセンスがないと演じられない」「轟木はかげりがある人」という基準でキャスティングされたという。野村さんは「ユーモアのセンスというより、(自分は)にぎやかなので、それが自然と清高になっていったのでは」と自己分析すれば、賀来さんは「どこを見ているんでしょう(笑い)。(自分にはかげりがあるという)実感はないです」と言って首をひねる。
聞いていた野村さんが「(賀来さんは)かげりがあるように誤解されていると思いますが、そこまで“かげっていない”です」と独特な表現をすると、「“かげってる”って(笑い)」と賀来さんがすかさずツッコミを入れ、仲のよさをのぞかせる。
◇轟木を演じる中で気付いた「人間っぽさがいとおしい」
それぞれが演じた役について、清高役の野村さんは「(自分と)近いです」と言い、「本当に楽しんでやろうと思っていたし、そうやっていると監督の言っていることにマッチしたので、そこで(マンガのキャラクターを)具現化しようと思ってやっているという気持ちはあまりなかったです」と明かす。
轟木を演じた賀来さんは「最初はただクールなやつという印象でしたが、やっていくうちに不器用で人間くさいやつというか、ヤクザという点を除けば、自分が抑えられている状況だけれども、どうにもできなくて悶々(もんもん)として……という、等身大の男の子だった」と自身の役を分析し、「そこはすごく共感できたし、人間っぽさというか弱さみたいなところがいとおしくなりました」という。
役作りで、賀来さんは「表情もあまり作れないし、せりふもないので、とにかく“ロボット”にはなりたくないなと思った」と意識した点を明かし、「人間っぽさを徐々に足していくということを考えつつ、あとは周りがとっぴだけど、みんないそうなキャラクターだったので、そこに入り込めばよかったという意味では、苦労はなかったです」と語る。ビジュアル面では銀髪姿で目立っているが、「それだけ難しかったんですけれど、そこは原作に合わせた方がいいなと思った」と説明する。
◇水風船のシーンは「流れの中で生まれた」
野村さんと賀来さんは今作が初共演となったが、互いの印象について、野村さんは「ずっと先輩として見ていたので、イメージ通りでした」と切り出し、「轟という役が『……』が多い役だったので、現場でもそこまでしゃべらなかったのですが、一見、怒っているのかなと思いきや、話しかけたら普通に話してくれました(笑い)」と現場の様子を打ち明ける。続けて、「“かげっている”ような雰囲気を出せる人……というよりは、勝手に周りがそう思っているだけでした」と言うと、賀来さんが「特に周平がね(笑い)」と笑顔で指摘する。
一方、賀来さんは、野村さんを「とっぴな行動とか言動がすごく清高に合っていて面白かった」と言い、「それを彼が狙っているのか狙っていないのかは分からないですし、(野村さん自身)自分でも分かっていないと思いますけれど」と分析すると、「全然分かっていないです(笑い)」と野村さんは同意を示す。
野村さんのどこが清高らしいかについては、「動きとか僕が考えているような範疇にはないということで、それはすごく面白く、(役としては)僕は受け手ですが受けやすかったし、新鮮ないいリアクションができました」と賀来さんは説明し、充実感をにじませる。そして、「(野村さんは)それが面白いし僕にはないところなので、そのままでいてほしい。変なテクニックとか覚えないでほしい。そのまま70歳ぐらいになってほしい(笑い)」とちゃめっ気たっぷりにリクエストしていた。
2人の共演シーンは自転車の2人乗りや並んで寝るなど印象的なものが多いが、印象に残っているシーンを「ショベルカーのところ」と野村さんが言えば、「ユンボはすごかった」と賀来さんも同じシーンについて言及する。「運転する機会は、まあないので、面白かったです。現場は男の人が多く、深夜だったのですが、みんな『おーっ!』みたいな変なテンションでした」と賀来さんが笑いながら振り返る。
さらに、上原サキ役の麻生久美子さんも交えた水風船を投げ合うシーンでは「あれは実は遊んでいるのを撮っただけです」と野村さんが笑顔で明かすと、「単純に麻生さんといちゃついている画を撮っていただけ」と賀来さんも楽しそうに笑う。同シーンでは轟木がぬれてしまうが、「あれは僕がキャッチできなかっただけです」と賀来さんが打ち明け、「本当にぬれる予定ではなく、流れの中で生まれたシーンです」と野村さんが補足する。
◇2人で「アクションやろう」と盛り上がる
今作は友情物語という側面もあるが、撮影を通して野村さんと賀来さんの関係性に変化があったかについて、「元から“恋人以上、友だち未満”みたいなところがありました」と野村さんが切り出すと、「ごめん。それは知らなかった(笑い)」と賀来さん。さらに「清高と轟木みたいな感じ」と野村さんがめげずに言うと、賀来さんも深くうなずき、「居心地はよかったです」と笑顔を見せる。
ひと夏の物語ということでそれぞれの夏の思い出を聞くと、「おじいちゃんの家が(静岡県の)富士宮にあって富士山のふもとだったのですが、毎年夏におじいちゃんの家に行って、虫取りとかして自然がいっぱいだった」と賀来さんは子どもの頃を思い出し、「鹿の頭とかが飾られているような家で、自給自足で野菜も採っている。行くだけで夏休みの自由研究が完璧にできちゃうという。毎夏、最高に楽しかったです」と懐かしそうな表情を浮かべる。
野村さんも「おばあちゃんの家が島根にあって、海沿いだったんですけれど、毎日シュノーケリングをしたり、沢ガニを捕まえたりとか、(ゲームの)『ぼくのなつやすみ』みたいな感じの夏休みを過ごしていました」と満面の笑みを浮かべ、「自由研究は本当にうまくいきました」と楽しそうに話す。
メガホンをとった豊島監督とは「ソフトボーイ」(10年)以来、6年ぶりとなった賀来さんは、「(豊島監督に)成長したところを見せたいし、『成長したね』って思われたいけれど、最初の方は結構緊張していて、悶々としていました」と当時の心境を明かす。続けて、「別に気合を入れているだけで、余計なことをしようとは思っていないのですが、監督はじめカメラマンさんやプロデューサーの方も一緒だったので、終わった頃には居心地がよかった」と感じたといい、「同じサイクルで5年後にこのチームでまたやりたいとは思いました。見つめ直す、ではないですけれど、キャリアを重ねていく中で“余計なもの”がいろいろ身についているのも確かだし、そういうのを排除する瞬間は必要だと思いました」と思いを深める。
隣で聞いていた野村さんは、豊島監督との仕事を「本当に楽しかったですし、新しい友だちができたみたいな感じです」と表現し、「いい意味でお互いに気を使わず物事を言えるというか。豊島さんは本当にいろいろなことを考えている監督だと思いました」と充実感をにじませる。
うなずきながら聞いていた賀来さんが「(豊島監督らと)次はアクションをやろうと言っていて……」と口にすると、野村さんも「やりましょう!『ワイルド・スピード』みたいなカーアクションとかやりたいです!」と希望し、「動けるうちにアクションをやろう!」と賀来さんが応じて盛り上がっていた。映画は全国で公開中。
<野村周平さんのプロフィル>
1993年11月14日生まれ、兵庫県出身。2009年、アミューズ全国オーディションでグランプリを受賞。12年に出演したNHK連続テレビ小説「梅ちゃん先生」で脚光を浴び、その後もドラマ「若者たち2014」「恋仲」「フラジャイル」(すべてフジテレビ系)に出演。主な映画の出演作に「愛を積むひと」(15年)、「ビリギャル」(同)、「ちはやふる~上の句~/~下の句~」(16年)など。16年には出演した映画「ミュージアム」(11月12日公開)の公開を控えるほか、7月からは“月9”ドラマ「好きな人がいること」(フジテレビ系)に出演している。
<賀来賢人さんのプロフィル>
1989年7月3日、東京都生まれ。2007年に公開された「Little DJ 小さな恋の物語」で俳優デビューし、09年公開の「銀色の雨」で初主演を果たす。14年にはNHK朝の連続テレビ小説「花子とアン」、15年には大河ドラマ「花燃ゆ」に出演して注目される。主な映画の出演作に「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」(08年)、「ごくせん THE MOVIE」(09年)、「ソフトボーイ」(10年)、「シャッフル」(11年)、「俺はまだ本気出してないだけ」(13年)、「オー!ファーザー」(同)など。
(インタビュー・文・撮影:遠藤政樹)